” ニーズが見える ” ID-POS分析
「ID-POSカテゴリー研究」、「これからのID-POS活用を真剣に考えてみよう!」と、ここのところID-POS関連の記事ばかり書いていますが、気休めに久々に本当の戯言も書いてみたいと思いますw
以降、チラシ商品選抜<”ハネる”商品とは何か?> の巻末にも細かく書きましたが、
最も身近で、故に最も進んでいると目される予測=天気予報における降水予測は、降水確率という確率で表されます。
ざっくり言って ー
確率を提示する事で、各個人の「傘を持って行くか/行かないか」、「洗濯物を干すか/干さないか」といった意思決定支援を行っているのが天気予報です。
降水確率30%なら「雨が降る」としてしまう(閾値を設定する)というのが、ある意味多くの人が期待している予測で、その際に全員に傘を持たせ、洗濯物を干すのを禁じるという割り切りが自動化です。
この時の予測精度は文字通りおよそ30%となります。
「降水確率30%だけど、ちょっとコンビニ行くだけだから傘持たずに行っちゃおッ!」という意思決定はエイヤッ!ですし、自動化の閾値を決めるのも最後の最後はエイヤッ!です。
結局のところ意思決定支援だろうが自動化だろうが、やる事(業務)が上手く行く確率を高める為に行うのです。
良いとか悪いとかで無く「そういうものだ」、「そこには割り切りが必要だ」という事、「100%正確じゃ無いと。。。」なんて言い続けて何もしないよりは「やってみなはれ!」の方が遥かにマシっていう事だけです。
だって、天気予報ってみんなの役に立ってるでしょ?
シチューミクスと鶏肉、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、サラダ油、水、牛乳から、一番多くの人が「美味い!」と思う配合を、何度も作り直し、その都度感想を教えてもらう = 「学習」する事で当てに行くというのがAIっぽい予測のイメージです。
一番多くの人なんで全員では無いですし、これも裏にあるのは確率です。
「ブロッコリー入れないと!」「ローリエ入れた方が美味いよ!」なんて言われても、最初っから与えられていない材料を入れることなんて出来ませんから、有る材料で曲がりなりにも”最善”のシチューを作り出すのが予測と言えます。
逆に材料として”鶏肉”を与えるのであれば、宗教上の事由等から「どのような人たちに向けた”最善”なのか?」よって「どのような人たちに感想を教えてもらえばいいのか?」という定義が必要になります。
「材料」と「定義」の範疇であれば ”最善” を導き出す事は請け負いますが、それ以上を期待しないで下さいw
「同じ状態が10回あったら、ある事象が3回起こる」というのが確率30%です。
同じ確率30%でも「同じ状態が100回あったら、ある事象が30回起こる」の方が、より信憑性は高まります(量)。
商品に関わる予測で難しいのがココです。
単純な例ですが、本年7月の状態から8月に商品に起こる事象の確率を「30%」のように予測したいとすると、少なくとも10回分の7月の状態と、8月の事象のペア(計11年分)が材料として必要になります。
ところが以下のような鮮度に関わる問題から、これをそのまま材料とするのは難しいのです。
1)季節が移ろう
夏のアイスクリームを予測するのに冬のデータは使えないので、材料は自ずと制限されます。
今年が猛暑予想か冷夏予想かでも使える材料は制限されます。
2)商品が移ろう
毎年ひっきりなしに新商品が出ます。それに合わせて廃盤商品が出ます。定番商品もリニューアルして行きます。
過去を材料にする事のできる商品自体が限られて来ます。
3)顧客が移ろう
年に10%前後の顧客が入れ替わって行きます。
入れ替わらない顧客の暮らし振りも結婚、出産、育児、教育、子離れ等々によって、各々年々変化して行きます。
商品の予測と言いますが、本質は顧客の利用行動変化の予測ですので「今の顧客」という鮮度が重要になって来ます。
4)世情(人の心)が移ろう
去年「タピる」とバズったものが、今年になったらお寒い死語になっています。
材料の少なさに「類似した商品の動きが材料として使えるのでは?」とも思いますが、”類似”の定義はさておき、価値観、利用メリットとしての捉え方そのものが変化して行ってしまう為、これも過去をアテにし辛いものがあります。
5)時勢が移ろう
特に昨今集中しましたが、災害、疫病、戦争、円安等で時勢はコロっと入れ替わってしまいます。
かように商品に関わる予測というものは、量と鮮度の面で充分な材料を得る事が困難なのです。
ぶっちゃけ、
今年の7月のトレンドの延長が8月にも続く(100%) 事をベースに
去年の7月と今年の7月の状態が同じ商品に関しては、今年も去年の8月と同じ事が起こる(100%)
と見做すしか無いような世界です。
それでも。。。それを全く考慮に入れないよりは、考慮に入れた方が業務の確率は高くなる = 役に立つ 筈です。
みんなそれぞれがそれぞれの方法で、天気予報を日々の生活の役に立てています。
自分の生活に天気予報の方が合わせさせるべきだなんて人はいません。
以下は予測における原理原則なので、「予測なんて役に立たない!」なんて嘆くより行動(運用)を変える事で、予測が益々役に立つようになる筈です。
1)リードタイムが短い予測ほど当たる
明後日の予報より明日の予報、明日の予報より1時間後の予報の方が当たります。
必要な予測のリードタイムを短くする為に変えられる運用は無いか?を考えます。
2)大きな単位の予測ほど当たる
例えば明日の店舗の売上を予測するとして、単品の予測の積み上げよりも、部門の予測の積み上げの方が、
部門の予測の積み上げよりも、ざっくり店舗の売上で予測してしまった方が当たります。
単品の売上予測でも個店の予測を積み上げたものよりは、全店で予測してしまった方が当たります。
予測を全店で行う事で役に立て、個店には支障を来さないような運用方法は無いか?といった発想で運用を考えます。
「前からそうしてるから」という思い込みや、間違った仮定、前提条件はありませんか?
かように精緻に見える事でも割とざっくりしている事、手をこまねいているよりはエイヤッ!とやってしまった方が良い事、
ざっくり&エイヤッ!は大事!というお話でした。