やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
商品利用において、顧客は商品を「併買(選択)」する存在です。
それはID-POSのレシート上に記録されます。
それと同様に、顧客はレジレーンを「併買(選択)」する存在です。
それもID-POSのレシート上に記録されます。
「有人レジがいい/セルフレジがいい」。「できるだけ手前のレジにならびたい/なるべく人の並ばない奥のレジにならびたい」。
レシートに印字される「レジ番号」も、それが意識的か?無意識か?は別として、商品同様、顧客の選択/非選択の対象、つまり「選択肢」の一つです。
時間管理としてのLSPは別記事『営業時間・LSP・見切りの技術と実務(顧客の「くらし」を起点とした時間管理) 』に譲り、ここでは BiZOOPe の 『ニーズの見える化(シン・Tapir−1.0) 』を使った、レジレーンへのスキルに応じたチェッカーさんの配置と、レジの開設順序について記します。
下図が分析結果の例です。
その範囲外との「非選択」が卓越、すなわち他のレジ群をほとんど利用していない閉じた範囲が、図中4つの「目的範囲」です。本来その配下の「選択範囲」が、相互利用が平均以上に発生しているレジ群の範囲となるのですが、今回分析において、この両範囲は一致しています。
すなわち、顧客のレジレーンに対する利用の好み、または時間帯による開設の有無が、明確にこの4つに分かれているということになります。
<図:レジ番号ごとの併買(選択)の多さで、クラスタリングした結果>
各レジ番号(選択肢)は顧客による利用関連性の高さ(図中の「関連順」)のみに基づき並んでいるため、必ずしも綺麗な番号の昇順/降順に並んではいませんし、地理的な設置場所そのものを示す訳でもありません。
常に全てを開設している訳では無いことから例外はあるものの、図中最下段の「目的範囲f4」の104番レジ〜109番レジ、その上の「目的範囲f3」の101番レジ〜103番レジのように、エリア的に近しいと思われるレジ同士が固まっている傾向が見て取れます。
はじめにお断りしておきますが、筆者は図(再掲)の店舗を知りませんし、レジ番号やその桁数が何を意味しているのかも存じてはいません。
一方で必要とされるチェッカーさんの人数は、有人でセミセルフの場合1台につき1名、繁忙時の二人制の場合2名、無人で5台につき1名と言われていますので、論を進める上において、それらの別を、ある程度認識しておく必要があります。
これを、図中の各目的範囲に対応した利用者率と、レジ番号のコード特性から推論すると、下表のようになります。
この推論に基づくならば、顧客ごとの「好み」という点では、有人(f1とf2)― 無人(f3とf4)間の非併買という形で、明確に「好み」が分かれることが分かりましたが、こと有人レジ同士である f1ーf2間の非併買、無人レジ同士である f3ーf4間の非併買については、冒頭で挙げたような位置による好みの差というよりは、開設/閉設タイミングによって発生している非併買と見たほうが適切でしょう。
但し、もしもこの推論が当たっていたとするならば……「顧客の併買/非併買から、それをきっちり炙り出せる『ニーズの見える化 』のロジックは本物だ!」と思っていただけましたら、せめてもの幸いです。
さて、本来本論を進めるためには、全台を数週に渡って開け実証実験をする必要がありますが、それでは現場の方々に、多大な迷惑と人件費を掛けてしまいます。
多分、システム側の条件設定において、全台開設していると目される(顧客が全台選択可能な)曜日や時間を指定できるようにした方が良いのでしょう。ユーザー様からの「エンハンス目安箱」へのエンハンス要望の投稿をお待ちしております。
それでは気を取り直して、以降ではそんな機能があたかも実装されているような前提で、しれっと話を進めさせていただきます。
悪しからずご了承願います。
