やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
業界を上げて「品揃えの絞り込み」が喫緊の課題として叫ばれている昨今です。
『ニーズの見える化』がレコメンドしたカット対象商品について、上層部から掲題の問い※を受けた担当者さんからのSOSがありました。
※.実際のご質問からは改竄させて頂いています。
なまじID-POSの時代になり、「調べようと思えば調べられてしまう」からこそのご懸念でしょう。
本件に関する「答え」を先に言ってしまえば、残酷なようですが「含まれているかもしれません」という事になります。
でも「それで良い」のです。
今回は、何故それで良いのか?について、解説をして行きます。
例によって長文※ですが、順を追って最後までお読み頂ければそこに、この絞り込みの時代における、確固たる「あなたのお店の勝ち筋」がある事をお約束させていただきます。
※.目次以降の表面文字数10,990文字。推論平均読了時間は約22分。
一口に「ロイヤル顧客」と言っても、クローンのようにたった一つのペルソナに集約されるものではありません。全員に確かな共通項は、それぞれの置かれた状況、価値観の上において「あなたの『お店』に、強いニーズ※がある」という事だけです。
その証拠に、その「置かれた状況」だけを切り取って推論してみても、状況は様々です。
※.ニーズ = 状況 ✕ 価値観
【置かれた状況(推論)】
近所に住んでいる
近所では無いが、通勤帰路途上に店がある
近所では無いが、自家用車が大きい/運転が不得手(駐車場が広く停めやすい店を好む)
等々
例えば「近所に住んでいる」という状況一つをとってみても、イコール「価値観は同じ」でしょうか?
同じ一次商圏内のロイヤル顧客であっても、ひとり暮らしもあれば、四人世帯もあるわけで、その老若男女の価値観が「全て同じ」だったとしたら、これは恐ろしい事です。
当たり前の事ですが、同じ「ロイヤル」というランクにあっても、お客さまの置かれた状況も、持っている価値観もバラバラ ⇨ 状況 ✕ 価値観 = ニーズ もバラバラなのです。
「ロイヤル顧客が買っているから」という理由でカットを渋るならば、例えそれを分析画面に表示したとしても、「ニーズはバラバラ」ですから、下手をすれば全ての商品に、ロイヤル顧客の購買歴が残り、何もカットできなくなってしまいます。
一方で「ニーズはバラバラ」な筈なのに、掲題のような言葉もよく耳にします。
これは多分「率」で計算して言っているんでしょうね。
分かりやすくする為極端に話しますが、一人しか買っていない商品Aの、その一人がロイヤル顧客だったとしたら、商品Aのロイヤル顧客率は100%となります。
年間4万人の店舗利用者を差し置いて、その一人のロイヤル顧客の為に、商品Aに棚の1フェイスを占有させますか?
あなたは「絞り込みたい」のに?
しかも商品Aは「何となく」買われたモノかもしれず、「それ以外のモノ」をより好んでいるかもしれません。そのカットが離反に結びつくほど、代替不可能 = 来店動機商品 なのかは、当の本人に聞いてみない限り分からない※のです。
※.データ(頻度や金額)から分からないのは、過去記事『レシートは語りだす(第二弾:「売れ筋」の逆襲) 』でも述べた通りです。
同じ事ですが更に言えば、
4人が買っている商品Bの内2人がロイヤル顧客だったとするならば、商品Bのロイヤル顧客率は50%と商品Aに劣りますが、商品Aと較べて、どちらが「あなたにとって」大事な商品ですか?【率の問題点】
4人の中にロイヤル顧客が1人も居なければ、商品Bのロイヤル顧客率は0%ですが、その4人とも年間24万9,999円買い物していたとしたら、どちらが「あなたにとって」大事な商品ですか?【しきい値の問題点】
一方で商品Bについても、そのカットが4人全員の離反に結びつくほど、代替不可能 = 来店動機商品 なのかは、当の本人達に聞いてみない限り分からないのです(確率的には多分バラバラです)。
このように「絞り込みたい」のはあなたです。一人のロイヤル顧客に依存した「一本足打法」では、確率的に危険です。一人のロイヤル顧客よりも、「あなたにとって」統計的に有利な商品を残す事が重要です。
この場合の「あなたにとって」統計的に有利な商品は、きっとロイヤル顧客率に関わらず「多くのお客さまにとって」ニーズのある、商品Bの方では無いでしょうか?
