ID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe
ブランドスイッチは幻か?

<ペプシ VS コカコーラ>

日本一役に立つID-POS分析のページを目指して、一生懸命書いてるつもりにも関わらず2022年12月15日現在、Google自然言語検索「ID-POS分析」における我がホームページの平均掲載順位はなんと!第57位orz

誰がそんな下位掲載のページ見るんじゃ〜ぁ(涙)

「ID-POS分析」関連のワードの中で、平均掲載順位最上位はブランドスイッチ分析で第5.9位

「みんなそんなにブランドスイッチ分析に興味あんのかぁ〜?」と思いつつ、
ブランドスイッチ分析について書かないと
帰れま10 ので書いてみますw

さて、私位の年代がイメージする「ライバル商品」と言えばペプシコーラコカコーラ(古いw)!

皆さんも私のようにイメージ願望でライバル商品を決めているんじゃあないか?と思いますが、何と何がライバル商品であるのかを決めるのは顧客です。

よって、そもそも仮想敵自体を見誤っている場合が多、ブランドスイッチ政策は表題の通り、一瞬の期間併買のキラメキと共に、儚く散り去る場合が多いのです。

実際問題「何と何で迷う事が多いのか?」多くの顧客にとってその関係にあるのがライバル商品です。

以降で「ペプシとコカコーラで迷うヤツって多いのか?」見て行きましょう。

Google検索弱者私ですから、ペプシに肩入れするつもりでブランドスイッチ戦術について書いて行きたいと思います

【最重要】そもそも仮想敵が間違っている!<ライバル商品はどれだ?>

ケース/バンドル品を除く「小型飲料」マーケットを、顧客の利用行動(ID-POS)からセグメントしたものが下表です。
マーケット・セグメントの一部を抜粋し、ペプシコーラ関連を青地に赤フォント、コカコーラ関連を赤
に白フォントで塗ってみました。
(表をクリックで開きます)

seg_f(f=far=遠い)は、マーケット・セグメンテーションそのもので、定義上、このコードが異なるもの同士の間では、マークダウン等の政策によるカニバリゼーションが引き起こされない事を意味しています。

seg_n(n=near=近い)は、多くの顧客が同一コードの括りの中で顕著に選択購買行動もしくは買い回り行動を行っている事を示しており、各コードではマークダウン等の政策によるカニバリゼーションが引き起こされる事を意味しています。


※.両セグメント共に棚割(プラノグラム)やチラシ紙面のゾーニングに用いられます。
  小売業さんが開示している
BiZOOPeTapir_MK、またはメーカー/卸向けのテンポラリーTapirで分析可能です。
※.まあ、言ったら併買分析のオバケみたいなもんですが、算出ロジックが気になる方はこちらをご覧ください。

明細表_ペプシコーラVSコカコーラ

直接的競合と思われたコカコーラ700mlは、カニバリゼーションしないseg_f=f5に属していて(実際にはペプシとの間に非表示のseg_f=f4が存在している為、かなり離れたセグメントです)、同じseg_n=f5_n16には三ツ矢サイダー、アクエリアスというメジャー商品が所属しています。
メジャー商品群の間で買い回るという利用行動が顕著という事でしょう。

コカコーラ350mlもやはりカニバリゼーションしないseg_f=f2に属していて、350ml炭酸を好む顧客は、その多くが基本350ml炭酸の中から選択、買いりを行っているという事が分かります。

何だか消極的に捉えると「一安心♪」ってところ(?)ですが、してみるとペプシコーラのライバル商品は?という事になります。

直接的ライバルとしては同じseg_n=f3_n13に属する同門ペプシコーラゼロ、次いでコカコーラゼロとなります(セグメントと「並び順」※から判定)。

遠からぬライバルとしては、同じseg_f=f3配下のジンジャエールドデカミンライフガードが挙げられます。
(「同一セグメント内 > 「並び順」の数字が近い」順で、商品相互の関連性≒ライバル商品度は強くなります。)

その他については互いにほぼ「眼中に無い」と思って頂いて結構です。

各単品の共通点から見るに seg_f=f3=ケミカルテイストな炭酸(失礼?w)を売場/店の利用目的としている一定数の人たちが居て、それがざっくりと 非ゼロ(若干エナジー)=f3_n12、ゼロ系=f3_n13 に分かれている(もしくは非コーラテイストとコーラテイスト?)ように見受けられます。


※.商品同士の関連性を二次元表現した数値で、棚割(プラノグラム)やチラシ紙面の並びにも使われます。

ペプシコーラの置かれた立場

ペプシ VS コカコーラ で論を進めようと思っていましたが、ここまで見て来た通り、どうやら両者は直接的ライバル関係に無く、ガチなライバル関係は互いに隣り合う、ペプシコーラゼロ VS コカコーラゼロゼロコーラ対決、或いは ペプシコーラ VS ペプシコーラゼロ同門対決にあるというのが顧客から見た実態のようですorz

