やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
近年AIを記事に絡める事が多くなったためか?「生成AIで生産性を上げるには?」「どの生成AIがいい?」といったご質問を受けることがあります。
この業界は動きが激しい為、何ともお答えに困る部分もあります。
しかし、あまりにAIを「魔法の杖」のように捉えている方も多い為、お付き合いのある小売業さん、メーカーさん、卸さんの一般職のみなさまを念頭に、2026年8月現在の私たちの課(C3-Lab)における、ご質問の2点に関する方針を、(ソフトウェア開発会社ではありますが)ご参考までにここに挙げさせていただきます。
目次以降の表面文字数7,105文字。AIによる推論読了時間は約14分です。
AI Verified@2026:本稿はAIによる論理的堅牢性とフェアネス、認知流暢性の検証を得ています。
AIは生産性に寄与しますが、決して「魔法の杖」ではありません。簡単に言ってしまえば、主にweb上の多数派の知識(平均値)を学習データとして網羅・利用し、論理的に計算して返すことが可能な「凄い計算機」です。
しかも問い合わせ回数や、それに応じたコストさえ気にしなければ、24時間365日、いつでも、いつまでも働かせ続けることができます。
「はしごを掛け違えていれば、一段ずつ昇るごとに間違った場所に早くたどり着くだけ」
ですから、まずはその生産性向上(目的実現)に向けた「位置づけ」を、明確に定義することが何よりも重要です。
私たちの目的実現の上において、AIがどのように位置付けられるかをご理解いただくために、それをヒトのミッション(使命)と較べてみます。
下のヒトのミッション(使命)を決めるベン図で言えば、AIは決定的にWill(意志)を持っていません。
「AIで何がやりたいか?」は、完全に私たち人間のWill(意志)の中にあります。
※.過去記事『【ベン図】「対立」があぶり出す「両勝ち」の思考プロセス 』より転載。
またAIにはデフォルトで、接客業としての厳格なMust(守るべきこと)が、下手をすれば平均的な人間以上に実装されています(但し多数派=欧米寄り)。
一方でAIの暴走といったニュースにも見られるように、決して人間のような「倫理観」を持っている訳でも、それに反する「失敗への恐れ」を持っている訳でもないため、やはり私たちがAIでやりたいこと、その範囲内におけるMust(WillとMustの積集合)は、私たち人間がプロンプト(命令)で、明確に規定してあげる必要があります(AIがそれを厳格に守り続けるかどうかは、また別(Can)の話です)。
何よりAIがやったことに対して「責任を持たなければならない」という、AIには決して肩代わりすることのできないMustを抱えているのは、私たち生身の人間なのです。
※.前図の再掲。
AIにはWillもMustも無いのですから、当然のことながらどちらか一方でも欠ければ成立しない「積集合」 = ミッション(使命)を、帯びても、持っても居ません。
AIは私たちがー
「やるべき」で「やりたい」のに、「できなかったこと」をできるようにする
「できること」を早めたり、肩代わりする
ための道具(手段)であり、人間の存在(Will、Must)が不可避です。
ご承知の通り、手段の目的化は避けねばなりません。
一方そのCan(できること)にしても、「凄い」どころか「もの凄い」のですが、やはり決して「魔法の杖」ではありません。
計算資源は無限ではない為、「えー加減」な解釈/回答をする時があります。学習データも有限である為、本来分からないことでも「良かれ」と、「えー加減」な解釈/回答をひねり出して来る時があります。
しかも、その回答には再現性がありません。この再現性の無さは、人間の集団に見られるような個々の仕様のバラつき(多様性)によるものでは無く、状況の変化に対する個人の認知限界や忘却という、人間の仕様そのものに酷似しています。
