ID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe
マーケット構造とその利用方法

■マーケットは1つじゃあ無い!

ID-POSとBiZOOPeを使うと顧客から見たマーケット構造(デンドログラム:下図)が分かります。

ここでは単純の為デフォルメし、6商品から成るビールマーケットと言うものを仮定しています。

この構造を水平に分断する位置次第で、POS分析では商品視点から1つにしか見えていなかったマーケットというものを、顧客視点から2〜商品数(図では6)迄、任意の数のマーケットにセグメンテーションする事ができます。

謂わば顧客による商品分類です。

【参考】マーケット・セグメンテーションの原理


前出のような画像であったり、任意の数のセグメントという事では日々の業務に使いづらい為、BiZOOPeではこのマーケット構造を以下のような帳票(代表的項目のみ抜粋)に落とし込んでいます。

マーケット構造とその利用方法の理解

ここでは、明らかになったマーケット構造を業務に利用する為に、この帳票の5つの項目seg_fseg_n並び順採用順レコメンドがマーケット構造とどのように結び付いているのか?の解説を試みます。

■「カテゴリー」じゃなくて「マーケット」?

ここまで読み進める過程で「ビールマーケットビールカテゴリーじゃん!」と思われた方もいらっしゃるかと思います。

売り手が商品管理、利益管理の視点からマーケットを分割したものが、文字通り”商品”カテゴリーです。

ところがことマーケットに関しては、商品(売り手)とマーケット参加者(買い手から構成されているので、売り手側による商品カテゴライズだけでは実際片手落ちな訳です。

売り手視点で分割したものを、買い手視点からも分割するからマーケット・セグメンテーションであって、これをもってはじめて商品政策が、真っ当なマーケティングに昇華されます。

少なくとも顧客の目に触れ、審判を仰ぐ事となる商品政策については、マーケティングであるべきです。

【参考】POS分析がマーケティング足り得ない理由

■マーケティングの為、マーケット構造を帳票にしてみた

前出のマーケット構造(デンドログラム)を左90°横倒しにして、やはり前出の帳票とくっつけてみたのが下図です。

この可視化がやりたくて、本稿では商品数をここ迄絞ってみました。

任意の数のセグメントでは無く、2つの意味あるセグメント、seg_fseg_nに分割している事、seg_fseg_nそれぞれで線を交互に色分けしている事がミソです。

・2つのマーケット・セグメント(seg_nとseg_f)

ある商品とある商品がカニバリゼーションを起こすのは何故でしょう?

それは多くの顧客にとって得られる利用メリットが似通っており、価格政策等次第で代替可能だからです。

seg_n(セグメントnear)は顧客視点からは利用メリットが近く、代替可能な事を、商品視点からはカニバリゼーション必至である事を表します。


ある商品とある商品がカニバリゼーションを起こさないのでは何故でしょう?

それは多くの顧客にとって得られる利用メリットが大きく異なっており、価格政策等をもってしても代替不可能だからです。

seg_f(セグメントfar)は顧客視点からは利用メリットが遠く、代替不可能な事を、商品視点からはカニバリゼーションを起こさない事を表します。

我々がいじれるのは商品だけですから、顧客分類では無く、顧客から見た商品分類である事がミソです。

・並び順

マーケット構造(デンドログラム)中の商品の並びを数値化したものです。

マーケット構造生成の過程で、関連するものから順にくっつく事でこの並びが出来ますので、関連順とも言えます。

色や優位地、大きさ、重さ、作業効率等を割り切ってしまえば、そのまま陳列順や紙面配置順です。

・採用順

商品を一品採用したい場合、一つのマーケットから最も利用者数(ID数)の多い商品を採用するのが、最も多くの利用者を満足させ、来店を維持する事に繋がります。

ですから図では最も利用ID数の多い「アサヒスーパードライ350ml×6本」の採用順が1位になっています。

商品を二品採用したい場合、二つに分割したマーケット(図ではf1=利用メリット=スーパードライ以外、f2=利用メリット=スーパードライ)それぞれから、最も利用者数(ID数)の多い商品を採用するのが、最も多くの利用者を満足させ、来店を維持する事に繋がります。

この場合、一つのマーケット(f2)からは既に「アサヒスーパードライ350ml×6本」が採用されている為、図ではそれでは代替が厳しいもう一方のマーケット(f1)で最も利用ID数の多い「キリンビール一番搾り生350ml×6本」に採用順2位が振られています。

商品を三品採用したい場合。。。

と、マーケット構造を分断する位置を変え、同じように繰り返し計算して行ったものが採用順です。

数値のみだと何の数値を使おうが利用メリットが偏り勝ちな商品選抜に、マーケット構造=形という制約が加わっている事がミソです。

販促商品を選ぶなら昇順で、カット商品を選ぶなら降順で見て行きます。

採用順については「よう分からん!」という方も多い為、別途 【ロジック】商品を採用すべき順番とは? というページもご用意させて頂きました。

併せてご覧頂ければ幸いです。

・レコメンド

売り場に50品を採用したい時、何順で採用しましょうか?

POS分析では図のようなジレンマに遭遇する事があり、結局の所最後は”感覚”で決めています。

ID-POSなら採用順で50位迄を採用すれば問題有りませんが、そもそも50である根拠は何でしょうか?売り場に最低限必要なのは何品でしょうか?

定義上、互いにカニバリゼーションしない代替不可能な塊がseg_fですので、seg_fの利用メリットを代表する(=ID数の多い=採用順の若い)商品一品づつは最低限必要でしょう。

とは言え、seg_fから1品では代替可能性が心許ない為、カニバリゼーション必至の代替可能な塊seg_nから一品づつというのが最低品揃えと言えるでしょう。

BiZOOPeでは前者に”1st”、後者に”2nd”というレコメンドを与える事によって、絶対に採用すべき=カットしてはならない商品を明示的にしています。

これらは顧客にとって最低限代替可能な売り場の利用目的/来店動機とも言えますので、カットする事は(少なくともそれを欲した際の)他店利用を誘導する事になります。