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来店動機商品徒然草お気に入り・目的買い)

以前、来店動機・利用メリットを私的に紐解くという記事の中で、来店動機商品として「 寿がきや味噌煮込みうどん」 について触れましたが、今回は来店動機がよりクッキリと浮かび上がって来そうな、ドラッグストア商材を題材に徒然に考察して行きたいと思います。

私的考察なので読み易かったか?腑に落ち易かったか?来店動機・利用メリットを私的に紐解くの読み込み時間が歴代で一番長いんで、そのノリでID-POSの真髄へと迫って行きます。

イメージ的に食品よりも分かり易い筈なので、食品スーパーさんも「なんだぁ〜ドラッグかぁ〜」と言わず、お付き合い下さい。

私の家の徒歩圏内で一番近い小売店がドラッグストアですので、平均すれば毎週一回位は利用させてもらっています。

さて、では私が「ほぼその店で買っている商品」は何でしょうか?

カミさんに頼まれるトイレットペーパー等は除き、完全に「パーソナルな目的で」「無くなったらほぼ必ず」その店に買いに行く商品に絞って考察して行きます。

前半は定性的に私的な事をゆるりと書いて行きますが、後半には具体的な数字も載せて行きます。

所々言葉が錯綜しますが、<来店動機=お気に入り=目的買い>と捉えて下さい。

私のお気に入り(来店動機)10商品

以下が、無くなったらほぼ必ず「その店」への来店を想起させる/させた10SKUです。

サムライエッジ替刃とデ・オウ デオジャムは無い事が多く、価格も安くなかったので、今ではAmazonで買うようになっちゃいました。

ロート目薬と葛根湯はコロナ禍の在宅勤務を契機に利用し始めたものですが、それ以外は以前から利用し続けているものです。

どちらかと言えば「食品は食品スーパーで買いたい」なので、個人的来店動機は医薬品3SKU、一般化粧品5SKU、予防・健康と酒で各1SKUと、医薬品、一般化粧品に偏っています(来店頻度的には酒に偏りますw)。

「如何にもドラッグストア」な利用目的が揃いましたが、私が店に求めている利用メリットは主に「肩こり解消」という万人に共通する訳では無いところにありそうです。

トータルすれば精神面も含めた「パーソナルケア」が、私のこのお店を利用するメリットって感じでしょうか?

面白いのは葛根湯の「開封のし易さ」のように価格の安さだけによらない利用メリット、リステリンオリジナルの「子供に使われない味」のように機能だけによらない利用メリットがある点です。

お気に入りがカットになったらどうしよう?

なんか一般化粧品については、カットの可能性アリアリな商品ばかりな気もしますが...

さて、このリスト中のSKUの一つがカットになった時、私はどうするでしょうか?

「お気に入り」なので、代替品で我慢できそうなSKUは少ないような気がします。

となればその商品に関してはAmazonや他店で買うようになる=「最低限、その商品を欲したとき分の来店回数が減る」事になるでしょう。

もしも全SKUがカットされたなら、如何に近い店と言えども「離反」するでしょうね

その時ついでに買うものは?

来店動機商品で重要なのは、決して「その商品だけ」を買う訳では無いという点です。

余分なものはなるべく買わない質の私でも、常にではありませんが、ついで買いはします。

ついで買いに因んで、ついでに書いてみたものですので、以下は読み飛ばして頂いて結構です。

個人的に

在宅勤務用に5日分の「カップ麺」を購入します。

大体、金ちゃんヌードル、ペヤングソース焼きそば、赤いきつね、そばどん兵衛は決まっていますが、これでは4日分にしかならない!

カップ麺の品揃えが豊富な訳では無いので「やっぱスーパーで買うか」となる事もしばしばです。

エンドやレジ前に子供が喜びそうな新商品の「菓子」なんかが目に入ると、それもたまに買いますかね。

子供と一緒に

子供に買い物につき合ってもらう事が多いので、その際にはほぼ必ずガリガリくん等の「アイス」またはモンスターエナジー等の「飲料」をお駄賃として、ついで買いします。

カミさんに頼まれて

「トイレットペーパー」や「電球」が多いですかね?

ふと考えてみると「自分で選びたいもの」は、家族で共用している「歯磨き粉」であっても、カミさん頼んで来ませんね。

チューブタイプの「調味料」を頼まれる時もありますが、「お徳用」が置いて無かったりするので、緊急避難的な利用に限られます。

カミさん自身は「牛乳」であっても「もやし」であっても「米」であっても、ドラッグストアで躊躇無く買います。

目的買いとついで買い

下のTapir_MKによる部門のクラスター分析結果からも見られるように、ドラッグストアには大きくHBC系を来店動機として買い回りする利用行動(seg_f=f1)と、食品・日雑系を来店動機として買い回りする利用行動(seg_f=f2)があります。

前者のタイプにとっては食品・日雑系が「ついで買い」で、後者のタイプにとってはHBC系が「ついで買い」になる為、私のようについで買い商品を来店時に「同時購入」します。

Tapir_MKによるマーケティングの教科書にも書いたように「同時購入」=利用目的として「遠い」為(或いは相互に「非購入」の人が多い為)、このように買い回りのグループが分かれます。

