やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
ここで言う「レイアウト」とは、単品では棚割、チラシやカタログの紙面配置等、部門やカテゴリーではフロアやゴンドラレイアウト等のことを指します。
また、ここで言う「スペース」とは、単品ではチラシのコマ数等、部門やカテゴリーでは坪数やゴンドラの台数、段数等のことを指します(単品のフェイシング数については、「業務別追加表示項目」=「棚割」で別途機能を用意しています)。
BiZOOPe の 『ニーズの見える化(シン・Tapir−1.0) 』を使ったものですが、BiZOOPeをお使いでないみなさまにもID-POS時代の、顧客が「見つけやすく」「選びやすい」レイアウト、最適なスペース分配の考え方として、大いに参考にしていただけるものと思います。
図中の「関連順」は、数値が近いほど併買関係すなわち相互の関連性が高いことを意味する数値です。
図で言えば、例えば関連順1と3の選択肢同士より、関連順1と2の選択肢同士の方が関連性が高い=より選ばれていることになります。
更には、共に連続する関連順2と3と、3と4であれば、同じ選択範囲(f1_n1)内に属する、関連順2と3の方が、関連性は高いと言えます。
※.図は「AIエージェント」⇨「目的範囲・選択範囲のニーズ要約」から、ニーズ名を推論、要約済のもの。
関連順は、商品相互の実際の関連性という視点から見れば、理論上そのまま「レイアウトの順番」と言っても差し支えない数値です。
一方で本稿全般に言えますが、実務上は、商品のサイズや重さ、上下左右のようなレイアウト上の優位地、ブランドロック、品出し/発注のような現場の作業性といった、データからは掴めない物理的/心理的/政治的/経済的な制約を無視することはできません。
よって後述して行きますが、レイアウトの進め方としては、勘と経験を活かしつつ、大雑把に ー
「目的範囲」単位のレイアウトを決める
「選択範囲」単位のレイアウトを決める
「選択肢」単位でのレイアウトを決める
といった順序で進めて行きます。
関連順については、主に「この商品の隣にどちらを置くべきか?」と迷った際に、関連順の数値が近い方を置くといった用途に用いてみてください。
図中の「目的範囲」、「選択範囲」は併買/非併買から導き出された「選択肢の束」です。
顧客は次の図のように、それぞれの「くらしのスタイル」に応じて、売場内で各々の目的(目的範囲)に向かって散り散りに分かれて行き、次いで各々微妙に異なる「ニーズ」に応じて「選択肢の束(選択範囲)」の中から選択を行っています。
この表は謂わば、顧客による売り場の「お買い物地図」を俯瞰したものであり、現時点で売り場がこのようにレイアウトされている訳では無いにも関わらず、顧客がこのような選択をやってのけていることを示すものです。
よって理論上はレイアウトを「お買い物地図」通りにすれば、各顧客が各々の利用目的を「見つけやすく」「選びやすい」売り場、わざわざ「やってのける」必要のない、買いやすい売り場となる筈で、当然売上も上がります。
一方で関連順と同じく、実務上の制約条件を無視することはできませんので、これを見た段階で、大雑把ではあってもこのようなレイアウトが不可能と判断される場合、以降のレイアウトに従う必要はありません。
但し「選択範囲までは無理だが、目的範囲ならおおよそ可」といったケースもありますので、「どこまでの数字を利用できるか」を見極めてください。
それでも不可能な場合、政策の方向性をレイアウトから、顕著な「目的範囲」や「選択範囲」のコーナー化やキャンペーン、クーポン等に活かすことに切り替えてください。
※.顧客のニーズは、このように明らかに「まだら」な形で存在しているのですが、棚割のように作業効率が関連する「物理配置」については、できれば極端な「まだら」さを解消するようなカテゴリーの細分化が必要と言えます(本稿の例で言えば、例えば「ケース」は、売り場の現実や作業性に即し、「まだら」に混ざり合わないよう、本来別カテゴリーとして扱うべきです)。
レイアウトの話に戻ってあらためて意訳すれば、レイアウトの順番はー
マーケット > ニーズ > 選択肢
となります。
「目的範囲」同士の間では、非併買が卓越しますので、これらは「別のマーケット」とでも言うべきもので、顧客からすれば「別の目的」です。
よって目的範囲の選択肢群が、売り場として明確に集積している必要がありますし、「関連順」はあっても相互にほとんど非併買であるため、最もダイナミックにレイアウトを動かすことのできる単位です。
