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POS分析がマーケティング足り得ない理由

単品在庫や発注予測等、こと「商品そのものの流れ」を追う商品管理には、サマリされたPOSデータによる商品視点のPOS分析が、データも圧倒的に小さく、流通業の都合に叶っていて便利です。

しかし、すべからく顧客の都合に関わる商品政策=マーケティング」については、顧客視点を加えた顧客ID付POSデータ=ID-POSを用いるべきです。

とは言え、顧客 と 商品 を結び付けない(=顧客の都合流通業の都合重なる部分にフォーカスしない)、顧客管理、またはPOS分析の延長とも言えるレガシーなID-POS分析は、顧客の都合を無視した流通業の都合 と言える代物です。

図:ベン図|どちらか片方の都合だけを優先すれば無理が出る→いづれ破綻するのは自明の理

このベン図は思考モデルです。

顧客はそれぞれに異なる自らの都合によって動き、小売業の都合で”管理”されたり”操作”されるものではありません。

小売業が管理、操作可能なのはあくまでも自らの在り方と商品であり、それに対して顧客は個々の価値観から反応しているだけです。(優良顧客/離反顧客。。。なんてイヤな言葉でしょう!ライフステージや価値観により、顧客は自らの意志で勝手に小売業が言うところの優良顧客となり、離反顧客となるだけです。)

ほとんどがバイヤーの勘と経験から自明な併買、実施した際の瞬間最大風速で単品のトライアルやリピート、ブランドスイッチやすだけのレガシーなID-POS分析も、大量のデータを使った ”贅沢な数字遊び” に過ぎません


まずマーケットとマーケティングについて

マーケットは商品マーケット参加者によって構成され、そこに何らかの手を打つのがマーケティングです。

何らかの手を打つ為には市場細分化マーケット・セグメンテーション(接点分割)を行います。

が、ただ(細かく)分ければ良いというものではありません。

図:マーケットは商品とマーケット参加者から成立する。

マーケットとして定義された商品は商品そのものでしかありませんが、「それらの価値をどう見るか?」マーケット参加者の価値観は人それぞれです。

なぜPOS分析ではダメなのか?

マーケットに対して何らかの手を打つ為、POS分析では商品側面においては伝統的に「商品分類」によってマーケットをセグメントして来ました。

どうセグメントするか?は完全に売り手側の都合によりますが、何らかの手を打つという意味においては、適切な分業や利益管理の為にも、顧客にとっての売場の分かり易さの為にも、これは完全に正当な方法と言えます。

図:商品分類によるマーケット・セグメンテーション


しかし、これだけではマーケットを構成するもう一方の要素あるマーケット参加者が不在ですので、視点としては”商品視点”しか持ち得ず、マーケティングとは言えません。

POS分析は「マーケティング」足り得ない。

商品視点という点でPOS分析では殊に”売れ筋商品”を重視しますが、顧客視点で見れば、顧客は何も”売れ筋”を店に買いに来ている訳ではありません

もやしや牛乳と言った売れ筋1位、2位であっても、単品で見れば1年間の利用者率は共に25%未満、内50%超は年間1回しか当該単品を利用していません。

単品の併買者率は20%もあればトップクラスですので、もやしも牛乳も両方とも売れ筋トップを買った事があるという顧客は、最大でも全顧客の5%に過ぎません。

来店する個々の顧客はそれぞれ異なる価値観と、異なる利用メリット認識を持ち、それぞれ異なる選択を行っているのです。

それを何とかセグメントに活かしたいところです。

ID-POS分析の問題点

ID-POS分析ではマーケットを顧客側面から分割する為に「顧客セグメント」という考え方が導入されましたが、残念ながら「顧客ランク」や「年代(属性)」といった顧客セグメントと、”商品”との間にはほぼ関連がありません。

