お客様のニーズが見える ID-POS分析
ID数 = 利用者数 の事です。
ここではID-POS分析の根幹指標であるID数が、何故それ程重要なのか?改めて3つの視点で見て行きます。
チェーンストアが標榜しているのはマス・マーチャンダイジング、マス・マーケティングです。
私たちが、何より欲しいものは マス = 大衆 からの人気、それも店への人気です。
人気投票を思い浮かべてみて下さい。人気とは、正にID数の事だと分かります。
人気が無くては何も始まりません。
人気の店は人気の売り場が作ります。人気の売り場があればある程、人気の店となります。
人気の売り場は人気の商品が作ります。人気の商品があればある程、人気の売り場となります※。
そうであれば、自ずと遠方からも人は集います。それが人気というものです。
※.【重要】最低限の経済合理性は、人気順のような量によって測りますが、実際の人気とは、量だけで無く「お気に入り」の要素を含みます。
例えばプロ野球人気もあれば、Jリーグ人気もあります。プロ野球にしてもセ・リーグ人気もあれば、パ・リーグ人気もあります。セ・リーグ人気にしても、各球団それぞれの人気があるでしょう。阪神タイガースにしか興味が無い人も居れば、東京ヤクルトスワローズにしか興味が無い人も居ます。
それぞれの人気の量には開きがありますが、大衆からの人気を博すには、自ら定義したマーケットの範囲内で、量だけによらない、このようなセグメント毎の品揃えが必要です。
量だけでは測れないからこそ、ニーズの見える化 が必要です。
ID数の確保は「多様なニーズを網羅した品揃え」によって達成される為、マーケットの定義を広げて品揃えを浅くする/絞り込んで品揃え深くするのも、また経営戦略です。
POS分析黎明期の売上方程式は
「売上 = 点数 ✕ 点単価」
でした。
点数は実数、点単価は売上を点数で割った平均値です。
点数と点単価、売上により決定的な影響をもたらすのは、実数である点数の方です。
平均値は畢竟、実数から作り出された値だからです。
POS分析がレシートデータを処理できる位パワフルになり、その点数の深淵を
「点数 = 客数 ✕ 客点数」
に求める事ができるようになりました。
客数は実数、客点数は点数を客数で割った平均値です。
客数と客点数、売上により決定的な影響をもたらすのは、実数である客数の方です。
ID-POS分析でID数が分かる事により、客数ひいては点数の深淵を
「客数 = ID数 ✕ ID回数※」
に迄求める事ができるようになりました。
売上方程式を極限まで分解した際に、最後に残るアンブレイカブルな実数がID数、すなわち人気です。
※.BiZOOPeではID数で除した平均値をID〇〇と呼んでいます。ID回数は、期中の平均利用回数を意味します。
このように、これ以上数式的に分解不可能な、アンブレイカブルな実数と平均値から成るのがID-POS分析の売上方程式です。
実数を「人の値」、平均値を「商品の値」と見る事もできます。
人 ✕ 商品 = マーケットですので、ここに至って売上方程式は、「(プラス一品/ちょっと良いものを)売り込む」一辺倒を脱し、マーケティングの方程式になったと言えます。
前図で深い階層に位置した平均値程、重要度も、人による影響も増して行きます。
すなわち、ID数 > ID回数 > 客点数 > 点単価 であり、これはここまでの 客数 > 点数 > 点単価 の考え方に、そのまま符合します。
平均値の変動は、フォーマット転換でも伴わない限り±10%程度に留まり、固定化できないのに対して、実数の方はやり方次第で、理論上それ以上の変動を固定化できます。
平均値より実数、商品の値より人の値が、逃げてはならない本筋だという事です。
ID数は、あらゆる指標の中で唯一、商品固有の指標ではありません。
ID数は人そのもの(顧客)であり、商品・カテゴリーを跨いで共用される唯一の指標だからです。
これは、単なるPOSデータ(商品視点)ではなく、ID-POSデータ(顧客視点)でマーケティングを考える上で、絶対に押さえるべき基本原則です。
例えば人気のある必需品程、実のところ多くの人が拘り無く買っている「何となくの集積」であったりします。
一方でそこにカウントされた一人ひとりは、それぞれ違う拘りを持ったIDとして、別の商品にもカウントされており※、トータルでは店全体の利用に結びついています。
したがって、ID数を重視することは、顧客の来店や利用そのものを増やす(または減らさない)という、チェーンストアが目指すマス・マーチャンダイジングの根幹をなします。
※.これが、何故か殆どの人が「私のお気に入りは棚落ちし易い」と感じる理由であり、売れ筋に絞り込んだゼネラルマーチャントな売り場を「何でもあるが、欲しいものが無い」と感じる理由です。
ID数が重要なのは ー
1)私たちが最も欲している、人気を表す指標であるから
2)売上方程式の最根底にある実数であり、売上に最も影響を与える指標であるから
3)商品に固有では無く、店舗の利用に通じる唯一の指標であるから
これは、ID-POSデータを用いた顧客中心の経営戦略において、基本中の基本となる非常に重要な理解であり、効果的なID-POS活用に不可欠です。
この理解の上で、改めてトップページ等の内容にお目通し頂ければ幸いです。
以上、改めてID数の重要性についてでした。