” ニーズが見える ” ID-POS分析
以前 ID-POSでドミナント戦略? という記事において、併買を利用する事でドミナントを可視化する事を試みましたが、その結果を受け「ホールディングスの三業態でドミナントの可視化ができないか?」とのご依頼を頂き、前回に引き続き卸・メーカー向けID-POS提案ツールテンポラリーTapirを使ってやってみました。
ホールディングスで複数業態と共通会員カードを持っているという事は、ドミナント内での業態間送客や、全業態を挙げての競合店対策といった、全く未知の戦略領域に踏み込める事を意味しています(現状参考に出来る小売業さんは少ないでしょうが。。。)。
※. テンポラリーTapir のジャーナルの商品コードカラムを店舗コードに置換(サマリー不要)し、商品名称データを実質店舗マスタにしてしまい分析に掛けるという離れ技で実現しています(部門やカテゴリーのクラスター分析も同様の方法で実現可能)。
図は実在の店舗の距離感と地理感を、静岡市周辺の架空の店舗の距離感、地理感に落とし込んだものです。
店舗名の先頭に付けた文字列は、SM=スーパーマーケット、DRG=ドラッグストア、HC=ホームセンター を指します。
seg_fをエリア、seg_nをドミナントと呼ぶ事とします。
・エリアseg_f=f5内で、ドミナントseg_nが川やトンネルにより分断されている事が分かります。
・ドミナントseg_n内において同業態が固まっており、seg_n間の接続も同業態の並びで接続されている事から、地理的に近い異業態間よりも、同業態間での併買が多い事が推察されます。
・エリア旗艦店にレコメンド=1st、ドミナント旗艦店にレコメンド=2ndが振られています。
ドミナントseg_n=f5_n12に競合店が出店して来た場合、ドミナント内の複数店舗で集中的に抗戦をかけますが、単一業態で対抗するよりも、食品はスーパーマーケット、大型品やまとめ買い品はホームセンター、雑貨はドラッグストアと言ったように互いの強みを意図的に押し出しつつ、クーポン等で相互送客を図れば、より多くを競合店から削り取れる事が期待されます。
・ドミナントseg_nについては、充分政策に用い得るドミナント分けになっているとのご意見を頂いています。
・他のドミナントとの間でほぼ併買皆無な閉鎖的ドミナント同士の間で、旅行や帰省等による併買が発生すると、ドミナント同士が「近い」と判定されます(例えば静岡県清水区に形成されたドミナントと、石川県加賀市に形成されたドミナントが「近い」と判定される)。
・従ってそのようなドミナント同士が結合したエリアと、エリア内のドミナント同士の関連性(並び)については鵜呑みに出来ません。また、そのようなエリアの存在は、エリア間の関連性(並び)にも乱れを生じさせています。
・但しエリアはそれなりの広域となる為、現実的政策実施単位としてはドミナントの可視化レベルで充分である旨ご意見を頂いています。
・マーケットとそれを取り巻く環境(道路、宅地、出店、競合等)は常に変化し続けています。敢えて併買実績からドミナントを可視化するメリットは、その変化に追従して行ける点にあります。