ID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe
”勝てる”、”利用を増やす” MD、販促の新常識
Tapir_MKによるマーケティングの教科書

Tapir_MKのフル活用を決めた小売業さまに「これなら分かる!」と言う迄監修して頂き、バイヤー説明会、取引先説明会向けに作成した資料のwebページ版です。スライドPDF版はID-POSの書庫からダウンロードして頂けます(更に説明会を経て2023/11/01小改訂)。

はじめに:「利用メリット」のこと

買い手は商品で無く、商品を利用する事で自分が得たいメリットを買いに来ます。

(例えば「その商品である事(信頼や安心)」がメリットである買い手も居ます。)

買い手の価値観は、収入や家族構成といった個々の置かれた状況、趣味嗜好等により千差万別ですが、基本的にメリットが得られれば良い訳で、想定を上回る、或いは同等と感じられるメリットの提示があれば、それは代替可能です。

メリットを買いに来るのであれば、それこそが来店・利用目的/動機づけです。
最低限代替可能なメリットすら無い/見つからないと買い手に認識されてしまえば、来店/利用は起こりません。

その為、私たちはまず買い手が何をメリットとしているのか?私たちのマーケットがおおよそどのような 利用メリット から構成されているのかを 知り、備え、露出し、周知する 必要があります。

Tapir_MKとは? 

買い手が店舗/売場に求めている 利用メリットを可視化するしくみです。

具体的には、買い手にとって利用する事によって得られるメリットが ”遠い””近い”の2つに商品を分類し、それに基づき最適な並び順 採用順 を振り、中でも売場に最低限確保しておきたい利用メリットについては レコメンドを振ります。

これを品揃え、棚割といった MD、チラシ、クーポンといった 販促に活かす事のできるしくみがTapir_MKです。

なぜTapir_MKなのか?

店であれ、売場であれ、クーポンであれ、買い手誰もが、

「自分にとって利用メリットがあれば利用し、無ければ利用しない」

からです(下図はビール売場の利用メリット中、最低限代替可能な13商品)。

なぜ私たちは時に、遠くの他店を利用するのか? ⇨ その店にしか無い利用メリットを求めて

なぜその利用メリットは遠くの他店にしか無いのか? ⇨ 多くの場合売れ筋では無いから

近いからで諦められる最低限代替可能な利用メリットすら無い店舗近隣の住民は、それを欲した時、何処へ行くか?

行った先でそれだけ買って帰って来るか?

人知れず、ロイヤル顧客ですら、悪気無くこういった利用行動を取っている

自社は/競合は利用メリットを認識できているか?

理論、得られるものと各業務への適用 

2つの売場利用パターン:1.選ぶ (利用メリットが ”近い” から)

ID-POS的には  ・・・期間内併買(除、同時)

買い手視点では・・・代替

売り手視点では・・・食い合い/ブランドスイッチ

1−1.いつもは単缶なんだけど、特売かかってて安いんで6缶パック買っちゃお♪

単缶を利用する事で得られるメリットと、6缶パックを利用する事で得られるメリットは割と”近い”

1−2.いつもは500ml6缶パックなんだけど、欠品してたんで緊急避難で350ml1缶だけ買っとくかorz

500ml6缶パックを利用する事で得られるメリットと、350ml単缶を利用する事で得られるメリットは、他よりは”近い”

1−3.まあ、その日の気分/値段次第かなぁ〜

ドライの350ml6缶パックも、500ml6缶パックも、一番搾り350ml6缶パックも、利用メリット=ビール ”近い”

2つの売場利用パターン:2.選ばない (利用メリットが ”遠い” から)

ID-POS的には  ・・・併買

買い手視点では・・・代替不可

売り手視点では・・・最低品揃え

2−1.一番搾り派:親の遺言で一番搾りしか飲まん!

一番搾りを利用する事で得られる独自のメリットは、他の銘柄からは得られないもの ⇨ ”遠い”
※.前出1-1、1-2も、一番搾りとの関係は非併買

ID-POS的には  ・・・同時併買

買い手視点では・・・代替不可

売り手視点では・・・クロスMD

2−2.常飲は一番搾りなんだけど、今日は自分へのご褒美にプレモル1缶買っちゃお♪

一番搾りを利用する事で得られるメリットと、特別な日のプレモルは別物 ⇨ ”遠い”

2−3.お父さんはスーパードライ派なんだけど、私もたまにプレモルでご相伴♪

世帯内でそもそも利用者も違えば価値観違う ⇨ ”遠い”

