” ニーズが見える ” ID-POS分析
みんな”自動”が好きですが。。。
まずは”判断”という言葉の定義が必要です。
現在AIが行っている所謂”判断”は、例えばー
・視覚:画像認識
(猫の写真から猫と判断する)
・聴覚:音声認識
(音声を文字に書き起こす)
といった五感の内いづれか一つに絞られた、謂わば”脊髄反射”のようなものです。
画像にも音声にも、判断に必要な一切合切の材料、情報がそこに含まれています。
猫の写真には、それが猫と判断できる視覚的な情報は全て含まれており
「鳴き声(音声)も聞かしてくれなきゃ猫かどうか判断できない!」
なんて事はありません。
しかも、猫は太古の昔から現在まで、未来永劫ずっと”猫”のままです。
そしてその写真を見た時。。。今昔問わずほぼ全ての人類が「猫」と答え続けるでしょう。
AI同士や統計的手法を組み合わせたもの、様々な”機械学習的なもの”がAIと称されている為、乱暴に思われてしまうかもしれませんが、AIによる判断の特徴を単純にまとめてしまうと次のようになります。
1)五感の内一つに絞られている
2)対象は判断材料全てを網羅している
(問いと答えがワンセット)
3)対象は時間の経過と共に(ほとんど)変化しない
4)真実はいつもひとつ!人によって判断が異なるケースがほぼ無い
あなたの関わるAIプロジェクトはこれらに該当するでしょうか?
少なくとも、それを要素に分解した際に、この組み合わせにより達成できるでしょうか?
そうでないならば。。。
AIは”判断”って言うよりも”判別”って言った方が適切な気がします。
判断は、判別の後に来ます。
棚割や発注、新商品の需要予測といった、私たちの仕事に纏わる多くの”判断”はより高次のものです。
対比すればー
1)視覚/聴覚一辺倒でこれらを判断する事はできない
一目見ただけで「ビビビっ!」と来てくれれば苦労はありません(「ビビビっ!」と来ても離婚したりしますしorz)。
2)判断材料は多岐に渡り、盲点も多い
「Twitterでバズった」、「ロシアのウクライナ侵攻がはじまった」、「店の前の幹線道路が工事中」、「駐車場に屋根があった」
極端なものを上げましたが、判断に影響するこれら全ての材料をAIに”食わせる”事はできるでしょうか?常に食わせ続ける必要があるでしょうか?全ての商品に必要でしょうか?そこまでして誤っちゃあかん、寸分の誤差すら許されない判断なんでしょうか?
3)人の世は移ろう
パクチーが静岡のスーパーの店頭に当たり前に並ぶ日が来るとはッ!ピックアップが廃盤になる日が来るとはッ!
定番商品のパッケージすら変化して行きます。
そりゃ「ワールドカップ缶」や「鬼滅缶」だって作りたいッ!
AIにとっての学習とは、移ろいに付いて行く事では無く、果てなき全パターン網羅への道です。
4)喧々諤々
「ID-POSによる意思決定は流通業の常識になる!特に中小にとっては生き残りのラストピースだ!」
「ID-POS分析なんて売れる訳が無い!特に中小には無理!」
人の見方は色々だなぁ〜orz
きっと現時点での”答え”はあるのだろう。。。現時点の判断なのであればその材料だって、気づくかどうか?網羅できるかどうか?は別にして、あるのだろう。。。
目に見える世界はすべて過去の物語さ 乃木坂46「指望遠鏡(マギED)」
このオレが…未来を変えてみせる…! バーダック「ドラゴンボール」
「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ! ジョルノ・ジョバーナ「ジョジョの奇妙な冒険」
我々の仕事って、つまるところそういう事なんじゃあ無いでしょうか。。。
”判断”って言うより”意思”、”意思決定”、人間讃歌(?w)なんだよなぁ〜。我々C3-Labが”意思決定支援”に拘り続ける理由。。。
勝手に熱くなっちゃいましたが、全ての判断に意思を込めるなんて事は現実問題無いわけで。。。
前出のAIによる判断の特徴4つを満たす分野であれば、AIに判断(判別)させるべきで、例えば棚札に書かれた売価のチェックや手書き伝票の読み取りなんかはAIが適任な訳です。
生産性が低く、創造力を要求されない、ある意味非人間的な仕事を肩代わりしてくれるのがAIです。
それに対して、網羅は出来ないけれども材料(データ)は有り、主要なパラメータも何となく分かっていて、誰に聞いても「一個でも二個でもどっちでもいいんじゃ無い?」「バズったらバズったでしゃあないよねw」「何事もトライ&エラーだよ!」くらいの、意思を込める必要の無い判断は、一部AIを組み合わせるにしても、可読性の高いロジックと、人間がコントロールし易いIFを組んで、コンピューターに処理させちゃえば良いと思います。
多くの商品の発注作業なんかはこのケースに当たると思います。
が、統計的変動のボトルネックは、主に予測単位の小ささと、リードタイム(天気予報と同じで先の予想であればある程ハズレる)にあります。
個店の予想を集めて来て合計するよりも、全体で予想した方が精度は高くなりますし、極論リードタイムが0であれば、セルワンバイワンで行けちゃいます。
よって、統計的変動に翻弄されちゃあなんない重要なものに関しては、コンピューターロジックに執心するよりも、一箇所に集めてその単位で予測をし、そこから配送する事でリードタイムを短くするといった”しくみ(マネジメントシステム)”の方が重要になります。
統計的変動への対処方法の基本は、双子の子供であるバッファーとリードタイムのマネジメント、マネジメントシステムなのですが、多くの場合我々所謂”システム屋”さんは、コンピューターロジックに執心する余り、こういった真のシステム発想ができていませんorz
最後に”意思”や”勘と経験”の分野は、これら所謂”業務系” ”余力を作るためのシステム”とは異なる分野です。
”勘と経験”は、私たちが視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の複合から、個々に重要と思われるものを食わせ、そうで無いものを取捨選択して来たファジーな長期学習の賜物、一つの高度な学習モデルです。
我々C3-LabがBiZOOPeで、あなたの意思決定が極力誤たないよう、楽になるよう支援しますが、ここは取引先や会社、お客さまと言った第三者の意思、都合や、政治が混じって来るのが特徴の分野でもあります。
必ずしもシステムのレコメンド 通りにする必要はありません。
材料が充分に無い時、材料が充分にある”過去”は参考になりますが、未来を切り拓いて行くのは、どこまで行っても人間の”意思”であり、これこそが素晴らしい人間の”仕事”なのでは無いでしょうか。