お客様のニーズが見える ID-POS分析
次のグラフは、ベビー・シルバー売り場の月別の利用者数の推移です。
月によって多少の変動を示しながらも、なだらかで安定的に見える毎月の利用者数からは、これ以上売上を伸ばす余地など無いように見受けられます。
ところが同じグラフを、各月の利用者を母集団として見てみると、そこには毎月大きな利用者数の崖が存在しています。
このグラフは、毎月のお客様の約46%が、翌月売り場を利用していない事を示しています。
これは、店舗もしくは売り場が「毎月利用する程、自分のニーズを満たしていない」と考える、お客様の割合です。
私たちの売り場は、市場や競合との比較、交差主義比率等を用いた売り手の都合で出来ています。
そこには、売り場を利用するお客様のニーズ、買い手の都合が含まれていないため、両者の間には、必ずこのようなミスマッチが発生しています。
その為、お客様のニーズに応える事、買い手の都合に歩み寄る事には、売上を伸ばす大きなチャンスが残されています。
お客様のニーズに応えて行く為には、応えるべきニーズが、「見えている」必要があります。
ところが、お客様の約96%が物言わぬ大衆=サイレント・マジョリティであると言われています。
寄り添うべき96%のお客様のニーズを、お客様の口から直接お聞きする事はできません。
サイレント・マジョリティ/ノイジー・マイノリティを問わず、お客様から日々一切の誇張なく、平等に発信され続けている唯一のデータが、POSデータです。
POSデータに顧客IDが付くと、お客様が「いつ と いつ」、「どこ と どこ」、「なに と なに」を選んだのかが分かるようになります。
例えば「なに と なに」に関してー
図のAさんのような選択をするお客様が多ければ、430gジャムというニーズが、Bさんのような選択をするお客様が多ければ、255gジャムというニーズが存在していることが分かります。
互いに互いの商品に手を付けていない事(非選択)から、この2つのニーズは相容れないものであることも分かります。
※.実際のロジックについては、【信頼してお使い頂く為に】基本指標と算出根拠 をご参照下さい。
「選択/非選択は口ほどに物を言う」事を利用して、ニーズの見える化はお客様ニーズを、互いに相容れず、それら以外は非選択な、お客様毎の売り場の利用目的の範囲と、実際に選択を行っている範囲の、2つの範囲に分類、可視化しています。
選択範囲中の単品が、お客様の具体的な選択肢です。
※.「目的範囲」は前項の430gジャムと255gジャムのような関係、「選択範囲」は同一容量中のブルーベリーとストロベリーのような関係。
お客様の目的、選択というニーズが見えていなければ、棚割では、相容れない選択肢と、選びたい選択肢とが、きっとバラバラに陳列されている事でしょう。
品揃えでは、お客様の選択を妨げる選択肢の過多がある一方で、ニーズそのものの欠落もある筈です。
これらがID数の崖の原因の一部です。
棚割、品揃え、このたった2つを各売り場が是正するだけでも、「自分のニーズに合っている」と考えるお客様が増え、お店の売上が伸びる筈です。
以上が、ニーズの見る化が必要な理由です。
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