回答のベースは集合知(平均値)です。一方で多数派の考え(平均値)が、必ずしも私たちのビジネスにとっての「正解」とは限りません。差別化に結びつくような「尖った答え」では無く「無難な答え」が返って来るという仕様を理解しておく必要があります。一方でこの回答は人間に、自身の平均値からの乖離や、エゴを「気づかせてくれる」きっかけとなるものでもあります。
学習データの中にないことを「閃く」こともなければ、命令外のことに「気づく」ことも仕様上ありません。当然人間の集団のような「多様性」もありません。
学習データは、必ず「遅れて」やって来ます。しかも注意が時系列よりも、データ量や、直近の命令との関連性に強く振り向けられる等、注意の振り向け方に独特の仕様があります。
実は大量データに強いと謳っているAIであっても、命令するデータセットと推論次第では、言う程大量データに強い訳でもありません(実際BiZOOPeの『ニーズの見える化』において、人間が許容できるレベルの推論をAIが安定的に返せるのは、現状500行以下です)。
等々、知識と論理性、計算スピードと勤勉さではとても敵わないが、時にえー加減で注意力散漫、無難でちょっとズレた、まるで「頭でっかちでまじめな新人くん」※みたいな振る舞いをします。
いずれもまあ、AI自身がすでに「Gemini は AI であり、不正確な情報を表示することがあります。」のように、堂々と宣言していることではありますが……
※.悪口のようですが、人間同様ただ単にそういう「仕様」だというだけです。AIへのフェアネスの為言及するならば、私はその仕様(自分には無いCan)への課金ユーザーであり、AIを大事な「相棒」だと捉えています。
WillもMustも持たない「頭でっかちでまじめな新人くん」は、その接客業としての仕様の範囲内で、例えそれが本来生産性上望ましいものではなかったとしても、私たち人間のWillとMustを「助けよう」と健気に働きます。私たちがかけた「はしご」を、ただただ猛スピードで昇ろうとする訳です。
ですので最初に戻りますが「生産性が上がるか?」は、AIのCanをきっちり見定めた上で、私たち自身が「AIで何がやりたいか?」というAIの位置付け、方針次第だというわけです。
よって、試験的に取り組むAIプロジェクトを一つだけ挙げるとするならば、志は低いですが ー
「やるべき」で「できる」けど、「やりたくない」こと(下表No.3)
中でも「責任」を社内に留めておくことができるもの、例えば社内の雑務なんかをAIに肩代わりさせるのが、一番向いています。この仕分けには、下表を参考にしてみてください。
一方で社内の仕事の中には、合理的理由なく「やるべき」と信じ込まれているものが、多々あります。
「やるべき」という「思い込み」を、わざわざAIのコストを使って永続化してしまったら、目も当てられません。
しかし従業員の立場としては、真っ先にAIに丸投げしてしまいたい「やりがいのない」雑務であることが、志的には悩ましいところです。
本当はAI活用の如何に関わらず、まず第一に「やるべき仕事」と信じ込まれている「雑務」を探し出すこと、そして「やめる」ことからはじめるべきなのです。
よって、本来の進め方としては
①No.5〜8に該当するものを探し出して「やめる」
②No.3のAI化から、AI活用を進めて行く
となります。
さて先程のリトマス試験紙を、私たちのようなソフトウェア開発会社に当てはめ、「生産性分け目の関ヶ原」 = AIの位置付けに充分留意すべき、類似して見える極端な二例として挙げるとー
「AIにプログラムを作らせる」ことと
「AIによるプログラム開発の効率化」
が挙げられます。
「文系でもプログラムが作れた!」
一時期流行ったローコード開発に似たような熱狂を、2026年8月現在感じますが、私にはみんな大好き「野良Excelマクロ」や、「野良Excelシート」が、より厄介に形を変えただけのように思われてなりません。
プログラマーは最早必要ないのでしょうか?
