お客様のニーズが見える ID-POS分析
特定の商品を買っている人のバスケット単価を知るには別の方法もありますが、一旦「特定の商品を買っている人」を顧客一覧として抽出してしまえば、他の分析メニューにも応用が効いて便利ですので、ここではその方法をご紹介させて頂きます※。
※.BiZOOPe的王道は、分析メニューニーズの見える化 で、特定商品を含むカテゴリーの単品群を分析し、商品のバスケット単価に加え、商品が所属する目的範囲、選択範囲といったニーズ毎のバスケット単価を分析する事にありますが、難易度が高い為、ここでは控えます。
1−1.メニュー画面の左から二番目の分析メニュー「商品 ✕ KPI」を使います。
1−2.商品 ✕ KPIの、分析条件画面の「商品分類」にて、右端のラジオボタン、商品(商品指定)を選択します。
表示された、あいまい検索/コード入力/ファイル読込のいづれかをクリックし、分析対象とする「特定の商品」を指定します※(図では「ハンバーグヘルパー」としてみました。複数商品の指定も可能です)。
※.詳細はマニュアルの商品で指定の場合を御覧ください。
期間、店舗の指定については、特に拘りや制約が無ければ、期間は昨日までの13週間、店舗は全店舗を指定します。
1−3.分析条件画面最下段の「オプション」にて、図のようにID数及び点単価〜ID金額迄のチェックボックスにチェックが入っている事を確認したら、分析を開始します。
1−4.表示された分析結果画面にて、リンク様に表示された、特定商品のID数をクリックします(特定商品が複数商品から構成されている場合には、合計行のID数をクリックします)。
これによって、画面右下に黒いボックス(顧客コレクションと言います)が表示されます。
1−5.顧客コレクションをクリックして開いたら、その中の「顧客一覧をダウンロード」をクリックし、作成された顧客一覧に名前を付けて保存します。
※.「他の分析へ」等、顧客コレクションからのその他の操作については、マニュアル顧客コレクションからの操作を御覧ください。
以上で「特定の商品を買っている人」の、顧客一覧が抽出できました。
バスケット単価とは、全商品を対象にした客単価ですので、ここでは商品の指定を全分類に変更します。
その上で、顧客を「特定の商品を買っている人」に絞り込んで分析する方法をご紹介します。
指示の無い分析条件については「1.特定の商品を買っている人の顧客リストを抽出する」のままとして下さい。
2−1.画面左上の「分析条件」をクリックし、分析条件画面に戻ったら、「商品分類」にて、ラジオボタンの選択を右端の商品(商品指定)から、左端の分類に変更します。
分析に相応しいと思われる粒度※の分類階層を選択(図の場合は「大分類」)し、階層ツリー最上位の、全分類を選択します。
※.後工程での、データ加工/考察のし易さも考慮の事。
2−2.分析条件画面下部の「顧客グループ」にて、リンク様に表示されている「ファイル読込」をクリックし、「1.特定の商品を買っている人の顧客リストを抽出する」にて名前を付けて保存した顧客一覧を指定したら、分析を開始します。
2−3.表示された分析結果画面中の、合計行の客単価(図では1,817.55円)が、特定の商品(ハンバーグヘルパー)を買っている人の、バスケット単価になります。
お問い合わせに対する答えとしてはここまでとなりますが、私の願いは皆様に「良い提案をしてもらう事」「業績を上げてもらう事」にありますので、蛇足ながら、2つ追加のご提案をさせて頂きます。
【ご提案1】
バスケット単価では無く、ID金額を論の中心に置く事をおすすめします。
ID金額 = バスケット単価 ✕ ID回数 ですので、利用頻度迄含めた、包括的な論が構築できる筈です。
【ご提案2】
特定の商品を買っている人のバスケット単価を知りたいのは、何かと比較して、それが優れている/劣っている事を知りたい為だと思いますので、以降でその方法を示します。
比較検討の為、2−3で出力した表を、EXCELに出力しておいて下さい。
3−1.画面左上の「分析条件」をクリックし、分析条件画面に戻ったら、「顧客グループ」にて、指定を全顧客(2−2のファイル名が表示されていない状態)に戻し※、分析を開始します。
※.今回は単純化とバイヤーへの説得力の為に「全顧客と比較して」というストーリーにしてみましたが、応用編として「競合商品を利用している顧客と比較して」等のストーリーも考えられます(が、ともすれば数字遊びとなってしまう為、あまりお薦めはしません)。
3−2.表示された分析結果画面中の、合計行の客単価(図では1,784.22円)が、全顧客平均のバスケット単価※になります。
2−3の結果と比較する為に、EXCEL出力しておきましょう。
※.全顧客の平均値 = 一般的な顧客の利用態度 と考えられます。
図は2−3で出力したEXCELと、4−2で出力したEXCELを、加工、比較したものです。
簡単の為、倍率以外の小数点以下を四捨五入してあります。
ハンバーグヘルパーの利用者が、13週間中にお店全体に落としているお金の総額(ID金額)は38,799円と、一般利用者の約2.5倍となっています。
そのほとんどは、店舗の利用回数(ID回数)が21回と、同じく一般利用者の約2.5倍を占めている事に起因しています。
ID金額 = ID回数 ✕ 客単価
これに比べればバスケット単価は、約1.0倍と、殆ど差がありません。
もしもバスケット単価に着目していたら、これ程大きなID回数の差には気づけず、1.2倍の客点数や、0.8倍の点単価といった、ささやかな差に注意が向いていた事でしょう。
結論として、ハンバーグヘルパーの利用者の際立った特徴は、「来店頻度の高さ」と言えます※。
※.ハンバーグヘルパーを利用するような人たちが、そのような利用態度を示すのであって、ハンバーグヘルパーを無理にでも売り込めば、来店頻度が変わるという訳ではありません。
これを部門別の内訳で見てみると、一般利用者の2.5倍以上の出費を行っているのは、一般食品の2.8倍、日配食品の2.9倍となります。
これらもそれぞれID回数が2.5倍、2.4倍と、その要因を占めており、一般食品、日配食品が、ハンバーグヘルパーを利用するような顧客の、主たる来店動機、出費動機となっている事が分かります。
多くの人がPOS分析の慣習から、客単価のようなレガシーな指標に拘りを持ち、客点数や点単価を上げる事に執着されますが、ここまでご覧頂いた通り、大きな違いはID金額、ID回数といったID-POSならではの指標が生み出しています。
逆説的に言えば、それがID-POS分析をする意義でもあります。
一方で、ID金額やID回数という平均値がいくら大きくても、ハンバーグヘルパーを利用している顧客そのものの数が少なければ、あまり意味はありません。
その為、ID数はそれを上回る最重要指標※となります。
脱線しましたが、以上「特定の商品を買っている人のバスケット単価を知る方法」についてでした。