【閑話】それにしても隔世の感です。映画館で「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見終わって、好きな飲物を聞かれたら絶対に「ダイエットペプシ☆」って答えよう!マイケル・J・フォックス!なんてクールなんだッ!と思った中二病の頃、ダイエットペプシなんて日本じゃ(静岡じゃ?)売ってませんでしたw 更には本当はこれしか飲んで無い”赤コーラ”が350ml以外「レコメンド」※が付かない世の中になってたとは。。。

各個撃破の法則で、ペプシコーラゼロは同じ seg_n=f3_n13 の代表的利用メリット(レコメンド=2nd)たる隣人コカコーラゼロに戦いを挑まざるを得ないでしょう。

ですが、ライバル商品のコカコーラゼロですら、 seg_f=f3 というより大きな利用の観点から見てみれば、レコメンド=1st のジンジャエールに次ぐ2ndチョイスの位置付けです。

ペプシコーラゼロにテコ入れすれば、確実に同門のペプシコーラとカニバリゼーションを起こすというのも痛し痒しですorz

当初の「ペプシコーラに肩入れする」という視点から見れば、ゼロで無いのにゼロと同じseg_n=f3_n13に位置し、それでいて「並び順」的には非ゼロ系の seg_n=f3_n12 から最も遠いという不遇。。。

コカコーラのノーマルとゼロが seg_fレベルで大きくセグメンテーションされ、それぞれの立場を確立しているのに対して、
ペプシコーラのノーマルとゼロが、ケミカルテイスト重視に見える seg_f=f3 の
同一seg_n内にあると言う事は。。。

良く言えば、コカコーラと違って「ゼロなのに同じ味!」を実現!

悪く言えば「だったらゼロだけでいいじゃん!」「どっちも顧客からしたらコカコーラゼロと同じような味?」とも仮説されます。

(どれも飲んだこと無いですし、嗜好の問題なんで実際のところは分かりませんが。。。)


※.売場の利用目的を代表する商品に1st、2ndのレコメンドが付きます。1st は seg_f を、2nd は seg_n を代表する利用目的です。販促商品の抽出や最低品揃え、商品カットに利用されます。

ペプシコーラのスイッチ戦術<マーケット・セグメンテーションのメリットを活かす>

さて、どうしたものでしょう?

皆さんならどうします?

こんな時こそ「マーケット・セグメンテーションのメリットを活かす時です。

マーケティングとは、新しい策を打ち出す事ではなく、
マーケット・セグメンテーションのメリットを活かすことにある。

seg_f、seg_nというマーケット構造が見えた事で、真のライバル商品がどれか?とその関係性がはじめて見えて来ました。

そうしたら、俗に言うランチェスター戦略に倣って、そこの市場(セグメント)に絞って制圧する方策を考える事です。

いきなり総大将であるコカコーラの首をとりたい気持ちも分かりますが、ここはグッと堪えて弱者の戦略に徹し、まずは前哨戦であるコカコーラゼロとの戦いに勝利する事に全勢力を傾けます。

そこに勝ってはじめて、自軍のマーケット内での位置付け(総大将に挑戦出来る位置か否か)に変化が生まれるからです。

【再掲】(表をクリックで開きます)

明細表_ペプシコーラVSコカコーラ

小売業の売場内でのコカコーラゼロとの戦いを考えてみれば、これは局地戦と捉えられますから、ランチェスターの第一法則を適用します(と言うか弱者こそ局地戦に持ち込むべきです)。

この場合、 戦闘力 = 人数 ✕ 武器効率 なので、人数(商品力)をID数と捉えれば、

コカコーラゼロ=12,358人 に対して ペプシゼロ=8,004人 で彼と我との間には1.5倍以上の戦力差があります。

これを武器効率だけで補うのもシンドいですし、より勝利を確実なものとする為に ペプシ=1,794人 と共同戦線を張り ペプシゼロ+ペプシ連合軍9,798人※1で、 コカコーラゼロとの戦力差を約1.26倍に迄縮めて戦いを挑みましょう。

敵さんもまさか、ペプシコーラまでコカコーラゼロの敵になるとは気づいていない筈(?)です!w

これもコカコーラゼロとは違い、友軍が同一戦線(f3_n13)に居るという天恵(?)です(逆にコカコーラゼロにジンジャーエールと共同戦線を張られ、f3という戦場に引き摺り込まれると苦しいかもorz)。

