” ニーズが見える ” ID-POS分析
ID-POS分析では殊更に頻度、頻度と言われます(利用頻度や来店頻度)が、一概に頻度を高めれば良いというものではありません。
特に単品の利用頻度に偏重すると、品揃えが高回転商品に偏り、目的買い商品の欠落から利用者数を落とすという事に繋がり兼ねません。
重要なのは、ID-POSなら「頻度が分かる」という事です。
これは逆説的には 頻度が無い世界を扱える 事も意味しています。
BiZOOPeでは利用頻度をID回数(ID数で除した利用回数)と呼んでおり、
ID回数 = 客数 ÷ ID数
で計算されます。
ID数で除しているので、ID-POSデータからしか掴めない数値である事がお分かり頂けるかと思います。
客数とID数が店の利用を指す場合には特に来店頻度と呼ばれます。
売場には売上を増やすというマーケティング的側面と共に、在庫、作業を減らすという利益管理的側面があります。
その為それらをバランスさせる為に「売れ数比例フェイシング」という言葉が知られていますが、実際にフェイシング数を売れ数に比例させると、かなり大きな偏りが発生します。
品揃えの性質上、置くと決めた商品は例え月に1個しか売れなくても必ず1フェイスを専有しますので、極論ですが毎日売れる商品をこれに比例させれば、約30フェイスを専有する事になってしまいます。
これは、顧客に向けた”面”であるフェイシングを、顧客からは見えない奥行きを持つ”体積”である在庫に比例させる事で起こる誤謬です。
在庫が売れ数に比例するのは望ましい事ですが、奥行き分迄面に積み上げる必要はありません。
ゴンドラの奥行き方向に必要な在庫数は商品によってまちまちで、奥行きが必要の無いものから、バックルーム在庫が必要なもの迄多岐に渡ります。
そうなると、フェイシングは勿論、ゴンドラ本数、売り場面積等顧客に向けた”面”については等しく奥行き=1とした、必要とされる”面”の割合として算出されるべきだという事が分かります。
等しく奥行き=1とした時に、作業回数はID回数に比例します。
そうなると、”面”は頻度の無い世界、 点数 ÷ ID回数 = ID数 ✕ 客点数 に比例する事となります。
この指標には未だ名前がありません(私自身は「スペース指数」と呼んでいます)。
図では450坪の売場面積を各部門に点数比例で割り振った場合と、点数÷ID回数比例で割り振った場合を算出してみました。
※.四捨五入している為、SUMが450坪にならないかもしれませんがご容赦下さい。
チラシ紙面や、webチラシ、ネットスーパーと言ったwebページも文字通り”面”だけの頻度の無い世界です。
表面上は在庫も作業も関係せず、基本的にフェイシング数=1の世界でもあります。
共に掲載商品数に限界がある為、様々な顧客に万遍なく響く商品割り振りを行わなくてはなりません。
利用者の多いマーケット程、多くの品揃えが必要
と仮定すれば、品揃え商品数はID数に比例する事になります。
面積=品揃え商品数 ✕ 平均フェイシング数 と捉えれば、客点数は平均フェイシング数に比例すると考えられますが、あくまでも客点数ですので、同じ商品を2点買っても、2つの商品を1点づつ買っても同じ2点であり、部門によって意味合いが異なって来る事に留意が必要です。
図ではチラシの表面20品目を各部門に点数比例で割り振った場合と、ID数比例で割り振った場合を算出してみました。
※.四捨五入している為、SUMが20品目にならないかもしれませんがご容赦下さい。
店頭、チラシ、webと言った「顧客の目に入るもの」の配分においては、頻度の無い世界、面の世界での意思決定が必要です。
マーケティングには、頻度が分かるID-POSが必要という訳です。
実は面積比率を求めるにあたって、「点単価が商品サイズにおおよそ比例したりしないか?」だとか、チラシ商品の配分にあたって「点単価が来店動機のハードルを表しはしないか?」とまだまだ夢想しているところです。
今後も引き続きID-POSの世界を実証実験と共に深堀して行きます。