重点カテゴリー選定の技術と実務

ここでは何を重点と見るべきか?BiZOOPeTapir_MK を使ったID-POSによる重点カテゴリーの選定の仕方について記します。

ID-POS分析の勘所にも書いたように「各部門はより多くの顧客、すなわち来店客数に貢献しなければならない」という考えの下、ID数の多さ、中でも「それでなくては嫌!」な非併買のID数の多さを重点の拠り所としています。

重点部門、重点単品等についてもセオリーは全く同じですので、是非参考にしてみて下さい。


カテゴリーの粒度が変われば分析結果も変わります。前提となるカテゴリーの粒度についてはカテゴリー粒度の検討 をご覧下さい。

以下、分析条件についてはID-POS分析の勘所 に準じます。

何故そうなるかの理由、用語、ロジック等については別途 Tapir_MKによるマーケティングの教科書 をご覧下さい。

※.以降では理解のし易さの為、粒度が余りに細かすぎるカテゴリーについては除外して集計しています。

重点カテゴリーの設定

図は酒部門のカテゴリーをTapir_MK でマーケット・セグメンテーション掛けたものです。

管理の都合上重点カテゴリーには設定個数があるかと思いますが、単純に言って図の採用順が設定個数以内のカテゴリーを重点とすればOKです。

但しレコメンド=1stのカテゴリーに関しては、設定個数を越えても必ず選ぶようにして下さい。

seg_fは、f1という買い回りのグループと、f2という買い回りのグループ間で起こる併買が極めて少ない事(顧客非重複)を表しています。
その為、双方から1カテゴリーづつを選ばないと、顧客のカバー率が著しく落ちる為です。

seg_nは、seg_n内のカテゴリー間での併買が平均以上に行われている事(顧客重複)を表しています。

その為、1stレコメンドの無い各seg_nからID数最大の1カテゴリー(2ndレコメンド)を重点カテゴリーとする事で、更に顧客のカバー率が上がります。

採用順昇順での、併買を無視したID数の単純和が、2ndレコメンド迄の範囲でID数合計に達しなかった場合、ID数の単純和 ≧ ID数合計 となる採用順のカテゴリー迄3rdレコメンドが振られますので、カバー率を極力100%に近づけたい場合、3rdレコメンド迄のカテゴリーを採用します。

余りに多くのカテゴリーを選んでしまうと「重点とは何ぞや?」となりかねません。レコメンドカテゴリーが極端に少ない場合を除き、基本的には2ndレコメンド迄を、重点の過選択に対する歯止めとします。

ランチェスター戦略を適用し更に絞り込む場合

ここからは応用編です。

自店が他店に対し、酒マーケットにおける相対的な弱者の立場にあった場合、例え一部のマーケットを切り捨てたとしても、ランチェスター戦略に則り、より絞り込んだマーケットで圧倒的No.1戦略を採りたいと考えるケースもあるでしょう。

その場合、最もID数の多いマーケットセグメントであるseg_f = f2 で戦うというのが、よりストアコンセプトから乖離しないセグメント選択となります。

(余談ながらf1がオールドスクールな、f2 がニュースクールな酒マーケットに見受けられます。)

seg_f = f2 で戦う事を選択した時、自店にとってのマーケットは酒部門から seg_f=f2 に変わり、マーケットに参加するカテゴリーも顧客も変わる事から、再度Tapir_MK でマーケット・セグメンテーションを掛け直します。

その結果が図になります。

重点採用の考え方はここ迄と同じです。

マーケットを絞り込んですら酒部門で2番目にID数の多いスピリッツに何のレコメンドも付かないのは、ID数最大のリキュールとの顧客重複が多い事によります(例えばリキュールのクーポンを出せば、スピリッツの顧客は大方カバーされてしまう)。

以上、重点カテゴリーの設定の仕方についてでした。