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来店動機・利用メリットを私的に紐解く

<寿がきやみそ煮込みうどんは来店動機足り得るか?>

顧客にとって来店動機とは?売場の利用目的とは?

「ID-POSで今より絶対売上を上げる方法」で店舗の”近さ”は強力な利用メリットである事、来店ロスを防ぐ手立ての多くは顧客側の都合、店側の都合の両面から困難なものが多い事、有効な方策の一つは来店動機を構成する”利用メリット”の完備である事を書いてみました。

が、「本当にそうなのか?」と思い自分の場合の利用メリットの正体メイン利用/他店利用の動機付けを考察してみました。

前半は珍しくほとんどが定性的な考察です。

たかだか一人の変人の感じる利用メリットですし、ID-POS分析においては「自分がそうだから他人もそうなんじゃ無いの?」という自分中心の憶測は禁忌である事は重々承知の上で、好奇心に抗い切れず以下記してみたいと思います。

・概要

私がサブレベル迄で利用している認識のあるスーパーと、そのうち自宅を中心に最も遠いスーパー(スーパーI)を最外円とした商圏内に含まれる食品の取扱のあるチェーンストア(スーパーはチェーンで最近隣の一店舗、ドラッグとコンビニは業態で最近隣の一店舗を選抜)全9店舗を対象に、私の感じる特記すべき利用メリットとデメリットを、駐車場等の店外要因、ポイント等の店舗の政策要因、商品要因に分けて列挙してみました。

ドラッグやコンビニの食品の品揃えが少ない事は当然認識の上での利用なので、そういったものは列挙せず、特記事項のみに留めています。

特に強く感じている点については色付きフォントにしてみました。

表は自宅からのドライブ距離で近いお店順に並べており、距離欄を実質徒歩利用の場合青、車利用の場合赤で網掛けしています。

・ライフステージには抗えない?

現在及び最過去の私どものメインスーパーはスーパーḠですが、時期によってメインが入れ替わっています。


今は閉店してしまいましたが、一時スーパーEの店舗がカミさんの通勤帰路上に出来た事がありました。

私どもの格、基準からすると「高質スーパー」であり、カミさんも「高い、高い」とこぼしていましたし、現に「とてもじゃ無いがこの店の肉で焼肉パーティーは出来ない!」と、焼肉の時にはスーパーḠやスーパーIを利用していました。

が、会社帰りに寄れるという事は、それを超えた利用メリット(自宅からでは無い別の”近さ”)だったのでしょう。

その時期のウチの食卓はスーパーEでまかなわれていました(海産系が明らかに美味いのが嬉しかった♪)。

そうするとポイントも溜まって来るので、週末にポイント倍付けデーがあると、自宅近くのスーパーEの店舗(表中のスーパーE)でもまとめ買いをしていました。

今では当たり前になって来ましたが、当時としては珍しく、支払にクレジットカードが使えたのも大きなメリットでした。

子供らが食べ盛りの中高生になって来ると、兎に角大量の”米””肉”が必要になって来ました。

その時期のメインスーパーが、”肉のビックリパック”が安かったスーパーIです。

どうせ大量にまとめ買いするので、距離はそれ程気にならなかったような気がします。

当時は週末にまとめ買いしては冷凍庫を満杯にしていました。

この時期、コストコにもレジャーがてらちょくちょく遠征してましたw

今でもBBQや年末等、イベント事の際の買い出しにはちょくちょく利用させて頂いているスーパーIです。

スーパーḠからしてみれば、私たちは二度の期間に渡って数年間”離反顧客”だった訳ですし、スーパーE、Iにとっても離反顧客ですが、少なくともメインとなったスーパーには際立った不満があった訳でもありません。

各スーパーの都合と、その時々の私どもの都合がより合致する店に行っていたというだけの話で、何年かすると末の子も手が離れ、夫婦二人暮らしとなりますので、もしかしたらこの先もメインスーパーの変遷あるのかもしれません。