コカコーラゼロが丸腰=武器効率=1の時、ペプシ同盟軍の勝利には1.26倍超の武器効率が必要となります。

おもしろおかしく書いて来ましたが、具体的には例えば「ペプシゼロ/ペプシお買い上げでもれなく30ポイントプレゼント」のようなアイテムクーポンを、コカコーラゼロの12,358人に絞って/もしくは内部離反※2を起こさないようseg_n=f3_n13の20,014人に絞って発行する事です。

結構な武器効率なので現実的かどうかは別としても、局地戦に持ち込み、絞っているからこそ採れる武器効率とも言えます。

が、クーポンは常時打てるものではありませんし、販促自体 ”より良い利用メリット” を改めて知ってもらう事が本来の目的(”より良く”なかったら長期的に見て逆効果)です。

売場において常態的に30%安くするのもレッドオーシャンですし、ブランドイメージの毀損につながるでしょうから

・陳列はペプシ、ペプシゼロ、コカコーラゼロの順、またはその逆順で(ペプシ側を優位地に)並べ、接近戦に持ち込む事

・最低限 ペプシ+ペプシゼロ で コカコーラゼロ の1.26倍超のフェイスを確保する事

を考えます。

いづれにしても、当初想定していた「コカコーラの顧客をペプシコーラにブランドスイッチさせる」という戦術とは随分違った戦術になったもんだよなぁ〜という点を感じ取って頂ければ幸いです。

※1.実際には併買者が含まれる為単純な足し算にはなりませんが、コカコーラの12,358人にもペプシの併買者が含まれる事から、単純の為このように計算しています。が、商品力の不足って二商品の足し算で補えるのか?とも思いますw

※2.併買者が居ると言う事は、自軍と友軍の中にも、敵軍の中にも寝返る可能性のある人が必ず一定数居るというイメージです。

局地的顧客理解が武器効率を高める

コストは強力ですが、それだけが武器効率を高めるものではありません。

局地戦、接近戦ですから徹底的にやり合いましょう!

下図を見ると、小型飲料カテゴリーは50代を中心とした40代以降の顧客が9割近くを占めています。
(表をクリックで開きます)

中でも今回戦場と定めるf3_n13は40代、50代に顧客が顕著に集中しています。

販促にせよ売場にせよ、この人たちの価値観、この人たちにとっての利用メリットを想起したデザイン、キャッチ(POP)を採用する事でも武器効率はより高まります(それこそ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なんて駄目っすね?40代には古すぎる?!w 男の思考ですしね...)。

当初、ゼロコーラの戦場f3_n13に紛れ込んだ、ゼロじゃ無い不憫なコーラ「ペプシコーラ」はいっそf3_n12に特攻を掛けさせようか(並び順的に遠いけどorz)?とも考えましたが、その場合はより若い層を意識した演出が必要となりますね(論理飛躍するんで、やめた方がいいと思いますw)。

seg_n_ペプシコーラVSコカコーラ

素人考えですが、戦略的には不可侵マーケットであるf3内でのペプシの立場を安定、確立させる為にも、f3_n12にも何か一商品クサビを打ち込んで置きたい所ですよねぇ〜。

新商品「ケミカルペプシ ジンジャーエナジー」なんてどうでしょう?www
ダメっぽいですねw

まあ、マーケット・セグメンテーションは商品の開発戦略にも使える(プロならw)って事でご理解下さい。

極論、商品政策上ペプシコーラゼロはコカコーラゼロとの差別化が図れていない/それどころかペプシコーラとの差別化も図れていないというのがこれまで見て来た仮説です。

つまるところ店にしろ商品にしろ、利用者視点から見て”良いもの””より多くの人の”実際の”利用メリットに適ったもの” が売れるのであって、「”良いもの”=”売れる”とは限らない」とするのは、作り手/売り手側から見た一方通行の商品視点、プロダクト性能評価としての”良いもの” 或いは、”実際の”では無い「丸の内のOL100人が選んだ」的なアンケート回答者の空想的利用メリットに基づく”良いもの”に依拠している為誤りです。

このホームページも製作者自身は”良いもの”と思っているのですw

耳の痛い話ですorz

最後に、ライバル商品が的確に分かっている場合のブランドスイッチクーポン政策って、実は小売業さんにとっては来店増にも繋がる政策なんですよ☆

よって、メーカーさんは提案時私利私欲剥き出しでは無く、そこんところを特に強調したいですよね

正直、個人的に今までブランドスイッチや併買と言った単品政策を「小手先でせせこましいorz」と考えて来ましたが、いざ真剣に考えてみると存外楽しかったです。


他にもクーポンとか棚割(プラノグラム)とか商品開発とか、色々と真剣に考えたページがありますので、面白いと思われた方は是非以下のページも覗いてみて下さい。

こらからのID-POS活用を真剣に考えてみよう!