これは「売り手の都合」と、多くの「買い手の都合」の積集合(調和)となります。
一方で「ロイヤル顧客にとって」大事な商品を、「あなたにとって」も統計的に有利(?)な商品として位置づけるならば、それは「多くのお客さまにとって」ニーズのある商品に反します。
これは一人のお客さまのために、その他大多数のお客さまに必要な選択肢、あるいは本来必要な新たなニーズを置くことを妨げる「アンフェア(不調和)」な行いでもあります。
例として挙げた、1人、4人という極端なスケールを変えても、あるいは年25万というロイヤル顧客のしきい値を変えても同じ事です。
「この商品はロイヤル顧客が好みます」※
そのような曖昧な因果関係に腐心するよりも、
「母数(利用ID数)が多ければ、その中に自ずと多くのロイヤル顧客が含まれる」
という統計的真理と、BiZOOPeが計算する『選択肢の束』による代替性のセーフティネット(後述)を基準にした方が、より堅実な判断です。
私たちが喧々諤々「戦うべき土俵」は、そこでは無いのです。
※.確かに「可処分所得が高い」という状況にあるが故に「買える」商品というモノもあるでしょうが、これはロイヤルか否かとの因果関係と言うよりは、可処分所得と(価値観と)の因果関係です。必ずしも可処分所得高=ロイヤル顧客 ではありませんよね?
BiZOOPeの『ニーズの見える化』は、「ロイヤル顧客が多く含まれていないか?」に近い概念として、図の右端から二番目の「顧客店舗利用金額」という指標を持っています。
これは、各商品を利用した顧客が、商品に依らず「店※に総額幾ら落としたのか?」を表す指標です。
この指標をID数で割って、相対的に大きな値(ID金額)が出れば、それは「ロイヤル顧客が多く含まれている」に近しい意味となりますし、商品のカットを決める「採用順」の算出ベースを「顧客店舗利用金額」に変える事ができるようにも作ってあります。
※.正確には分析条件内の店舗群
【図】先行蔵出ししちゃいますが、図中の「選択範囲」が先述の「選択肢の束」すなわち「お客さまニーズ」を表しています。この塊内の商品相互が「代替性のセーフティーネット」として働きます。
それにも関わらず、BiZOOPeの採用順算出ベースのデフォルトであり推奨は、あくまでも「ID数」です。
それは以下の事由によります。
ほとんどの場合、ID数と店舗利用金額は比例する(当然人数が多いほど、店に落とすお金は多い)
その商品にニーズがある人が多い/少ない(ID数)と違い、店舗利用金額と「その商品」の間に直接的因果関係は無い
もしもID金額を採用順算出ベースとした場合、「率の問題」が、「平均値の問題」にすり替わるだけ※
※.「採用順算出ベース」としては、この他にも「加重平均利用者率」を選ぶ事ができますが、こちらもまた「率の問題」を免れません。
何より、過去記事『ID数(顧客数)からはじまる顧客満足|繁盛店への第一段 』で書いた通り、利用者(ID数)さえ居てくれれば、その人たちがより頻度高くお店に通ってくれるか?より多く買ってくれるか?すなわちロイヤル的な振る舞いをしてくれるか否か?は、畢竟お客さまでは無く、私たち自身に掛かっているからです。
その芽であるID数を潰してはいけない。
一方で、現場がロイヤル顧客率の高い商品のカットを恐れる気持ちもよく分かります。
売れていない「ニッチな商品(利用ID数が少ない商品)」程、ロイヤル顧客率が高く成り勝ちだからです。
実際『ニーズの見える化』の前身の一つである『Tapir_MD』が、採用順の算出に一部「ロイヤル顧客率」を組み込んでいましたが、明らかに歪な結果となる事が、経験上分かっています。
統計では既に、このように利用ID数が少ない程、ロイヤル顧客率のような「率」も、ID金額のような「平均値」も、極端な値を取りやすくなる事が知られており、これを「小数の法則」と言います。
これは自明な統計的傾向であり、このように母集団(ID数)が小さく不安定な「率」や「平均値」を、母集団が大きく安定する「率」や「平均値」と比較し、頭を悩ませる必要はありません。
さて、このようにID数の多さを重視するのは、そもそも私たちチェーンストアが、まず第一に頻度や客単価を生み出す「主体」である、顧客から人気の(ID数の多い)店、チャンスのある店を目指しているからです。
その為に昔から私たちは、多くのID数からこそ得られる統計を武器に、多店舗展開、品揃えを行って来た※のです。
この(より一般的な)統計を、先述の「小数の法則」に対して「大数の法則」と言います。
※.単純に言えば、売れている = 各店の大勢の人たちが「選択する」という振る舞いを示しているから「売れ筋」、売れていない = 各店の大勢の人たちが「選択しない」という振る舞いを示しているから「死に筋」と言う「確からしさ」。
その大数の法則では、数が多ければ多いほど結果の「確からしさ」が安定すると言われています。
サイコロを振って「1」が出る確率を計算する場合、1個のサイコロであれば振る回数が多い程、振る回数が同じであればサイコロの数が多い程、「確からしい」結果が出るというわけです。
この複雑で不透明な時代、私たちのビジネスは「確からしさ」を切望しています。
それにも関わらず私たちは通常、「食品」や「雑貨」といった部門にわざわざ分けて(ID数を少なくして)分析をしています。それどころかそれを更に「調味料」や「食油」といったカテゴリーに迄分けて分析をしています。
それは何故でしょうか?