私自身は正にseg_f=f1、seg_n=f1_n1の買い回り顧客の利用行動を示しています(カウンセリング化粧品は買いませんが)。

孫が来たときだけはseg_n=f1_n2の「ベビー・シルバー」も買いますので、我ながら「その通り」な感じがします

これで分かりますよね。

「ついで」には読み飛ばすような価値しかありません。

私がクーポン貰えたら嬉しい=来店動機となるのは、あくまでも「目的」であるHBC系であって、「ついで」に過ぎない食品・日雑系ではありません。

反対の立場の食品・日雑系が「目的」の顧客からしても同じ事です。

データで見るお気に入り商品

さて、デモデータから私のお気に入り商品の、全店年間利用実績を取ってみました。

ID-POSの鉄則:「自分がそうだから他人もそうだろう」と仮説してはいけない

1,848,955人もの人が居れば、私と同じような趣味嗜好の人が一定数居る筈だ!と思いましたが、デ・オウはカットされたか?0人、リステリン、サムライエッジも1人しか利用者が居ませんから、この時点で撃沈です。

調べてみたところ、この3SKUを除いてすら完全に私と同じ期間併買をしている人は居ませんでしたorz

散々私的な事を書き散らかしておいてなんですが、何が言いたいかといいますと、如何に私の趣味嗜好が特殊か!wという事では無く、個々の顧客の趣味嗜好が、如何に想像を超えた多様性に富んでいるか!=仮説は容易では無いという事です。

私のお気に入り」はカットされ易い!?

と皆さん感じられた事ありませんか?

図を見ると残念ながらリステリンオリジナル、サムライエッジ、デ・オウは既にカットの憂き目にあっようですorz
(リステリンオリジナル以外既にAmazonで買ってる私ですので「さもありなん」ですが。。。

たった一人分残されたID金額の残骸から「好きな人は好き」な事が窺い知れますし、私個人のID回数(利用回数)もマグネループを除き、こんなもんじゃあ済まないのですが、マスの世界の荒波の中では「売上ボリュームの無いもの」はカットされて行ってしまう運命なのでしょう。。。orz

確かに平均で見れば、ID回数も1回台=年に1回しか買わない人が大半の商品群です。

「一番好きなスナック菓子」などとうそぶきつつ、年一買ってたか?のピックアップやカールの事を思えばゾッとします。

案外「お気に入り」なんてそんなものなのかもしれません。

利用者率が1%を越えるロート目薬、ID回数が3回を越える焼酎以外、POS分析的基準からすれば私のお気に入りは全てカットされかねません。。。orz


いや?そんな事になったら私、離反しちゃいますけど?

カットで失われるもの

「目的」が失われれば「ついで」はありません。来店そのものが失われます。

下図は私のお気に入り商品=来店動機商品=目的買い商品を買っている人の、年間店舗利用状況です。

「全顧客」行が平均的なドラッグストア利用者の店舗の年間利用で、年27回来店し、1回あたり1,774円の買い物をする事で、年間48,487円を店に落とします。

それに対して「下記商品利用客計」行が目的買い商品いづれかを買っている人の店舗の年間利用で、年49回来店し、1回あたり1,880円の買い物をする事で、年間91,649円を店に落としています。

各商品の利用顧客で見ても、ID金額とID回数(この場合来店回数)において、平均を下回る商品はありません。

「売れない」かもしれませんが、それがその顧客にとっての「目的」であった時、商品をカットする事はこれらを失う事に通じます。

目的買い商品 Tapir_MKなら分かります。

とは言え、ここで上げた商品は私の観念の中の私的目的買い商品に過ぎません。

前述のように「目的」は人それぞれですし、少数の変わり者の為に売れない商品を片っ端から売場に置いていては商売上がったりです。

やはり「ボリューム」を無視する訳には行きません。

「目的買い」的な利用行動を、「それなりの人数」がしている=多くの人にとっての目的買い商品(重点商品)

という、利用行動とボリューム両面からの判断が必要となります。

人数はID-POSから分かりますが、「目的買い」的な利用行動” はどうしたら分かるでしょうか?

「目的買い」的な利用行動とは?

例えば私がドラッグストアの湿布コーナーに行ったら、「ロイヒつぼ膏」しか買いません=他のものは非併買。

酒コーナーに行ったら、その中でも「一番安い4L25度の焼酎」しか買いません=他のものは非併買。

と言いたいところですが、こと酒に関しては欠品時に2Lので我慢する時があります(20度で我慢する事はありませんw)=期間併買(非同時)。

目的買い商品については、非併買という偏執的利用行動が取られます。

私だけで無く、そういった利用行動を取る顧客の割合が他と比べ如何に多いか?が「目的買い」的な利用行動の判別方法になります

下図はBiZOOPeTapir_MKで、焼酎売場においてそれを行った例で、赤フォントの商品がその「一番安い25度4Lの焼酎」です

件の焼酎はseg_f=f3(安くて大容量の焼酎?)という利用目的のセグメントに属していて、「レコメンド」=1stと、その中でも最も多くの人にとっての目的買い商品である事を示唆しています。

全体の中では「採用順」=5位と、5番目に重要な目的買い商品と判定されています。

私と同じような利用目的を持った方が多く居て良かったですw

ですが、同じseg_f=f3内に同一ブランドの4L20度の商品が位置づけられていますので、「我慢が効く」のは私と違って容量の方では無く、アルコール度数の方だという人が多数派みたいです。

とは言え利用目的を細分化したseg_nレベルでは、seg_n=f3_n10 と seg_n=f3_n11に双方の商品が割れていますので、それぞれが独自の利用目的を形成しており、これで我慢できる方は決して多くは無いようです。

という事で来店動機商品について徒然なるままに綴って来ましたが、如何でしたでしょうか?

「嗚呼〜!私のお気に入りがぁぁぁ〜orz」と悲しむ日本の消費者が少しでも減るように、お気に入りを知る事で御社のビジネスがより繁栄するように、ハッピーな日本の流通の為に少しでも多くの小売業さん、メーカーさんにTapir_MKを使って頂ければと願っています。


徒然では無く、本格的に知りたい方は、Tapir_MKによるマーケティングの教科書を御覧ください。