レジ全台がすべて開設していると仮定したとするならば、この図(再掲)は、目的範囲「f1のレジ群の中からしかレジを選ばない顧客」、「f2のレジ群の中からしかレジを選ばない顧客」、「f3のレジ群の中からしかレジを選ばない顧客」、「f4のレジ群の中からしかレジを選ばない顧客」という、大きく4種類の「好み」を持った顧客の存在を意味しています。
それぞれの「好み」を持った顧客の中で人気No.1(ID数最多)の、各範囲内で最も並ぶ確率の高いレジに「重点レコメンド」1stが振られています。
「好み」の異なる顧客に、それぞれなるべく満遍なく「満足」を提供するならば、f1〜f4のレジ群それぞれの人気No.1 = 1stレコメンドのレジに、より接客と登録スピードに優れたチェッカーさんを配すべきだと考えられます。
今回分析ではそうはなりませんでしたが、「選択範囲」が「目的範囲」よりも細かく分かれた場合、「選択範囲」内の人気No.1には「重点レコメンド」2ndが振られます。
図では3rdという重点レコメンドも表示されていますが、これは後述する「採用順」昇順でのID数の単純累計が、「マーケット計」のID数に満たなかった場合に、それが「マーケット計」に至るところにまでに振られる「重点レコメンド」で、1st、2ndと併せて「『マーケット計』を満たすために、最低限開けておくべきレジ」であることを意味します。
図では、「目的範囲f1」に4つの3rdレコメンドすべてが集中していますが、額面通りに捉えれば、これは「目的範囲f1」の顧客の「好み」が、更に顕著に分かれていることを意味しており、当然それらのレジにも1st、2ndに次いで接客と登録スピードに優れたチェッカーさんを配すべきということになります(但し本来的には、「目的範囲f1」の中でも更に開設/閉設タイミングにズレがあるものと推論されます)。
図の列見出し「採用順」をクリックして昇順に並び替えれば、これが各レジに配すべきチェッカーさんの「スキル順」になります(二人制で言えばチェッカーの順番。セルフの5台に一人についても要考慮)。
図で言えばレジ番号51番に、最も優れたチェッカーさんを充てるべきだと言う事です。
一方でこれは、ピークに向けて開けて行くべき、レジの「開設順」とも言えます(降順で言えば「閉設順」)。
顧客の「好み」への対応という面で言えば、閑散時に有人レジ51番と無人の107番を開けておき、来店の増減に従って、「採用順」でレジを開け閉めして行くといったイメージです。
図(再掲)中、リンク状に表示されたID数を(目的範囲/選択範囲/選択肢共)、クリック(任意複数可)することで、該当する顧客コードをダウンロードすることができます。
ダウンロードした顧客コードを、その他の分析メニューから読み込ませることによって、もしかしたら利用しているレジレーンの好みによる、顧客の嗜好の違いが明らかになるかもしれません。
下表は、有人レジ利用者と目される目的範囲f1、f2の利用者と、無人レジ利用者と目されるf3、f4の利用者をそれぞれ抜き出し、「ベン図でポン」で「有人レジのみ利用者」と「無人レジのみ利用者」、「有人/無人かけ持ち」に分けた後に、分析メニュー「商品 ✕ KPI」でカテゴリー別に分析し、EXCELで加工したものです。
※1.レジ前エンドという前提から、温度帯の管理が必要なカテゴリーを除外しています。
※2.その上で、いずれかの顧客に±3%以上の「大きな差異」が認められるカテゴリーに絞っています。
※.IM=ルウ、レトルト、素、レンジアップ、簡便調理等のインスタント・ミール
分析のヒントとしては、ダウンロードする顧客を、分析画面上で「詳細」をトグルしたときにだけ表示される「R顧客(2回以上利用者)」に絞ったり、より開設時間が長いと目される目的範囲の利用者(有人はf2、無人はf4)に絞るといった方法も考えられます。
ここではこれら分析方法や、ここからの仮説、単品分析に踏み込むことはしませんが、「やり方」と「考え方」の例として、ご参考にしていただければ幸いです。
尚、顧客コードのダウンロードについては、マニュアル「出力結果画面の共通操作」より「ID数」、「顧客コレクションからの操作」をご参照ください。
以上、顧客満足のためのチェッカー配置とレジレーン開設の技術と実務でした。