それは「食品」に働く大数の法則と、「雑貨」に働く大数の法則が、根本的に異なるからです。
例えるなら、前者が一般的な6面体のサイコロ、後者が8面体のサイコロを振るようなものであり、同じ土俵で両者を振って出た確率(確からしさ)には意味がないからです。
要は「食品」と「雑貨」が、選択肢として根本的に異なっている(場合によっては母集団(利用者)そのものがズレている)事、よって同じ土俵で売れ筋/死に筋を論じても意味がない事を、私たちが「直感的に理解している」からです。
もしも私たちが無頓着に、「食品」と「雑貨」を分けず、全体で分析していたならば、「雑貨」という選択肢は「死に筋」として、食品スーパーの売り場から、ほとんど駆逐されていた事でしょう。
「雑貨」に対する各チェーンの考え方は様々でしょうが、チェーンストアが大数の法則がもたらす「確からしさ」を武器として思う存分振るうには、数(ID数)が必要な事は勿論、適切に土俵を「分ける」必要がある。これだけは確かです。
私たちが大数の法則を振るえると認知している土俵は、カテゴリーのような細分類にまで及んでいますが、それはその中でなら売れ筋/死に筋を論じても意味がある、統計的土俵の「終着点」なのでしょうか?
すなわちカテゴリーこそが、お客さまにとっての「選択肢の束」なのでしょうか?
どの中から選んでいるのか?
それはお客さまの「実際の利用行動」のみが示す事であり、私たちが直感的に認知する事が不可能※なばかりか、当のお客さまですら明確に認知してはいないでしょう。
※.ベテランバイヤーは、経験上直感的に認知している場合があります。この場合『ニーズの見える化』の分析結果をお見せすると「分かるわぁ〜」と言われますw
大数の法則を存分に振るうには、まだ私たちの「認知の先」がある筈です。
現に食油カテゴリーに、同じ「キャノーラ油1L」が3SKU品揃えされていたり、牛乳カテゴリーに同じ「3.6牛乳1L」が2SKU品揃えされていたりする事。ほぼ同じ用途・機能、ほぼ同じ利用メリットを選択肢として用意している事が、私たちが未だそこに到れていない証明のようなものです。
それはお客さまにとっても、「絞り込みたい」私たちにとっても「余剰な選択肢」です。
誤解しないでいただきたいのは、そのように代替可能な組み合わせであっても、どちらも「選択肢は選択肢」であり、その束である「ニーズはニーズ」であると言う事です。お客さまは双方(特売に掛かっている方/賞味期限が新しい方)を自由に選択/代替する事でしょう。
さて、「絞り込みたい」にも関わらず、なぜ私たちは「余剰な選択肢」を品揃えしてしまうのか?
