ID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe
ID-POSの基本指標:ID数と客数(ID回数)

ID-POS分析ならではの基本指標「ID数」「客数(ID回数)」について解説します。

【基本構造】ID数と客数(ID回数)

ID数と客数(ID回数)を顧客一人で見た場合の基本構造は以下の通りです。

一人のお客さんが、三枚のレシートを発生させ、それぞれのレシートの客単価は平均で千五百二十一円となっています。

一人のお客さん(ID数)が、期間中三回お店をご利用されて(客数)、一回のご利用あたり平均して1,521円をお支払い頂いている(客単価)事で売上が成り立っているというのがID-POSの図式です。

売上 = ID数 ✕ 客数 ✕ 客単価

一人のご利用回数を「客数」と呼ぶのも何だか変ですし、POS分析の客数と混同すると混乱を招くので、BiZOOPeでは一人あたり換算の客数の事を「ID回数」と呼び、ID数 ✕ ID回数 を「客数」と呼んでいます。

ついでに売上も、お店側から見れば売上でも、顧客側から見れば買上なので、敢えて売上金額とか買上点数とか言わずに単に「金額」、「点数」のように呼ぶ事にしています。

よって以下の方程式が成り立ちます。

金額 = ID数 ✕ ID回数 ✕ 客単価
   = 客数 ✕ 客単価

点数 = ID数 ✕ ID回数 ✕ 客点数
   = 客数 ✕ 客点数

※.客数で割り算した客数平均を「客単価」「客点数」、点数で割り算した点数平均を「点単価」と呼ぶように、ID数で割り算した一人あたり平均を「ID回数」「ID金額」「ID点数」のように呼ぶようにしています。

ID数とID回数を掛け合わせるとPOS分析に収束してしまうので、ID-POS分析の肝は、ID数とID回数と言えます。

【ID数】最重要指標 。なにはともあれ「接点」が無ければ始まらない

ID-POSデータの本質は、商品と顧客との間に接点があった事の記録、接点記録です。

商品と顧客との間に接点があった事が分かれば、商品を使って接点に働きかける事も、接点を政策に利用する事もできます。

接点という足掛かりさえあれば、ID回数や客単価は何とかしようもありますが、接点そのもの(特に店との接点)を失ってしまえば何も始まりません。

ID数はズバリ何人の顧客との間に接点があったか?を表す接点数です。

POSデータは商品の動きを、ID-POSデータは商品と顧客の間に接点があった事を記録しています

ID数は会員カードの番号(カードID)から読み取ります。

会員カードを紛失して新しいカードに切り替えた(カードIDが変わる)なんてケースもありますが、基本は何個買ったか?何回利用したか?に関わらず「一人は一人」でカウントされる指標です。

顧客はその商品とだけ接点を持っている訳では無いので、ID数は単純に「多ければ多いほど良い」指標、「多い方を優先すべき」指標です。

接点を大事にすれば利用が増え、蔑ろにすれば未利用化に繋がります。

商品1の裏にはAさん1人分の店舗利用が、商品2の裏にはBさん、Cさん、Dさん3人分の店舗利用が紐付いています

もう一点、ID数は回転もリピート率も低く、その結果売上も低いが、幅広い人に支持されている商品を知る事が出来る指標でもあります。

例えばチラシ紙面といった平面に、回転やリピート率と言った奥行きは関係ありません。ID数の多い商品の方が、潜在/顕在の幅広い顧客の目にとまり、来店へと心を動かす事が期待されますが、こういった商品はPOS分析では時に過小評価され勝ちです。

【ID回数】利用を増やす

POS分析では従来から、発生したレシートの枚数の事を「客数」と呼んでいます。

これが先にある為、本質的な意味での客数が、ID-POS分析ではID数と呼ばれています。

ID数が分かる事によって、ID数平均=顧客一人辺り平均の指標が導き出せるようになります。

発生したレシート枚数をID数で割って、一人あたり換算したものが ID回数 で、要は利用頻度です。

再掲の図ではIDに付随して三枚のレシートが発生していますので、期間のご利用回数は3回であるとカウントされます。

ニクとサカナでは二回、ヤサイでは三回とカウントされます。

一人のお客さんが、三枚のレシートを発生させ、それぞれのレシートの客単価は平均で千五百二十一円となっています。

なにはともあれまずは接点(ID数=1、ID回数=1)を持ってもらい、次いであわよくば利用を増やしてもらう(ID数=1 、ID回数 ≧ 2)というのが筋道です。

程度の問題はあれ、基本的には店にそのお客さんにとっての利用メリット、利用目的が多い程店のID回数は増えます。

但し標榜するスタイルが「EDLPだからA5ランク和牛なんて扱わない」と言った店側の都合を乗り越えて、A5ランク和牛という利用メリットを備えるような手は打つべきではありません(一人への献身が、間接的に残りの利用者への背信につながり得ます)。

また「共働きで忙しいから、買い物は週末にまとめてしたい」といったお客さん側の都合や、「ドラッグストアで食品を買うのは抵抗感がある」といったお客さんの価値観を尊重せずに、利用回数を煽るような政策も、却って利用を妨げる事に繋がりかねません。

価値観も利用メリット認識も個々に異なるお客さんが、まずは現に求めている(最低限我慢できる)利用メリットの数々を、最大公約数的に知り、全店で備え、それが備わっている事を認知してもらう事が重要です。


余談ですが、頻度が分かると言う事は、”頻度”の無い世界 も分かると言う事です。

【客単価】「増やす」と言うより「増える」もの

従来からのMD/POS分析では、客単価を増やす =「一度の買い物で沢山買ってもらう(+1品)」「買うならできるだけ高いものを/見切り前に買ってもらう」事が基本です。

接点・利用を増やしたい/減らしたくないという視点のID-POS分析からすれば、 ID数 > ID回数に従属するレシートの内訳が主役の見方(売り込み)が接点・利用を減らす事を危惧します。

備えるべき利用メリットの欠落が無く、その存在が見つけ易く、選び易い状態にあれば、買い逃しによる他店利用のリスクが減る事でID回数が上がり、自ずと買い逃し分の客点数も増えると言った形が理想です。

よって方法論的には、まずは利用メリットを知り、備え、認知してもらうという事になります。


ID-POSのその他の指標についてはその他ID-POSの指標と方程式:ID金額とID点数 をご覧ください。

【ID数】足せる場合

ID-POS分析には単純に「足せない」指標が多く存在します。

代表的な指標であるID数を例に、まずは寧ろ稀な「足せる場合」を示します。

図のように縦軸が顧客そのもの(顧客セグメント)の表である時、ID数は足す事ができます(顧客セグメントでは文字通り、20代且つ30代という顧客は存在しないので)。

合計が足し算であると言う事は、それを分母に使った率は、足して100%になる構成比となります。

【ID数】足せない場合

次に図のように縦軸が顧客セグメント以外の表の場合、ID数を足してはいけません。

部門であれ、店であれ、期間であれ顧客は”併買”をするからです。

合計が足し算では無いと言う事は、それを分母に使った率は100%にならない数値ですので、構成比では無く購買者率と呼称します。

ID-POS分析の本丸である顧客接点=ID数を利用した考え方については、

なぜID-POSなのか?なぜBiZOOPeなのか? 

Tapir_MKによるマーケティングの教科書 

等も併せてご覧いただけると幸いです。