ID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe
ID-POS 分析手法

ID-POS分析と言うと、マスマーチャンダイジングへの追加オプション的なもの、或いはマスマーチャンダイジングの否定と捉える向きもいらっしゃるかと思いますが、実際のところ現在のマスマーチャンダイジングそのものを、より精度高く強化するものというのが根本的なID-POSの分析手法となります。

直接的にコントロール可能なのはあくまで”商品”

POS分析であれID−POS分析であれ、私たちが直接コントロール可能なのは、あくまで私たちの商品(単品/カテゴリー/店舗)です。

その為ID−POS分析であっても、データは商品軸での見方が主となります


私たちの”願い”も”できる事”も同じ

商品を使ってできるだけ多くの顧客の価値観に触れ、その認識を商品の利用来店へと振り向けてもらう事が私たち共通の願いです。

できるだけ多くの顧客」を実現する為にどの商品を選ぶのか、選んだ商品をどのように並べるのかが私たちにできる基本的商品コントロールです。

これは棚割においてもチラシ紙面等においても同じです。


どの商品を選ぶか?

ID数分析:できるだけ多くの顧客に刺さる商品

ID-POS分析だからこその最もシンプルな指標がID数で、そのままで「できるだけ多くの顧客」にリーチする可能性を体現しています。

RTDカテゴリーから(品揃え/チラシ掲載品等として)3商品を選ばなければならないと仮定して、POSで得られる売上金額トップ3、ID-POSで得られる利用ID数トップ3に網掛けをしたものが下図になります。

利用ID数1位の「ほろよい 白いサワー350ml」の利用ID数が462人、売上金額1位の「角ハイボール350ml✕6本」の利用ID数が55人ですから、マーケットにおいて前者は後者の8.4倍の人たちの価値観に触れ、その認識に働き掛ける事となります。

これが来店を促すチラシ商品だとするならば、この差は尚更大きなものと捉えられます。

「ほろよい 白いサワー350ml」は分析時点におけるRTDというマーケット認識を端的に表すアイコニックな商品と言えます。

それではID数の多い順にトップ3商品を選べば良いのか?と言うと厳密にはちょっと違います。

1商品だけ選ぶのならそれで良いのですが、顧客は併買をするからです。

※.チラシについては通常SKUでは無くアイテムを掲載しますが、あくまでも基本の考え方として捉えて下さい。


非併買分析:その商品が刺さらない人も多い

前出の通り「ほろよい 白いサワー350ml」が最も「できるだけ多くの顧客」を体現している商品ですが、それが全く刺さらない顧客も多く居ます。

図では同じ「ほろよい」シリーズでありながら、「ほろよい 白いサワー350ml」を一切利用せず「ほろよい ハピクルサワー350ml」を利用している非併買顧客が341人居ます(赤フォント)。

商品と違い顧客は生き物、ましてや大人ですので、この341人の示す利用態度には「ほろよい 白いサワー350ml」では譲れない個々の趣味嗜好が表れています。実際「ほろよい ハピクルサワー350ml」利用者の83%が「ほろよい 白いサワー350ml」非併買と、嗜好と言うのはバラバラな上、かなり偏執的なものです。

同じ「ほろよい」シリーズであっても「白いサワー」派と「ハピクルサワー」派は別派閥、しかもRTD界の2大派閥だったということです。

そこで2商品目として「ほろよい ハピクルサワー350ml」を選ぶ事で「ほろよい 白いサワー350ml」の462人 非併買の「ほろよい ハピクルサワー350ml」の341人で、2商品ではRTDで最大の803人の顧客がカバーされます。

3商品目には「ほろよい 白いサワー350ml」「ほろよい ハピクルサワー350ml」のどちらも刺さっていない利用者が多い商品を選びます。

圧倒的に強い「ほろよい」シリーズから2商品ばれた事で、「氷結」で無くては譲れない「氷結」派の存在が3商品目にして浮かび上がって来ました。氷結レモン350ml」を選ぶ事で、803人+非併買の「氷結レモン350ml」の243人で、3商品ではRTDで最大の1,046人の顧客がカバーされます。

このように分析をする事で、RTDにおける趣味嗜好の三大派閥を代表する3商品を選ぶ事ができ、「できるだけ多くの顧客」という政策精度が高まります。

商品をどのように並べるか?

併買分析:あれにしょうか?これにしようか?

同時以外の併買という顧客の利用行動は、商品の選択或いは買い回りを意味します。

よって先に選んだ3商品間での非同時併買者率(図中赤フォントから、商品相互の関係性が分かります。

RTDを代表する「ほろよい白いサワー350ml」の利用者中、非同時併買者率4.9%と最も選択している人の多い商品は「ほろよいハピクルサワー350ml」となります。「氷結レモン350ml」を選択する人は1.2%の「ほろよいハピクルサワー350ml」の利用者よりも、2.7%の「ほろよい白いサワー350ml」の利用者に多い事が分かります。

更には「必要ディスプレイスペースは利用者の多さに比例する」と仮定し、最も利用ID数の少ない商品を基準に1コマもしくは1フェイシングを割り当てる事とすれば、図のようなスペース配分が成り立ちます(四捨五入)

これに先の商品相互の関係性を当て嵌めれば、図のような陳列イメージ或いはチラシ紙面への配置イメージとなります。

より選ばれるもの同士が隣接すれば目に付き易く、あれにしようか?これにしようか?と選び易くなります。

陳列イメージ

チラシ紙面配置イメージ

ここ迄のID-POSの分析手法は精度高く行う場合の手順であり、ID-POS分析の本質を知って頂く為のものです。

選択商品が増えれば増える程容易ならざる分析回数となりますので、まずはID-POS現在のマスマーチャンダイジングをより精度高く強化するという理解の一助とれば幸いです。

これを容易に計算してしまうのが、BiZOOPe Tapir_MK になります。

【参考】Tapir_MKによるマーケティングの教科書 

ID-POS 分析手法:まとめ五箇条

1)データの見方の基本は商品軸、重視すべき指標はID数、分析の基本は併買/非併買という選択的利用行動

2)考え方:できるだけ多くの顧客を来店/利用に誘う = できるだけ多くの顧客に喜んでもらう

3)一品選択時:利用ID数が最も多い商品を選ぶ

4)複数品選択時:既選択品群との非併買ID数が多い商品を選ぶ

5)商品相互の関係性:非同時併買者率 ⇨ 陳列、紙面配置等レイアウト全般に使える