ID-POSがなく、お客さまが「何と何を、選んでいるか/いないか」が見えなかった時代においては、売り手が直感的にカテゴリーを分けることが、最適かつ唯一の「選択肢の束」の定義方法でした。
諸般の事情については後述しますが、最大の理由は、そのかつての最適解であったカテゴリーを、今も統計的土俵の終着点(選択肢の束)として、大数の法則(売れ筋/死に筋)を振るっているからです。
例えば「キャノーラ油1L」の3SKUと、同カテゴリーの他のSKUとの関係は、同じ土俵で売れ筋/死に筋を論じても意味がない「食品」が「雑貨」を駆逐してしまう例の相似形です。
「異なる選択肢」を「同じ土俵」の中で較べれば、この3SKUが売れ筋上位を独占してしまうからです。
これは「3.6牛乳1L」の2SKUについても同様の事が言えます。
と断定的に言いながら、本当にそれら2SKUや3SKUが、お客さまにとって「ほぼ同じ用途・機能/利用メリット」なのかも確信がつかないまま、私たちは商品を採用したり、カットしたりして、品揃えを行っているのが現状です。
ID-POSがなく、認知する方法が無かったのですから仕様がありませんが、大数の法則を振るえる土俵=「選択肢の束」は、どうやら私たちの認知の先にあるようです。
ID-POSがあれば、実際のお客さまにとっての「選択肢の束」が分かります。
本稿でのロジックの詳細解説は避けますが、「選択肢の束」であるという事は―
束の中では相互に積極的に選ばれている(併買)
が、それに較べて
束の外のものはあまり選ばれていない(非併買)
という事から、統計的に規定されます。
その上でカットロジックについて、先程来の「3.6牛乳1L」を例に 単純に言ってしまえばー
「選択肢の束(2SKU)」の中で「売れている(ID数の多い)方の『3.6牛乳1L』」を残し、「売れていない(ID数の少ない)方の『3.6牛乳1L』」については
「申し訳ないですが、ID数の多い方で代替してもらえないですかね?そっちを選んでいるお客さまの方が多いもんですから......絞り込めば仕入も多く、お安くできますし......」
とするものです。
統計的に、ID数の多い方の「3.6牛乳1L」にロイヤル顧客も多く居る筈です。
また、ID数の少ない方の「3.6牛乳1L」のロイヤル顧客が代替してくれる可能性が(逆よりは)高いという事にもなります。
使いまわしのビールの例で申し訳ないですが、下図(再掲)の「選択範囲」が「選択肢の束」すなわち「お客さまニーズ」。右端二列がカットのレコメンドです。
カットの基準とする「採用順」も、単に「選択肢の束の中でID数の多いもの順」では無く―
選択肢の束を1つ(カテゴリーそのもの)と見た時のID数1位
⇨ 選択肢の束を2つと見た時のID数2位
⇨ 選択肢の束を3つと見た時のID数3位
⇨ .....
のように、大数の法則を効かせる土俵を一つずつ増やしながら、「逆トーナメント方式」のような形で算出されています。
要は代替性の強さ/弱さを完璧にフォローした上での「採用順」であり、代替性が高く、かつID数の少ない採用順下位が、カット対象となる訳です。
このような「採用順」に従えば、「売れていない商品」も「ニーズ」であるとして、多く残す事になります。
「逆トーナメント方式」の組み合わせ次第では ―
「あっちの売れていない商品が残って、それより売れているこっちがなんでカットなの?」
という疑問を持たれる方も多いでしょう(てか、多いですw)。
考えてみてください。そのような「売れていない商品」はきっと「他店でも売れていない」事でしょう。
他店が従来の部門やカテゴリーを土俵とした大数の法則に従っているならば、当然の結果として「取り扱っていない」店が多くなります。
それが「あなたのお店だけ」にあるとするならば、近隣のどの店にも存在し無い「ニーズ」を求めるお客さまにとっては、それはあなたのお店への「来店動機」となります。
逆に「こっちの方が売れてるのに何故カットなの?」という従来の「カテゴリー内でより売れている事」を判断基準としたならば、他店同様、その「来店動機」を、やすやすと手放してしまう事になるのです。
買い物は「ネットワーク(併買)」です。
売れていないその商品が無くなったが為に、「ワンストップ」という利用メリットを享受できなくなれば、当然「店を離れる」という選択をするお客さまも出てくる事でしょう。
「小数の法則」の章で「売れていない商品ほどロイヤル顧客が買っている」という懸念があると述べました。
しかし、その懸念は正確には「売れていない商品であっても、お客さまにとって唯一無二の『ニーズ』=『来店動機』である可能性がある」というものです。
この懸念に対しても、BiZOOPeは先述の通り、代替性の強さ/弱さを完璧にフォローしていますから、より「確からしい」結果をもたらします。
「統計的には」完璧な「確からしさの極北」です。
鋭い人なら既にこう思われていた事でしょう。
如何に絞り込みたい/同一用途機能だとは言え、ロイヤル顧客率以前に―
「そのキャノーラ油、3SKUともリベート対象なんで、カットしてもらっちゃ困るんだよ!」
「その3.6牛乳、両社に交互に協賛してもらって、特売に掛けてるんだけど......」
