” ニーズが見える ” ID-POS分析
商品政策※1における顧客にとっての利用メリット、直接的顧客接点は単品ですが、政策単位に応じてそれを拡大解釈する事が可能です。
それは部門/カテゴリーを顧客にとっての利用メリット/顧客接点単位と見た記事、店舗を顧客にとっての利用メリット/顧客接点単位と見た記事、或いは売価を顧客にとっての利用メリット/顧客接点単位と見た前回記事等で今まで見て来た通りです。
これらはどこで?なにを?いくらで?に関するマーケット・セグメンテーションについてのお話でしたが、ここではTapirのマーケティングにおけるオールラウンド性と、そのロジック※2の普遍性を証明すべく、残された「いつ?」=期間のマーケット・セグメンテーションについて考察して行きたいと思います。
顧客にとってある日/ある曜日の利用が、メリットであるという事は勿論あるでしょうし、売り手からすれば日や曜日というものが重要な顧客接点である事に間違いはありません。
前回記事【商品構成グラフで品揃えをしてはいけない!?】顧客は価格を買いに来ているのか? から引き続き、チョコ・ポケットカテゴリーのデータで見て行きます。
※1.ID-POSデータが取れない接客やクリンリネスといった商品政策外の利用メリット、顧客接点はアンケートのマーケット・セグメンテーションで評価する事ができます。興味がある方は<顧客接点を活かしたアンケート>あなたがその食品スーパーを選ぶ理由 を御覧ください。
※2.ロジックについては【ロジック】実際には大量の計算が必要なのでBiZOOPeが計算します を御覧ください。
顧客は併買をしますので、どの日とどの日を股に掛けて利用している人が多いのかという傾向が分かります。
13週間の利用日付を、顧客の併買傾向からクラスター分析にかけて見ると、各日付は完全に曜日のグループで固まり、図のように大きく8つのクラスター(seg_f)に分かれる事が分かりました(図が小さくてすみません)。
「曜日なのに8つ?」と思われたかもしれませんが、よくよく調べてみると+1は期間中の平日休(月と火)のみで構成されたクラスター(seg_f=f6)である事が分かりました。
seg_f=f1
水曜クラスター
seg_f=f2
土曜クラスター
seg_f=f3
木曜クラスター
seg_f=f4
火曜クラスター
seg_f=f5
月曜クラスター
seg_f=f6
平日休クラスター
seg_f=f7
金曜クラスター
seg_f=f8
日曜クラスター
定義上seg_fは「この範囲を越えた併買が余り発生していない」事を示すクラスターですので、決まった曜日の中で買い回っている顧客が多いという事になります。
となれば、「毎週水曜ポイント2倍」のような特定曜日固定政策は、その恩恵に預かれない顧客(水曜非併買)が多い事、中にはそれを面白くなく感じる顧客も居るであろう事が推察されます。
素直に「より多くの人に喜んでもらう」事を是とするならば、曜日固定にしてもナチュラルに利用ID数の多い土曜とすべきですが、各曜日でそもそも利用者が異なる以上、各曜日1日づつであっても、平等にお得が行き渡るようにする事が、マーケットを幅広く顧客満足で満たす道でしょう。
前図を見返して見ると、土曜を除く各曜日が、いづれもseg_nレベルでおおよそ前半/後半の2つの期間※に分かれている事が分かります。
定義上seg_nは「この範囲内で平均以上の併買が発生している」事を示すクラスターですので、土曜を除く各曜日の2つのseg_n間で、(他の曜日との非併買迄は行かずとも)併買者率が平均を割ってしまうだけの非併買者が発生した事になります。
顧客によって買う曜日が決まっているのであれば、時系列で見た期間の非併買者=カテゴリーからの離反者と捉えられます。
そうなると、seg_n中に含まれる最大日付と最小日付の差が、離反に至る迄のおおよその周期では無いか?という仮説が浮かび上がります。
※.顧客は多様ですので、前後半間で併買が全く発生しない訳ではありません。その為各期間については一部重複しています。
各seg_n中の最小日付と最大日付から、実際にそのスパンを計算してみたものが図になります。
特殊な平日休の火曜を除き、平均スパンを計算してみたところ、周期はおよそ45日(13週の約半分)となりました。
仮説が正とするならば45日に一度は、各曜日の利用顧客に対して何らかの離反抑止政策を打ちたいところです。
seg_nが2つに分かれなかった土曜日が最長の85日(集計範囲=13週)となりますので、土曜日利用の顧客は、他の曜日の利用者に較べ、離反しにくい顧客なのかもしれません。
できるだけ多くの顧客に満足を感じてもらい、離反を防ぐと言っても毎日特別な手が打てる訳ではありません。
全てが大事=全てが大事で無いと同義だからこそ、単品であれ何であれ私たちは”重点”を定める訳です。
採用順※1で並べ替え、レコメンド※1=2nd以上※2に絞り込めば自ずと、離反周期であるseg_n中各1日(図では13週中15日)の重点日を抜き出して来る事ができます。
※1.採用順、レコメンドについて詳しくは【ロジック】実際には大量の計算が必要なのでBiZOOPeが計算します を御覧ください。
※2.1日の利用者率は数%に過ぎない為、3rdレコメンド迄含めると13週中42日が重点日となってしまいます。
重点日は、買い回り単位である各seg_n中最も利用ID数が多い日ですので、併買効果が最大となるこのような日をseg_n毎に押さえ、顧客に満足を感じ、継続利用してもらえるような政策を打つ事で、最大限離反を食い止める事が期待されます(とは言え最大でも対象は、利用者率の単純計である43.19%に留まります)。
参考までに上記重点日を日付昇順で見てみると、10/11(金)と11/12(火)を除き、全ての1stレコメンドがおおよそ11月の前半に、全ての2ndレコメンドが9月後半と10月後半に集中している事が分かります(今回集計期間=8/26(月)〜11/24(月)の13週)。
棚替え等の商品政策が、利用顧客全員※に周知される迄にどれ位の期間がかかるのか?と考えた事はありませんか?
顧客は各日付間の併買をしますし、時系列では流入も流出もしますので、おおよその目安とはなってしまいますが、一日の利用者率を時系列で累計して行って、100%を越えるところを一つの目安と見る事ができます。
図を見てみると、それは45日(13週の約半分)である事が分かります。
この日数は先程仮説した離反周期の平均と一致しますので、MD/販促における基礎的単位と考えられます。
これらのスパンと前出の重点日の概念を利用する事で、離反を防ぐ事に主眼を置いた、新しいMDカレンダー/販促カレンダー=マーケティングカレンダーが生み出せるかもしれません。
※.今回の場合の全員とは、13週中のカテゴリー利用顧客のおおよそ全員を意味します。
・店/売場を利用する曜日が決まっている顧客が多い ⇨ 顧客接点としての各曜日を、別物として大切にすべき
・【特殊(故に大切)な曜日】土曜日の利用顧客は他の曜日の利用顧客に比べ離反が少ない
平日休を、狙って利用している顧客が居る
・顧客が離反に至る迄のスパンは平均約45日、顧客全員に政策周知が行き渡る期間も約45日
(よってTapirの推奨集計単位は、45日間の流入者全員が45日スパンを経験する(併買をする)45日+44日=89日≒13週)
・13週中各曜日2日づつの2ndレコメンド以上の重点日に離反防止政策を打つ事が、効率の良い離反抑止に繋がる(仮説)