商品カットの技術と実務

ここでは BiZOOPeTapir_MK を使ったID-POSによる商品カット業務について記します。

最低品揃えの技術と実務 でも書いたように、採用は採用順昇順レコメンド付を採用というのがセオリーですが、カットは逆に採用順降順レコメンドなしをカットというのがセオリーです。

来店動機商品は必ずしも売上が高い商品ばかりでは無い為、来店動機そのものをカットしない為です。

分析条件についてはID-POS分析の勘所 に準じます(最大パターン棚割採用店舗群での分析が基本となります)。

何故そうなるかの理由、用語、ロジック等については別途 Tapir_MKによるマーケティングの教科書 をご覧下さい。

まず最大パターン採用店舗群からカット商品を決める

図はリキュールカテゴリーの最大パターン採用店舗群(5店舗)で、単品をTapir_MK のマーケット・セグメンテーションに掛けたものです。

最大パターン採用店舗群で分析するのは、

1)隠れた来店動機商品をカットしない為

2)ロジック上選択購買されている商品同士を代替可能と見做す事から、物理的に選択購買ができない顧客を対象から外す為

の2点によります。

採用順降順で並び替え、レコメンドが付いていない商品を必要な数だけカットします。

特にseg_f、seg_nにコードが振られてい無い商品については、クラスター分けできるだけの併買が発生していない商品になりますので、新商品や年契商品で無い限り、無条件にカット対象と見做してしまって構いません。

分析結果

⬇採用順降順に並び替え

セグメント分け出来なかった図の採用順172〜179番の8SKUをカットすると仮定すれば、最大パターンで171SKUを陳列する事となります。

最大パターン=3本パターンだったとすれば、単純に言ってゴンドラ一本あたり 171SKU ÷ 3本 = 57SKU を陳列する事となりますので、1本パターンにはカット商品を間引いた後の採用順昇順で57SKU(122SKUをカット)を、2本パターンには同じく114SKU(65SKUをカット)を採用します。

最小パターンに2ndレコメンド迄の商品(今回分析では65SKUありました)が収まりきらない場合、売場の拡大も検討します。

これが最も単純で労力の掛からない商品カットの方法になります。

より慎重を期すなら

seg_nは買い回りの範囲を表します。

多くの場合これは「選択購買範囲」とイコールですが、嗜好性の強いカテゴリーの場合「類似ライフスタイル顧客による買い回り」を表したり、粒度の粗いカテゴリーの場合特に売れていない商品同士の間で、おおよそ選択的とは言い難いseg_nが表出したりする場合があります。

前者については採用順が低くてもカットしたく無い商品がある場合がありますし、後者については採用順が高くてもカットしたい商品がある場合があります

慎重を期すのであれば、一度クラスター構成にざっくり目を通して頂き、採用順が低くてもカットしない商品、採用順が高くてもカットする商品を予め決めておいて頂くのがベターです。

この際、Tapir_MKの分析結果にはseg_nサマリー表というものも含まれますので、これを拠り所にして頂くのも一つの手です。

6SKU超のseg_n、3SKU超のseg_nから優先して商品をカット

seg_nサマリー表では、買い回り範囲であるseg_nに、何SKUが含まれているかのSKU数を知る事ができます。

分析結果(seg_nサマリー表)

多くの場合seg_nあたりのSKU数の平均は3SKU、標準偏差も3SKUとなり、今回分析でも同じ結果が出ています。

これは買い回り範囲平均3SKU、最大で+標準偏差の6SKUあれば、ほとんどの顧客の買い回り範囲としては充分である事をしています。

よって、まずは所属のSKU数が6SKU超のseg_n中の採用順が低い商品に絞って積極的にカットを検討し、次いで所属のSKU数が3SKU超のseg_nで同様にカットを検討する事で、最大パターンからの商品カットをより無難行う事ができます。

※.「駄菓子コーナー」のように売れていなくとも品揃えSKU数が必要なseg_nは稀に存在しますので、厳密にはやはり選択的か否かという点に注意する必要はあります。

以上、商品カットの技術と実務でした。