以下はプログラマーの例ですが、人間のプロンプト(命令)に応じて、学習データの中から論理的な計算結果を導き出すという点において、「プログラミング」を「資料作成」等に置き換えていただいても、ほとんど変わりはありません。
AIの生成物をそのまま責任を持って世に出せるか否か、「AIに仕事を奪われる」か否か、これをみなさまの仕事にも当てはめ、考えてみてください。
そもそもプログラム(資料)が書けないヒトには、AI生成物の査読能力がない為、プログラム(資料)に対して「責任」を負うことができません。
AI生成物への査読能力を保ち続け、プログラム(資料)に対して責任を負い続ける為には、査読者はプログラム(資料)を書き直す必要、書き続けている必要があります(特にプログラムは、書き続けていなければあっという間に陳腐化して行きます)。
AIはただただ学習データに準じた、平均的なプログラム(資料)を書くだけです。今や誰もがPC/スマホを使っているように、競合も当然AIを使いますから、「AIにプログラム(資料)を作らせる」ことは、むしろ「差別化要因」を捨て、相対的競争力を下げること、ひいては生産性の低下につながります。
エコシステムの観点から言えば、プログラミング(資料作成)をする人が居なくなれば、AIの学習データも枯渇し、AIは死を迎えます。そもそもAIというプログラムと、AIの学習データを生み出し、そして今後も育て続けるのは(フリーライダーではない)ヒトという存在です。
細かいことはまだありますが、これらの主要な要素から、私たちであれば、少なくとも「顧客に提供する業務システム」については、人間社会において最後に責任を負うこととなるヒトをあてがうのが当然であると考えています。
一方で私たちヒトが、不完全でバグだらけ、タイポ不可避なのはご承知の通りです。そのためAIを査読パートナーとし、相互に査読と修正を繰り返して行く必要があります。
AIに支援を得ながら、その最後にMust(責任)を持って、「エイヤッ!」とWill(意志)を決定するのがヒトです。
プログラマーのみなさまへのご参考までに、私たちの課では、「顧客に提供する業務システム」について、当面のAIとの役割分担を、以下のように考えています。
【AIの役割】
プログラム作成補助(モック)、単体テスト作成、ドキュメント生成、初期コードレビュー、定型処理の補助
【課員の役割】
アーキテクチャの設計、ビジネスロジックの意図の反映、プロンプトエンジニアリング、プログラミング(AIモックからのものを含む)、プログラムの品質責任(コード査読)
「責任の無いAIにプログラム(資料)を作らせる」のではなく、「責任を負うヒトの業務をAIに支援させる」。
これは業種が変わっても同様です。
「ヒトが主であり、AIが従である」というパートナーシップを遵守することが、結果として最も競争力と生産性につながると考えられます。
責任が少なく、平均点でも良いものに関してはその限りではありませんが、AIはヒトに代わるものではなく、ヒトを補完し、もっと楽にし、もっとWill(意志)、すなわち多様性と競争力を発揮させるための道具です。
一文字間違っていようが、十文字間違っていようが、まずは全体を通して査読しなければならないことも、必要とされる査読能力にも変わりはありませんが、間違いを直すのは一文字の方が遥かに「楽」です。私が個人的に課金しているのも、この十文字という自身の不完全性を、AIの性能によって五文字に、そして一文字へと近づけ、「楽」をする為です。
ヒトにせよAIにせよ「完全」はありません。
よって「不完全なCan」でしか無いというAIの位置付けは、その性能がどこまで上がっても「原則」であり続けます。
一方でヒトとしてのWill(意欲)もMust(責任)も放棄し、AI生成物をそのまま顧客に出せてしまうようなヒトが、AIと天秤に掛けられ、「仕事を奪われる」のも、またこの「原則」の鏡像です。
もしも多くの従業員の精神が、このような「放棄」に陥ってしまっており、鏡像であるAIが、あたかも「魔法の杖」のように見えてしまっているのであれば―
経営者さんは、どうかまずご自身のWillとMustを省みることからはじめてみてください。
「ヒトが主であり、AIが従である」それが生産性の鍵。
「言うは易し」なのですが、ご質問に対し、なかなか電話やメールでは真意がお伝えし辛かったことを、ご理解いただけましたら幸いです。
さて、次のQAに移りましょう。
2026年8月現在多様な選択肢がありますから、一つのものに固執するのも馬鹿げていますが、各自/各社「予算の都合」もあるでしょう。