これはバイヤーなら誰もが避けて通れない、もっともな不都合(売り手の都合)です。
それに加え、実は設計者である「私」にも不都合があります(システム屋の都合)。
「選択肢の束」が、必ずしも「キャノーラ油とキャノーラ油」のような「代替性の束」となるばかりでは無く、「高級なごま油と高級なオリーブオイルと高級なグレープシードオイル」のように、お客さまの「くらしのスタイルの束」となる場合もあるのです。
どちらも「選択肢の束」である事に変わりはありませんが、これでは「高級なごま油があるんだから、高級なオリーブオイルはそちらで代替してもらえないですかね?」なんて、ペペロンチーノを作ろうとしているお客さまに対して、口が裂けても言えません。
ID-POSから統計が導き出した結果は、ことお客さまの「選択」という「事実」については、「お買い物地図」として完璧に描き出されています。
しかし、選択肢を前にしたお客さまの認知能力には限界があります。
正確な「お買い物地図」が描き出されていたとしても、選択肢が多すぎれば、お客さまは混乱してしまうのです。
ここで、あなたと私の不都合に、お客さまからの福音がもたらされます。
例えそれが同一用途・機能、同一利用メリットだったとしても、心理学的に言えば、お客さまはお買い物において、基本的に「選びたい」生き物だという事実です(買い手の都合)。
「ジャムの法則」という心理学実験によれば、選択肢数=7±2が、お客さまが最もお買い上げになる選択肢数だという事が分かっています。
「選択肢の束(選択範囲)」中の選択肢数=7±2であるならば、先述の「リベート対象3SKU」も、「くらしのスタイル3SKU」も、都合よくその中に収まってしまいます!※
※.一般に「売れている」ニーズ(選択肢の束)は、そもそもが2±1の選択肢で構成されます。「売れていない」ニッチなニーズ(選択肢の束)程、多くの選択肢を必要とします(インスタントコーヒーとレギュラーコーヒーのような関係)。
一方で7±2を超える選択肢を用意してしまうと、お客さまは選ぶ事を放棄し始めてしまいます(人間の認知限界)。
であるならば、選択肢数が9超ある「選択肢の束(選択範囲)」において、統計には慮る事が不可能な「心理学的キャップ」として、9番目の採用順までを選択肢として守り、10番目以降の採用順を、意図的に降下させてしまえば良いのです。
純粋な統計の値である「採用順」に、お客さまの「選びたい」けれども「認知限界がある」という心理学的キャップを噛ませたものが「変更採用順」です。
統計学と心理学の積集合に、売り手の都合と買い手の都合(ついでにシステム屋の都合)の積集合 = Win-Win を見出す事ができたのです。
こうして出来たのが、統計にお客さま心理を織り込んだ、本当の「確からしさ」の極北。『ニーズの見える化』のオートカット(トリミング)機能です。
デフォルトで選択肢数 = 9 を超える選択肢は、「変更採用順」が降下され、自動でカットがレコメンドされます。
極限まで絞り込みたければ、選択肢数 = 5 に変更頂いても構いません。
前出から再掲し続けているこの図は、このオートカット機能を適用したもので、図が示す通り、同じニーズ(選択範囲)として括られた11の選択肢が、6SKUに絞り込まれている事が見て取れます。
※.蛇足ながら「選択範囲」中の選択肢が、選択可能な状態に陳列されていなければ、「ジャムの法則」の効果も無くなってしまう事を併せて申し添えさせていただきます(だって7±2の「選択肢」が、全部バラバラな場所に陳列されていたら、簡単には「選べない」でしょ?)。
実は『ニーズの見える化』の前身のもう一つである『Tapir_MK』にはこれ以外にも、もう一つシステム的な不都合がありました。
統計的に「ニーズである」と判断されたものの内、最後の1SKUだけは選択肢として意地でも残そうとし、カットが決してレコメンドされないというものです。
如何にお客さまニーズとは言え、売り手の経済合理性に反する「小数の法則」の世界のモノであっても、です。
これについてもオートカット機能では、「選択範囲そのもの」の利用者率が、0.01%(売り手の経済合理性限界(デフォルト))に満たない場合、「選択範囲丸ごと」変更採用順を降下させ、カットするという機能を実装しています。
世の中の全ての「オート」は、安全が担保されてこそ実装されるものです。すなわちデフォルトの「9」も「0.01%」も定義上、余裕を持っています。
よって、このオートカット機能は章題の()書きにもある通り、決して売り場の骨を断ち切らない、売り場の「トリミング」、品揃えの「トリミング」のようなものです。
ところが現実は、「その商品、ロイヤル顧客は買っていないんだろうね?」と心配される一方で、同時に「全カテゴリー一律で10%商品カット!」といった大号令も飛んでくるのが、私たちのリアルですw
骨どころか肉も、皮すらも断たない、安全な「トリミング」では、「甘い!」という訳です。
さあ!その場合はトリミング対象(オートカット)のSKU数に加えて、ノルマの10%に達する迄、カットすべきSKU数を増やして行っちゃってください!
