やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
ここではID-POSによる、実践的商品カット業務について記します。
BiZOOPe の 『ニーズの見える化(シン・Tapir−1.0) 』を使ったものですが、BiZOOPeをお使いでないみなさまにも、これからの商品カット/絞り込みの考え方として、大いに参考にしていただけるものと思います。
販促商品選定の基礎 でも書いたように、採用は採用順昇順で重点レコメンド付を採用というのがセオリーですが、カットは逆に採用順降順で重点レコメンドなしをカットというのが、ざっくりとしたセオリーです。
来店動機商品は必ずしも「売れ筋」では無い為、それをカットしてしまうことで、来店そのものを失わないようにする為です。
前章「設定早見表」の通り、「オプション」の「1.選択範囲(ニーズ)中の選択肢数」、「2.不要選択範囲」ならびに「cut判定の自動実行」の3つにチェックを入れておくだけで、安全にカットできる商品があれば、図のように該当する商品の「変更採用順」に0、「割付パターン」に文字列cutが、それぞれ赤フォントで表示されます。
これらの商品をカットしていただくだけです。
理論上は、以下2つの基準で自動カットを行っていますので、興味のある方はご覧ください(クリックで展開)。
「選択範囲」は、併買/非併買から導き出された「ニーズ」の塊であり、このようなニーズを持つ顧客にとっての、文字通り「選択肢の束」です。
「選択肢の束」の中にある一つ一つ(この場合単品)が、顧客が買い物の都度選んでいる「選択肢」です。
一方で人間は選択肢が9を超えると、脳の認知が追いつかず、見た途端、あるいは迷った末に「選択を放棄」してしまうことが知られています(ジャムの法則)。
よって「選択範囲」中のこのしきい値(変更可能)を超える選択肢を、売り手にとっては絞り込め、買い手にとっては選びやすい、Win-Winなカット商材として、レコメンドしています。
「品揃えの豊富さ」とは、決して「選択肢の豊富さ」では無いということです(充足可能な「ニーズ」の豊富さです)。
個々の顧客の品揃え要望に応えていてはキリがありません。
如何に「顧客ニーズ」と言えども、経済的な合理性を超えてまで品揃えする必要は無いのです。
では、その「キリ」はどこにあるのか?
統計的には利用者中の0.01%のニーズが、異常と正常の境界線(多様性限界)だと言われています。
個々の選択肢(単品)ではなく、選択範囲(ニーズ)全体として、このしきい値(変更可能)を下回る選択範囲内の選択肢すべてを、カット対象としてレコメンドします。
これらは骨も肉も、皮さえも断たずに売り場を整える、謂わば「トリミング」のようなものです。
特に「選択範囲(ニーズ)中の選択肢数」については、「AIエージェント」から、最大選択肢数5〜9(ジャムの法則)の範囲で、更に絞り込める商品をリストアップさせることができます。
分析画面上部の「AIエージェント」から「カット候補商品のレコメンド」を選択します。
開いたダイアログから、カットしても良いと目される商品を吟味し、「不採用」チェックボックスにチェックを入れ、「チェックしたものを不採用に反映」をクリックすることで、分析画面にカットが反映されます。
但し、最大棚割パターンからその他の棚割パターンを作って行くような場合、最初から選択肢数を絞り込みすぎてしまうと、最小棚割パターンにおいて選択肢がなくなるといった事態が発生する場合もありますので、ご留意ください。
尚、顧客の買い物における「選択」行為を担保するという観点と、選択肢相互が欠品時のバッファ(代替購買)となり得るという観点の両面から、選択肢数の「最低」は、できれば「1」ではなく「2」をおすすめします。
実務上は「新商品との入れ替え」や「一律10%の商品カット」、「新業態のミニスーパーの為に50%の品揃えが必要」といったように、「トリミング」の範囲を超えた商品カットを行うケースの方が多いでしょう。
自動 =「安全」ですが、そのような場合、手動で「なるべく安全」な商品カットを行います。
図のリンク状になった列見出し「採用/不採用」をクリックします。
すると下図のようなダイアログが開きますので、カットしたい商品数を入力/スピンボタン(マウスオーバーで表示されます)で増減させ、「反映する」をクリックすることで、カットのレコメンドを確定します。
ダイアログを開いた時の状態。
この時の自動カット数=6(5%)が設定されています。
カット数を入力/スピンボタンで増減させると、その横に表示されたパーセンテージも変化して行きます。図は、13SKU=10%をカットする設定。
カット反映後の画面。
画面上見えている範囲で、カット商品が2SKU増えていることが確認できます。
カットは「採用順」に対し、自動カット等による採用順降下を反映した「変更採用順」の降順で、設定した必要数まで行われます。
自動カットについても、その優先順位は「採用順」に依拠しています。
「採用順」は「顧客視点から見た必要順」ですが、その計算方法、なぜ他の順位を用いた方法よりも「安全」なのかに興味のある方は、別途 【ロジック】実際には大量の計算が必要なのでBiZOOPeが計算します をご覧下さい。
『ニーズの見える化』による商品カットは、顧客視点から見た必要順という「計算」だけでなく、そこに人間の認知限界、社会的受容限界といった「制約」を与えることで、導き出されています。
その意味で、顧客(マス)の都合を極力守るという意味においては「安全」と言える仕様です。
一方で人間社会である限り、人間関係や取引関係、管理上の都合といった、理屈にもデータにも含まれない(計算や制約の仕様がない)「都合」が必ず存在します。
このカットが、それらの「都合」に対しても「安全か? 」と問われれば「No」と答えざるを得ません。
その場合、手動でカットレコメンドの訂正を行ってください。
カットレコメンドされた商品のレコメンドを取り消したり、代わりにその商品と同じ「選択範囲」中2番目に「採用順」の低い商品にカットレコメンドを付けたりと、自由に訂正を行っていただくことができます。
もともとのロジックによるカットレコメンドを参考にしながら、これを進めていただくことで、顧客の都合一辺倒でなく、売り手の都合も守ってください。
手動でのカットレコメンドの訂正については、マニュアルをご覧ください。
カット後の商品コードの一覧については、その後の棚割等その他の業務にも利用できますので、Excelに出力し、取っておくようにしてください。
以上、商品カット(絞り込み)の技術と実務でした。