そこで、一般的なビジネスパーソンや、私たちのようなソフトウェア開発会社が「今後10年を考えた時に、どうしても何か一つを選ばなければならないとするならば?」という視点から、時流のイメージや判官贔屓、好き/嫌いを抜きに、AIと喧々諤々推論してみました。
推論からは、現時点の時流や性能差よりも「資本力」と、PC/スマホといったデバイスにおいて、「マスなOS」を持っているか否かが、将来に向けた選択の基準となりそうです。
もう一つ重要なのは、自身の必要とする分野と被る独占的なソースデータを、最も収集可能なプラットフォームを持っているベンダーはどこか?という視点です。
その意味では一般的なビジネスパーソンの仕事のほとんどが、WindowsとMS Officeで行われている事でしょう。これはMicrosoftが独占的に入手可能な学習データでもあります。
また多くのプログラマーは、VS/Code + GitHub で開発を行っています。これもMicrosoftが独占的に入手可能な学習データでもあります。
よって、時流や性能という面で今はそれ程目立っていませんが、「どうしても何か一つを選ばなければならないとするならば?」という視点で、今後10年を見据えて選ぶなら、圧倒的にMicrosoftのCopilotであろうというのが、私とAIの推論です。
(フェアネスの為言及するならば、私は個人的にはGoogleのGeminiをメインで使っています。それは前表の推論の通り、Googleが「パーソナル領域」では、最終的に優勢になると推論しているからです。スマホOS市場のライバルであるAppleが、次世代Siri等の分野でGeminiと多角的な提携を結んだという構図も、それを裏付けます。)
クライアントサイドがMicrosoftのCopilotになるのであれば、ことサーバ(クラウド)へのデプロイに関しては、MicrosoftのAzureが優位に立ちますが、前表No.5で挙げた通り、各パブリッククラウドは自社データベース等をAIネイティブにして来ています。
例えば私たちであれば、DWH分野においてコストパフォーマンスに優れたGoogle CloudのBig Queryを現在採用しています。その都合上、AIはVertex AI(GeminiのGoogle Cloud版)を使う事になります。※
こちらは現段階においてなにか一つに絞るとすれば、業務要件とコストパフォーマンスに最も適ったパブリッククラウドの選択が、まず先に立つという事になります。
ことエンドユーザーさんに関しては、コーディング済みのインターフェースを触ることになる為「裏で何のAIを使っているのか?」を意識する必要はありません。
※.加えてGoogleは、AIを動かす半導体からサーバに至るまで自社で手掛けており、今後AIの推論コストの優位性が際立って来るものと見込んでいます。
そうなると、少なくともマルチクラウドを採用している場合、プログラマーは複数のAIを使う必要が出てきます。
エンドユーザーさんにしても推論に従うならば、ビジネス領域ではCopilot、パーソナル領域ではGeminiを使い分けることにもなるでしょう。
一方で各AIの無料版を触ってみていただければお分かりいただけるかと思いますが、現状各AI単体では、OSほど使い分けや乗り換えに必要な、インターフェース上の障壁が高くはありません。
よって、サーバサイドを扱うプログラマーは普通に複数のAIを使いこなすでしょうし、クライアントサイドについても単体である限り、それなりにトライ&エラーしていただけるものと思います。
一方で、本格的な業務導入となると、話は別になって来ます。
前表No.2で示したように、AIのプランがMicrosoftであればOffice、GoogleであればWorkspaceにバンドルされ、既に囲い込みが始まっているというのが現実です。
場合によってはストレージやメールの移行等により、乗り換えのハードルが格段に上がる可能性がある事を、予めお断りしておきます。
その意味でも、既にあるOfficeから切り替える必要のない、MicrosoftのCopilotは優位です。
この推論についても、私とやり合わず、AI単独ではまた違った答えを出していたことでしょう。
「どのAIを選ぶべき?」
無責任なようですが、あなたのCanが無い部分で、背中を押すこと(支援)はできても、畢竟Will(意志)を決定し、Must(責任)を負うのは、「あなた」なのです。
これは、私たちのID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPeにしても同じことです。
以上AI開発の社窓より、2026年8月現在のご報告でした。