やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
ここでは主に、メーカー視点での「単品クーポン」複数SKUによる「アイテムクーポン」を例に、 BiZOOPe の 『ニーズの見える化(シン・Tapir−1.0) 』を使った、「三方よし」なターゲティングの方法について記します。
マーケティングの大原則。それが「三方よし」です。
クーポンによって売上が上がることを考えれば、単品クーポン/アイテムクーポンは主に「メーカーよし」な政策です。
クーポンは多く撒けば確率(ヒット率)は下がりますが、利用者のボリュームが上がりますので、多目に撒きたいところです。
一方で、コストの問題に加え、自社商品同士のカニバリゼーションの問題があります。
「正しいターゲティング」は、メーカーにコストバランスに優れた売上アップをもたらすだけで無く、顧客ニーズの在り方次第では、ブランドスイッチを狙うこともできます。
大っぴらな売り場変更も無く、競合メーカーの認知をかいくぐった水面下で、フットワーク軽く暗躍できるのも単品クーポン/アイテムクーポンのメリットです。
但し、メーカー自身が出したいクーポンを出したい時に、無理のない予算の範囲で出せなければ、「メーカーよし」とは言い切れませんし、クーポンによる自社競合の問題もまた然りです。
小売にとっては、単品クーポン/アイテムクーポンで単品やアイテムの売上が上がっても、カテゴリー全体の売上は多くの場合、カニバリゼーションで相殺されてしまいます。
それでは小売にメリットはないのでしょうか?
余り知られていませんが、小売にとっての単品クーポン/アイテムクーポンの最大のメリットは、客単価はそのままに、「クーポン利用者」の来店頻度が増える(平均月0.4回前後)事です。
これが「単品ポイント」等にはない、クーポンの小売にとってのメリットです。
この面で、単品クーポン/アイテムクーポンは「小売よし」の政策だと言えます。
一方で、それによって現場のオペレーションに負荷と混乱をもたらすようであれば、必ずしも「小売よし」とは言い切れません。
これでクーポンを受け取った顧客が喜んでさえくれれば「三方よし」で、言う事なしの政策なのですが、ターゲティングにおいて、売り手に最も欠けているのが、この「顧客よし」の視点だと言えます。
消費者としての私たちを振り返って見れば、「何にせよお得なんだから問題ないでしょ?」というものではありません。
私たちが日常的に受け取っているweb広告やクーポンの殆どが、「喜び」とは程遠い「無関心」、時に「不愉快」の域にあるのはご存知の通りです。
「喜ぶ」確率が博打のようなもので、無関心、あるいは不愉快しかなければ、顧客のクーポンに目を通す意欲、アプリを開く意欲を減退させます。
小売も自社の顧客の無関心や不愉快を望みませんし、メーカーも、ブランドへの顧客の無関心や不愉快を助長することは望みません。
当然この世は「確率」に支配されている訳ですが、メーカーであれ、小売であれ、顧客であれ、三方等しく「喜ぶヒトに喜ぶモノを」の確率を高め続けること、それがターゲティングの、ひいてはマーケティングそのものの目指すべき姿です。
ここでは、次の図の最上段に表示されている選択肢「サントリー生ビール500ml×6本」の単品クーポンを出すものと仮定します。
図中リンク様に表示された「ID数」をクリックすることで、クリックした部分の顧客コードを、ターゲットとしてダウンロードすることができます(任意複数箇所の指定と、重複を排したダウンロード可能)。
顧客コードのダウンロードについては、マニュアルをご覧ください。
※.図は「AIエージェント」⇨「目的範囲・選択範囲のニーズ要約」から、ニーズ名を推論、要約済のもの。
単純化すれば、ターゲットの考え方としては大きく以下の3種類があります。
売り手としては、どうしても「買っていない人に買わせたい」というエゴが大きくなりますが、買い手のエゴとの調和を図るのであれば、それなりに併買(スイッチ)が期待できる「目的範囲」の利用者までが、エゴの拡大の限界点であり、「三方よし」に繋がるというのが、基本的な考え方となります。
一方で範囲を広げれば、メーカーの立場としては「自社競合」が懸念材料となって来ます。
下図は再掲ですが、今回の例で言えば、自社商品の食い合いが多く生まれる「目的範囲(2/10SKUがスイッチ対象)」の利用者よりも、競合商品の利用者をピンポイントで狙える「選択範囲(2/3SKUがスイッチ対象)」の利用者をターゲットとし、予算を配布枚数よりも、還元率に振り向けた方が得策であることが見て取れます。
例え潤沢な予算があり、出したいクーポンを出したい時に出せたとしても、このように「何とカニバリそうか?」という市場の現実が目視できていなければ、必ずしもメーカーの「嬉しい」には繋がりません。
逆に政策を、範囲内の自社商品すべてを包含するような「アイテムクーポン」として、より強力な政策に練り直すというのも一つの考え方です。
※1.自社競合を避けるために「自社商品の利用者を除く」を実現したい場合、『ベン図でポン! 』を駆使すれば、目的範囲の利用者から自社商品の利用者を取り除くことができます。
※2.他社商品の利用者のみをクリックし、ダウンロードするという方法も考えられますが、顧客は「併買」をする存在です。他社商品の利用者としてカウントされているID数が、必ずしも自社商品の利用者でないとは限りませんし、どちらをより好んで(回数多く)買っているかも、顧客ごとに明細を確認しなければわかりません。
※3.いずれも政策ボリュームが矮小となり「小売よし」を、最も喜ぶ可能性の高い顧客の除外で「顧客よし」を損なうことから、「三方よし」のマーケティングの原則に反します。方法を示しながら何ですが、おすすめしません。
クーポン対象とする単品またはアイテムが決まっており、ターゲット人数と予算との兼ね合いだけで、サクッとターゲットを決定したい場合、「AIエージェント」を用います。
次の図のように分析画面最上段の「AIエージェント」から「クーポンターゲット顧客出力」を選択します。
次のダイアログが開きますので、クーポン対象の商品コードを入力またはコピペします(任意複数可)。
図では、例であげた「サントリー生ビール500ml×6本」の商品コードを貼り付けてみました。
「顧客一覧を出力する」をクリックすることで、下図のように範囲毎のターゲット数(利用者数)が計算されます。
予算に応じ、リンク様に表示された人数(各範囲の利用者が、重複なくマージされています)をクリックすることで、該当する顧客コードのダウンロードが始まります。
尚一般的にこの機能を利用する場合、自社競合はさておき、小売にとってのメリットが最大化される「目的範囲利用者」をターゲットとして設定します。
このように、単品クーポン/アイテムクーポンには「来店を増やす」という「小売のメリット」があります。
またチラシのように紙面という物理制約がなく、協賛さえ得られれば、特段売れ筋や高粗利商品に拘る必要もないため、顧客からしてみれば「こんな商品のクーポンがもらえるのは、このお店だけ!」というメリットにも繋がり得ます。
当然、現場のオペレーション設計を充分考慮する必要がありますが、常態的に、バラエティーに富んだクーポン企画を走らせ続けることができれば、来店に間違いなくプラスになることが考えられます。
これは実証実験に迄は至れていませんが、ご興味あれば、別途【小売業は”三方よし”のプラットフォーマーへ!?】クーポン市場構想 をご覧ください。
以上、ターゲット顧客選定の技術と実務についてでした。