そのため、まずはこの単位でのレイアウトを検討します(下図は分析画面を「顧客接点」タブから「目的範囲」タブに切り替えたもの)。
レイアウトの目的は「より多くの人の目に止まり、手に取ってもらえる確率を高めること」にありますので、まずは、よりマーケットサイズの大きな「目的範囲」を優位地(主通路側進行方向手前等)にレイアウトします。
図では利用者率36.12%の目的範囲f10や、35.12%の目的範囲f5がそれに当たります。
次いで、それを楔に各目的範囲をコード順で這わせていくというのが、最も簡単な考え方となります。
勿論非併買が卓越する「目的範囲」同士ですので、コード順ではなく、直感に基づきバラバラに動かしてレイアウトしてしまっても構いません。
「選択範囲」の中では、併買が卓越していますので、文字通り「選択肢の束」そのものです。
併買が卓越するのはあくまでも「選択範囲」中の「選択肢」同士ですので、既にレイアウトが決まった「目的範囲」の範囲中で「選択範囲」をレイアウトして行きます(下図は分析画面を「選択範囲」タブに切り替えたもの)。
それ以外の考え方、手順については「目的範囲」同様です。
「選択肢」のレイアウトの基本は、まさに「関連順」そのものですが、「マーケットサイズが大きいものを優位地に」という考え方はこれまでと同様ですので、これを優先するようにしてしてください。
「目的範囲」内で一番マーケットサイズが大きな選択肢には「重点レコメンド」に1stが、「選択範囲」内で一番マーケットサイズが大きな選択肢には2ndが振られています。
これらが、各顧客ニーズへのマグネットとなります。
レイアウトにおいてはスペースの割り当てが欠かせませんので、ここでは分かりやすいように「顧客接点」を「分類」に切り替えて、菓子部門における各カテゴリーへのゴンドラ本数の割り当てを例に解説します。
図の右端上部の、リンク状になった列見出し「理論スペース分配」をクリックします。
次の図のダイアログが開きますので、分配したいスペースの数を入力、またはスライダーボタン(マウスオーバーで表示)で増減します。
図では、売り場のゴンドラ本数16台を分配します。
「反映する」をクリックすることで、下図のように各カテゴリーにスペース(この場合ゴンドラ本数)が割り当てられます。
一口にスペースと言っても、坪数等様々な概念に対応させようとしているため、列見出し「分配数」には小数点を含んだ単純計算によるものと、整数化するために「採用順」昇順で小数点以下を切り上げ※ながら割り当てていったものの2つが存在しています。
そのため、図では採用順最下位(7位)の「和焼き菓子」の後者の分配数が0になってしまっています。
これでは両者の値を見ながら、上手く最終調整を掛けて行く必要があります。
※.分析条件に含めている、あるいは「採用順」が0ではない = 採用すると決めたならば、必ずスペースの単位である1を消費するため、切り上げ。
一方で、ゴンドラ1台に段が5段あるとして、16台 ✕ 5段 = 80段を分配するものとすれば、結果は以下のように変わります。
汎用的に作られているが故に、同じスペースの割り当てであっても、それを各カテゴリーへの「ゴンドラ本数の割り当て」と考えるのか、「段数の割り当て」と考えるのかで大きな違いがもたらされます。
同じものであれば、基本的にはより細かいもの(割り当て総数の大きくなるもの)を割り当てた方が政策精度は高まりますので、是非工夫してお使いいただければ幸いです。
「販促単品分配」同様、「利用者の多いマーケットこそ、多様な価値観に溢れている」⇨「より多くの品揃えを割り当てるべき」というID数比例の発想を基本としつつも、プレゼンテーションとしての露出を考えれば、一人の一度の買い物で売り場から剥がされて行ってしまう数 = 客点数への比例も考慮する必要があります。
一方で棚割図やフロア図といった「平面図」に見られるように、この場合割り当てるスペースとは、顧客に対するプレゼンテーションスペース=文字通り「面積」であり、在庫を含んだ「体積」ではありません。
「体積」を構成する奥行き方向は、物によってはゴンドラを超え、バックルーム、そしてDCへと延伸されて行きます。これはID回数(頻度)に比例します。
よって計算式は、頻度を除去した「点数÷ID回数 = ID数 ✕ 客点数」への比例を基本とし、以下のように割り当てられます。
在庫は頻度に対する備えであり「点数比例」、スペースは頻度の無い世界「点数 ÷ 頻度」比例であるということです。
以上、レイアウトとスペース分配の基礎についてでした。