追加カット分に関しては「変更採用順」に従って、元々の統計的ロジックで「極力安全に」カットして行きます。
※.オートカットの5SKU(4%)を、手動で13SKU(10%)にまで増やしている図。マウスオーバーするとスピンボタンが表れ、カット数を1ずつ増減できます(直接入力も可)。
「上層部の都合」だけで無く、「ヤバッ!このカットレコメンドされた商品、大学の先輩が営業して来た商品だ......」のような、「あなたの都合」だってありますよねw
その場合は、手動でカットを取り消したり、カットにする機能も付けてありますんで、(手動カット/取り消しマークは付きますが)安心してください!
統計学と心理学の調和のみならず、「みんなの都合の調和」を目指しているのが、我がBiZOOPeなのです!w
私たちのビジネスに「絶対」は無く、結局のところすべてが「確率(より確からしいか否か)」と、数字だけでは割り切る事のできない「お客さま心理」(と売り手の都合)によって支配されています。
であるならば、「大数の法則」が働き、「小数の法則」の罠をギリギリ回避できる「土俵」を見つけ出し、そこに「お客さま心理」(と売り手の都合)というキャップ(慮り)を設けて戦う事こそが「ビジネス」です。
従来「売り手の都合」一辺倒であった、カテゴリーという土俵の「個の確率論」から、カテゴリー中のニーズ(選択肢の束)という「群の確率論」+「お客さま心理」+「売り手の都合」へ。
それが私たちのビジネスを「より確からしい」ものにするであろう事は確か(らしい?w)です。
さて、大団円っぽい事を書きましたが、統計的かつお客さま心理的に「より確からしい」事は良いとして、私たち人間の認知では、カテゴリー別の管理でさえ手一杯なのに、いくら何でも「お客さまニーズ別」の管理は不可能なんじゃないの?と思われるのでは無いでしょうか?
だからこその「オート」機能の実装なのですが、もう一点、とっておきの秘策が残されています。
「カテゴリーキャプテン」って言葉、ご存知ですよね?
そうです!「製配販による協働」という手です。
BiZOOPeは製配販で協働できる、ID-POS分析の開示システムでもあります。
詳しくは過去記事『レシートは語りだす(第三弾:「商い」の帰還) 』をご覧ください。
猫も杓子も「品揃えの絞り込み」に走る昨今、天邪鬼な私は、みんながみんなそうするならば、逆張りして「品揃えを増やす」のもチャンスなのでは?と思うのですが……
誤解しないでいただきたいのは、「品揃えの豊富さ」とは、作業効率を低下させ、欠品も在庫も増えてしまう「SKUの豊富さ」ではありません。
あくまでも、お店が応える事のできる、お客さま毎の「ニーズの豊富さ」です。
ここまで読んで頂いた方ならお分かりいただけるかと思いますが、「品揃え(ニーズ)を増やしSKU(選択肢)を減らす」という事ができるのです。
しかし、ニーズが「見えて」いなければ、そんな事はとても叶いません。
選択肢を増やし、ジャムの法則を超えて「選択肢の束」ならぬ「売れ筋の束」を、これまで通り太らせ続ければ、待ち受けているのは「同質化」と、売り手(忙しさ)、買い手(選べない)双方の「カオス」です。