してみると、離反に対して変に躍起になっても仕方がないのかもしれません。

「顧客とはそういうものだ」という事なのかもしれません。

”あらゆる”と迄は行かずとも、2つ以上のライフステージや年収層を包含できたら素敵なのかもしれませんが、マーケットってヤツは絞り込まないとどっちつかずになってしまいなかなか難しいのでしょうね。。。

結局の所多くのチェーンも、そして私も”フツーのスーパー”に落ち着くのは、そういった事情にもよるのでしょう。

・駐車場、その他店外要因

私の自宅からの徒歩圏内に”フツーのスーパー”が無いという事もありますが、そもそも生モノや冷凍モノを含むある程度の点数を購入する事が前提のスーパーマーケットの場合、今のところ”近さ”は車利用を前提とした”近さ”なのでしょう(当然自転車利用の顧客も居ますし、これから先少子高齢化が進めば、また様相も違って来るのかもしれません)。

それもあり駐車場は(私の場合)利用判断に占める割合が大きな要素であるように感じました。

自然に左折入庫で入れる事、並ばなければならない程の混雑の無い広く停めやすい駐車場、店迄道路を横断しなくても良い事は、私にとって大きな利用メリットです。

私のカミさんの場合、屋上駐車場を嫌います。

距離的には遠いのに近く感じる店舗は、自宅からの経路が直線的で、単純である事が大きな要因のようです。

近隣や敷地内に”ついでに利用する事のある何某か”が存在する事も、利用メリットである事と同時に、店を近く感じさせる要因かもしれません。

が、いづれも言ってしまえば所謂”立地”に起因するものであり、当然四方八方から集まる個々の顧客から見た経路もバラバラですので、これは店側の努力でどうこう出来る問題でも無いでしょう。

・店舗政策要因

表中のデメリットを見ても「生協だから、ミニスーパーだから、高質スーパーだから、ディスカウントスーパーだから・・・」と、どうも当然仕方が無い!というものばかりです。

メリットの24H営業にしても全てのお店に求められるものでも無く「そんなに深夜/早朝に利用してくれるんか?」と問われれば「ごめんなさいorz」としかお答えのしようもありません。

決済手段の多様化やポイント(最近食傷気味ですが)は、お店側のコストは嵩みますが割と幅広い人に効く利用メリットと言えますかね?

個人的には広すぎない店、セミセルフレジの店がお気に入りですが、これも人によるんでしょうね。

・商品要因

安さ

人それぞれ感じ方は違っても、やはり安さは重要な利用メリットですね

過度に安さに振り過ぎるのも考えものですが、現にディスカウントスーパーFの前を通ると、何時も混雑してますしね。。。

私ども的には安さは主に畜産品に、美味しさは主に海産品に、欠品は主に農産品に感じとっていたような気がします。

(スーパーEがメインスーパーだった頃、海産品については食卓で違いに気づく位でしたし、「焼肉パーティー」の時だけはスーパーI利用してましたしねw)

欠品

誰もが「あるに決まってる」と思い込んでいる主要品種の欠品は、安心感を著しく損ねるので大問題だと思います。

たった一回の経験ですが、タコス作ろうと思って輸入食材店に行き、その帰りに立ち寄った至近のスーパーにトマトとアボカドが無かった日には。。。(牛挽肉とライムはこの店にだけありましたけどw)

ID-POS関係無くMDの基本ですね。

が、の場合結局ズボラが先に立って「ワンチャンあだろッ!」って懲りずに寄っちゃうんですけどねw

欠品が無い、地域の人が普通にあると思い込んでいる商材がある。

そういう意味での安心ってのは大きな利用メリットな気がします。


後の話に繋がって行きますが、「あるに決まってる」という事は、その商材が顧客がスーパーに求める当然の利用メリットである事を意味します。

そうであるからこそ欠品も認識しますし、それなりのショックも受ける訳です。

生鮮の担当者だったら「そんなの当たり前!」と言いそうですが、全ての売場がそれを認識できていますか?