【ひと言】近い遠い と併買について

ピーマンと牛肉のように、利用メリットが遠い得られるメリットが違うからこそ、一緒にかごの中に入ります=同時併買。

A社のチンジャオロースの素 と B社のチンジャオロースの素のように、利用メリットが近い、得られるメリットが近しいものが一緒にかごの中に入る事は稀です。

ピーマンとチンジャオロースの素のように、クロスMDで商品同士を近くに置く事から、同時併買=近いと感じる方が多くいらっしゃいますが、これは置き場所の近さの問題であって、利用する事によって得られるメリットの近さとは全くの別物です。

よしんば、置き場所の近さにしても、期間限定の販促としてのクロスMDと、近しい利用メリットを持った商品同士の集積である定番棚割りとでは、やはり別物です。

という事で、同時併買は遠い んだと覚えておいて下さい。

商品間距離行列表

買い手は多種多様ですが、その利用の仕方は選ぶ選ばないかの2つだけです。

選ばない=”遠い”=距離ですので、各商品の間で、選ばない買い手の割合※を計算すれば、図のようにマーケット内における各商品間の相対的距離を求める事ができます。

※.1を超える数字が散見される等気になる点があるかもしれませんが、「一手間加えている」という事でご容赦下さい。

マーケット構造図と並び順

距離行列表を統計的にグルーピングすると、図の①〜⑤の順番で、近い組み合わせから順にくっついて行き、トーナメント表のようなもの(デンドログラム)が出来上がります。

このトーナメント表を水平にカットする位置(距離)次第で、マーケットを1〜商品数迄任意の数に分割できるようになります(マーケットセグメンテーション)。


統計処理の過程で「より近い」商品が隣に来るよう図が作られますので、図上の商品の並び商品の関連順になります。Tapir_MKではこれを陳列やチラシ紙面配置の導きとなるよう、並び順と称して帳票に表示しています。

採用順

前出のトーナメント表をカットする位置を少しづつ下げながら、都度出て来るマーケットを  代表するより多くの人が必要とする 商品に順位を振って行ったものが 採用順です。”ボリューム”という売り手側の都合と、”形”として現れる買い手側の都合が合わさる事で、どちらかの都合一辺倒では無い、Win-Winの商品選定(販促/カット等)が可能です

セグメントf(far)と セグメントn(near)と レコメンド

「マーケットを任意の数に分割できます」では業務に使えない為、Tapir_MKではマーケットをおおよそ選択/食い合いが起こる限界の境界線である seg_f と、選択/食い合い必至の境界線である seg_n の2つ分割しています。

これはマーケットがおよそどのような利用メリットから構成されているのか?を示す 買い手による商品分類 です。

【セグメント(分割)】
棚割り、チラシ紙面等のゾーニングに用いる事で、利用メリットの集積による露出効果が狙えます。
また、seg_fは配下の商品の販促効果が見込めるターゲット顧客の上限でもあります。

【レコメンド(おすすめ)】

利用メリット欠落を防ぐ為にカットしてはいけない商品です。逆説的には全店で品揃えすべき最低品揃えとも言えます。

得られるものと業務への適用のまとめ

商品政策中、おおよそ顧客の目に触れるもの=マーケティング全般の意思決定に使えます。

【利用メリットを備える】採用/不採用
     品揃え =  商品選抜に関する意思決定全般に使えます。
  利用メリット欠落による来店/利用機会逸失防止、
  重複訴求の無い効果的な来店/利用誘引に役立ちます。
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  採用順(昇順)/レコメンド:最低品揃えに。エンド、チラシ等販促商品の選抜に。
  採用順(降順)/レコメンド:商品カット・絞り込みに(レコメンド有は経済合理性に反しない
                            限り、極力カットしない)。
  seg_f/seg_n:配下の商品数に応じて追加 or 入替え or カットを判断。
         セグメントの行間/行外を読み取り商品開発に。

【利用メリットの存在を露出する】レイアウト全般
     フロア、ゴンドラ、チラシ紙面等、分類や商品の レイアウト全般 に使えます。 ☑ 分類でも分析可。
        利用メリットの集積と関連性から「見つけやすく、選びやすく、あれもこれも」の売場/紙面が期待されます。
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   seg_f/seg_n:ゾーニングに。
   並び順:陳列、紙面配置に。
   採用順/レコメンド:マグネット、アイキャッチとして。