個々の”商品”に関するマーケット参加者の価値観は多種多様であり「ロイヤル顧客はこの商品を好む」「50代はこの商品を好む」とは、到底言い切れないからです。

図:確かに歌舞伎揚は50代が好みそうだが、かと言って50代の利用者率が100%になる事も、20代の利用者率が0%になる事も無い

図からも分かるように、大きくは歌舞伎揚に自分にとっての利用メリットを見出している人と、そうで無い大多数の人が居るというだけです。

実際問題マーケット参加者の価値観の多様性を考えれば、ランクや属性のよう、どの部門/どの商品においても1人の顧客が1つのセグメントにしか所属できないようなセグメントは、未利用顧客の率を見てもレッテル貼りに近く、ナンセンスです。

セグメントに何らかの手を打つという視点から見ても、このようなセグメントに対して具体的にどのような手を打つというのでしょうか?持続する効果はありそうですか?利用者率も四捨五入してしまえば全て1%になってしまう程度の微差であり、ざっくりと「ロイヤル顧客に報いる」、「20歳未満に酒のクーポンは出さない」程度がせいぜいです。

価値観の相違、何を利用メリットと見るかの相違は年代やランクでは説明できません。

また前出の通り、小売業が管理可能なのはあくまでも商品ですから、必要なのは顧客分類では無く、顧客による商品分類なのです。

結局のところID-POS分析だからと言って無条件に”顧客視点”であるとは言えないのです。

”商品” と ”マーケット参加者” の接点を分割する事で何らかのより具体的な手を打つ事を考えれば、既に確立されている商品分類というマーケット・セグメントを、そこに参加しているマーケット参加者の価値観の相違からセグメント(接点分割)するのが本筋と言えます

ID-POS分析だからと言って「マーケティング」とは言えない

【余談】webのターゲティング広告煩わしく無いですか?

煩わしいですよねw

次男がフケが出るってんで、シャンプーの検索をしてやったのがケチのつきはじめか?このところ某アプリを開くと「薄毛」や「植毛」の広告が記事並みにズラズラしつこく表示されるんで、一体どんなターゲティングしてるのか調べてみました。

全部「日本在住」「50代」「男性」っていうターゲティング設定でしたorz

まあweb広告って、誤クリックも多く直帰率も激しいので、どっちかって言うと料金発生を抑える為なんでしょうけど。。。私フサフサ(?)なのにしつこく表示されて不愉快ですw

こんなんじゃ某アプリ自体開きたく無くなって来る。。。

年代、性別なんかでターゲティングなんていう立派な事は出来ないと痛感しました。

One To One より民主主義(標準化)

”顧客視点”は重要ですが、冒頭で述べた通り”どちらか片方の都合だけ”を優先しては成り立ちません。

しかも我が一に対して彼は多、顧客は多種多様なのです。

チェーンストアの武器はどこまで行っても”標準化”にあり、顧客にとっての利用メリットも畢竟そこに依拠しています。

殊更に一人の顧客の言い分ばかりを聞く事は、流通業にとっても、その他大勢の顧客にとっても寧ろメリットを損ねる事に繋がり兼ねません。

よって、一人ひとりの顧客の言い分を聞くOne To Oneでは無く、顧客の中に多い言い分を聞く多数決=民主主義である必要があります。

POS分析で言っても、マーケット中一番の売れ筋商品に限れば、ほぼマーケット中一番の多数派支持商品と言えますが、それだけです。

売場が余りに売れ筋志向な事もあり、多くの場合二番手以降の商品については支持層に偏りが生じます(食用油マーケットの売れ筋一番がA社のキャノーラ油、二番がB社のキャノーラ油、三番がÇ社のキャノーラ油で、それぞれにほぼ同じ支持層が投票≒代替利用しているという事が起こる)。

顧客が何に投票したかが分かるのがID-POSデータですから、この辺上手くやれそうなものですが、さて、どうしたものでしょうか?

その具体的な方法顧客の都合に関わる全ての商品政策=マーケティング」への鍵が本ホームページのあちこちにあります。

ヒントはマーケット内の商品同士を同質と捉えている人が多いのか?異質と捉えている人が多いのか?の多数決にあります。