欠品をケアすべき商品 = 必ずしも売れ筋ばかりでは無い、売場における最低限の(代替可能な)利用メリットを認識しておく事が大切です。

【ここから核心!】来店動機商材<寿がきやみそ煮込みうどんは来店動機足り得るか?>

「あれが欲しいからあの店に行く」

ここまでの、ID-POS分析には関係のない、基本の基のような、深層心理チックな利用メリットに比べれば、かなりダイレクトでアクロバティックな利用メリットです。

「あれが欲しいからあの店に行く」って事は、「べらぼうに美味いおはぎ」のようにPOSデータにも表れて来そうな「当店自慢のアレ」的な商材もありますが、要は他の店では得られない利用メリットって事なんで、多くは前出の表を見て頂ければ分かる通り県外品等”変なもの”って事で、それ故”あまり売れない”から他の店には置いてないんでしょう。

何も私だけが”変なもの”を求めて行く店を変えてる訳じゃ〜無くって、来店動機商品って誰にとってもある程度はそんなもんですw

問題は ー

・多くの場合売れていない(下手するとカット候補である)事

・POSからはそれ(来店動機商品か否か)が分からない事

・分かったからと言って、変な人の為に変なものを置いていたらキリがない事

です。

来店動機商品、ID-POSなら(ある程度)分かります

売場を利用するほとんどの人は、あれもこれもと買う訳では無く、そこにある程度「おおよそ何を買うためにその売場を利用するのか?」という利用目的、利用パターンを持っています。

例として「5食入り袋麺」の売場で言えば、だいたい ”出前一丁” か ”チキンラーメン” を買うために袋麺売場を利用するという人が居ます。

この時、ID-POSからは ”出前一丁” ”チキンラーメン” の二商品の間に、期間併買という利用行動(あっちを買ったりこっちを買ったり)が他の商品同士の組み合わせより、数多く検出されます

”出前一丁” と ”チキンラーメン”の間に他より期間併買が多いという事は、双方の利用メリットが、当該利用顧客にとっては 近い” と解釈されます。

逆に言えば袋麺売場内で、自分の利用目的外のものを買う事はないので、利用メリットが異なる商品同士の間では、期間併買が起こらない(非併買)ないしは少ない(非買が多い)=利用メリットが”遠い”と言う事ができます。

”遠い”="距離"ですから、商品間の非併買の多さから、商品間の距離を測る事ができます。

図は小売業さま向けID-POS分析システムBiZOOPe及び、メーカー卸さま向けID-POS提案ツールテンポラリーTapirに実装されたTapir_MKで、5食入り袋麺売場の全ての商品間の距離を算出し、集計を行った表になります。

計算方法についてもっと詳しく知りたい方はこちら

商品間距離が最も遠く離れた、売場を代表する利用メリットは「レコメンド」欄に"1st"と書かれたチキンラーメンサッポロ一番みそラーメン寿がきやみそ煮込みうどんの三品です(”みそ煮込み文化”の無い静岡の店舗での集計結果ですよ!少ないとは言え、私と同じような変人(?)が348人居てくれて良かったw)。

この売場の利用行動は、商品間距離が近い「チキンラーメンか出前一丁の利用(1,627人)」、「サッポロ一番みそラーメンか塩ラーメンの利用(3,670人)」、「寿がきやみそ煮込みうどんか日清ラ王醤油の利用(359人)」の3パターンに代表されます(そういう期間併買した事無いのでラ王は謎ですけど。。。)。

このお店をメインとして利用している顧客は、他店でも売っているような所謂”売れ筋商品”もこのお店の利用目的の一つとして買って行きますので、チキンラーメンやサッポロ一番は当然最低限品揃えし、欠品を避けるべき利用メリットです。

ただ際立っているのは、他店では余り売っておらず、1st choiceを獲得しているみそ煮込みうどんで、売場の利用目的を越えて来店動機になっていると考えても良いかと思います。

来店動機だからと言って、売れない商品が経済合理性に適ってる?