【利用メリットの存在を周知する】ターゲット販促
  選択/食い合いの境界線内に居る、 メリットを感じてもらえる 顧客を単品クーポン等の販促対象として抽出できます。
  売り手による「”お得”の押し売り」では無く、買い手にとって利用メリットのある 「使える」 お店と認識してもらえ、来店・利用増が期待されます。
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  seg_fの顧客 :配下の商品による販促政策が ”響く” であろう限界の顧客グループ
  seg_nの顧客:配下の商品による販促政策が 高確率で”響く” であろう顧客グループ

利用の勘所

操作そのものについてはマニュアルを御覧ください。

メニュー

ID-POS分析BiZOOPe(ビズープ)のメニュー画面を 横スクロール して行き、一番右端のメニューがTapir_MKです。
(MK=マーケティング)

弊社は 「ID-POSを流通の意思決定の常識にする」

利用者さまは 「業界No.1になる」

という 夢を喰らって 互いに歩んで行こう!という想いを込めた バク=Tapirのマークが目印です。

※.メーカーさま、卸売業さま向けに別途 テンポラリーTapir サービスもご用意しています。

分析条件画面

BiZOOPeの分析メニューは「分析条件」画面と「分析結果」画面でできています。

マーケティング政策における仮説とは、マーケットの 拡大解釈 にあります。そもそもID-POS分析自体が「会員にとっての利用メリット⇨非会員、未利用者にとっても利用メリット」と捉える拡大解釈に依拠しています

期間、商品、店舗と言った全ての分析条件は、マーケットとそこに参加する買い手の人数を決定します。

主たる目的が商品管理にある POS分析とは異なり、ID-POS分析においては拡大解釈 に相応しいマーケット参加者数を確保する点に留意する必要があります。

【期間の選択】

3年間のデータの中から、From Toで任意の期間のデータを取得する事ができます。

マーケットは常に前に進み続けており、(鼻炎薬のように)あたかも繰り返しの様相を見せつつ、その実参加商品も、参加顧客も不可逆的に変化し続けています。その為直近で集計する事が現在のマーケットを正確に表す事に繋がります。

またマーケット参加者の利用行動による意思表明が、充分得られる長さの期間が必要であり、13週というのが、最もよく用いられている期間の基本単位となります(用途に応じて26週、39週と増やして行く)。

【商品分類の選択】

分析単位を単品/分類から選択し、様々な方法で指定する事ができます。

商品の指定は売り手によるマーケット定義そのものです。

分類で指定をする場合、そもそも売り手が分類を行っている段階で、分類を跨いだ利用行動が選択とは言い難い事はほとんど自明ですので、親となる単一分類直下である事を基本に単品/分類を指定するのが精度の高い指定方法です。


【店舗標準化の単位)の選択】

利用しない買い手(非併買)の参加があってはじめて、各商品はマーケット内で相対的に評価されますが、未取り扱い店利用者のように、それを利用できない買い手が極力※少なくなるような店舗選択を行って下さい。

※.マーケットを矮小にし過ぎない為にも ”極力” のような割り切りが大切です。

【ひと言】拡大解釈の誤謬

POS分析では10%の顧客が買っていれば「超売れ筋商品」です。

これを「10%もの人が買っている人気商品なんだからみんな好きな筈だ。みんなに売り込もう!」と拡大解釈します。

(レガシーなID-POS分析の「50代の10%が買っているから」等についても、絞り込んだだけであって同じ発想です。)

ところが、売れ筋ですら利用者の半数以上が「一度のついで買い顧客」であり、顧客個々人にとっての本当の「売れ筋」は千差万別で、偏執的なものです。

その為ID-POSマーケティングでは

「90%の顧客は利用しない事を選択した顧客だ」

「90%の顧客は無接点である=接点があるのはこの商品で無く、別の商品だ」

と捉え、完全なる無接点の顧客に拡大解釈を適用する事を避けます。

マーケティングの基本は「喜ぶ人に喜ぶ事をする」「嫌がる人に嫌がる事をしない」事ですから、売れ筋を押し付けるのでは無く、他にある別の接点を通じて喜んでもらえる機会を考えます。

喜んでもらえれば接点は深まり、その結果として売れ筋商品とも接点を持ってもらえるかもしれません。

分析結果画面

基本的な読み取り方

謝辞

ID-POSは難しいかもしれませんが、それは競合にとっても同じ事です。


他社が真似るのが難しい事程、大きな差別化/競争力の源泉足り得ます。



ID-POSによる意思決定を、日本の流通、消費者の為にも

新しい 常識競争力 にするという 夢を食らって 歩んで行く

仲間になってもらえたら嬉しいです。