「来店動機って言ったって、どーせ遠くからみそ煮込みうどんだけ買いに来るんでしょ!?」

って思いがちですが、なかなかどうして!私みたいに遠くから来る人でも、みそ煮込みうどん目的で買いに来て、折角だからついでにそれなりの買い物も済ませちゃうんですよ♪

これで競合である私のメイン店舗から、買い物一回分を丸っと横取りできちゃいますw

何より忘れちゃならないのは、メイン顧客の中にも当然、みそ煮込みうどんが利用動機の一部を占めている顧客が居るって事です。

商品視点での商品評価はそれ単体の実績に過ぎませんが、顧客視点での商品評価は、その商品を利用している人たちがどれ位居るのか?店にどれだけお金を落としてくれているのか?その商品が失われた時、それは維持できそうか?という点になります。

表は代表的な各利用顧客が、袋麺に限らず買い物全体として、どのような利用行動を示しているのか?を買い物一回あたりと顧客一人あたりで示したものです。

みそ煮込みうどんの利用顧客は、点単価が低い事から客単価では袋麺売場の利用顧客平均を下回っていますが、平均して8.54点をカゴに入れている事を考えれば、決して「みそ煮込みうどんだけ買いに来てる」訳では無い事が分かります。

特筆すべきは来店頻度(ID回数)で、26週中最大の36.21回の来店頻度を記録しています(寧ろ近くの顧客が多いんじゃ無いですかね?)。

その結果客単価は低くとも、期間中に購入している商品点数(ID点数)は最大、店には一人あたり71,310円を落としてくれています。

売場から、来店動機と目されるみそ煮込みうどんが無くなる事で、店自体を利用しなくなる顧客(ID数減)も、店の利用頻度が減る顧客(ID回数減)も居るかもしれません。

逆に全店でみそ煮込みうどんを品揃えする事で、店自体を利用するようになる顧客(ID数増)、店の利用頻度が増える顧客(ID回数増)居るかもしれません。

ID-POS分析では、代表的な利用メリット/来店動機となっているか否か?と、そのボリューム(皆がそれなりに買い物をしていると見做せば主にID数)から商品の経済合理性を判断します。

こういった商品を「来店動機になるだろうか?」という視点から色々試してみる事で、売場に「面白み」も生まれるのかもしれません。

どうです?ID-POSって案外凄いでしょ?

メーカーさんや卸さんだったら、売れていない自社商品が、実は重要な来店動機になっていた!なんて発見があるかもしれませんよ?

こういった事が「ID-POSで今より絶対に売上を上げる方法」「シン・ID-POSの教科書」等のページに書いてありますので、興味がある方は是非併せてお読みください。

・【重要】まとめ10カ条

1)業態の選択とそれに沿ったオペレーション、立地と言った”売り手側の都合”は変え難い。


2)”子育て期”のようなライフステージや収入、駐車が苦手と言った”買い手側個々の都合”は変え難い。


3)原理原則として、変えられない相手に、のれんに腕押しで変化を強いるのでは無く、自らの変えられる部分を変える事が定石。


4)決済手段の多様化、ポイント、セミセルフレジ等は売り手自ら変えられる顧客の利用メリットとして有効かもしれないが、コストが掛かる。


5)顧客が売場を利用する利用メリット/店舗を利用する来店動機足り得る商品を認識し、幅広く完備し、失わない(カットしない/欠品させない)ようにする事が、利用を増やす為の具体的方法論。


6)それを取っ替え引っ替え探し続ける事が、売場に「面白み」という来店動機を添える。


7)これがポストPOS時代の仕事の在り方


8)顧客にとっての利用メリット/来店動機となる商品はPOSからでは探せない。
  「現場100回」でも見抜き切れない。
 然ればポイントとID-POSだけは、多少コストを掛けてでも、
顧客と自分の為にやるべきでは無いか? 


9)そんなID-POS分析が、ローコストにできてしまうのがID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe w 


10)”利用メリット”さえあれば、”買い手の都合”の自然な変遷と共に、メインスーパーの座へと自然と返り咲く事もある。