ID-POS意思決定支援クラウドサービスBiZOOPe
【これからのID-POS活用を真剣に考えてみよう!】
単品クーポン

これからのID-POS活用を真剣に考えてみよう! 販促編に突入です。

単品クーポン(レジ/アプリ)は「喜んでくれる顧客に発行できれば」という前提ですが ー

メーカーよし(売りたい商品の売上が上がります。場合によってはブランドスイッチを目論む事ができます。)

小売よし(クーポン利用顧客の来店回数が上がります。客単価は変わら無いので、丸っと一回分の買い物増が期待できます。)

顧客よし(お得で嬉しいクーポンが届きます。)

という実は「三方よし」の政策です。


商品カット/絞り込みと最低品揃え で挙げた最低品揃え商品を改めて店舗で取り扱う事とした場合、当該利用メリットを必要としている顧客に対して「ウチの店にはあなたにとっての利用メリットがありますよ!」といち早くお知らせしたいところですが、陳列しただけでは気付いてもらうのに時間が掛かりますし、チラシでは多くの場合市場規模に対して大仰過ぎます。

特にそんな時こそ、必要とする顧客に”気づき”を与える販促、単品クーポンの出番です。

※.売場あってこその販促です。気づいて貰いやすい陳列については棚割(プラノグラム)エンド陳列も併せて御覧ください。

集計のレギュレーション

利用メニューBiZOOPeTapir_MKテンポラリーTapirにおいても利用可能なメニュー)

期間:2018年5月28日 〜 26週間

店舗:静岡地区の複数店舗

商品:デモデータから「一般食品 > 菓子 > 珍味・豆菓子」配下の単品

表示:一部の列を追加/削除/非表示しています。

珍味・豆菓子(単品)のクラスター分析結果

商品カット/絞り込みと最低品揃え  において考察した通り、下表では「稲葉ピーナツパッピー豆123g」が採用順2位の1stレコメンド商品(=顧客の利用目的を代表する最低品揃え商品)であるにも関わらず、取扱店舗数が14店舗中10店舗である事が分かります。

この商品は未取扱4店舗の顧客の来店に影響を及ぼしている可能性がある為、急遽全店品揃えを行い、品揃え完了次第単品クーポンで、いち早く必要とする顧客に対して周知を行うというシナリオで考えて行きます。

下表は表示の都合上seg_f=f3部分のみを抜き出し、並び順(関連順)=降順に並び替えています。
(表をクリックで開きます)

単品クーポン

【クーポン発行対象=単品(稲葉ピーナツパッピー豆123g)の顧客=785人
通常政策においては、買った事のある顧客に買った事のある商品のクーポンを発行する事が最もヒット率が高く(30〜40%)、来店増(0.4回/月)も望めます。
小規模メーカーにも協賛の余地があり、小売業のコストパフォーマンスの面において最も優れた発行対象と言えますが、顧客にとっては実用一辺倒で「発見」や「面白み」に欠け、メーカーにとってはやや需要の先食いに近く、市場拡大(ブランドスイッチ)の旨味に欠ける点が弱点と言えます。

今回シナリオの場合、ここには当然未取扱4店舗の利用顧客含まれ無い公算が高いので、別の対象を検討する必要があります。


【クーポン発行対象=”近い”商品を利用目的としている顧客(seg_n=f3_n31)=897人
ID-POSから顧客にとって”近い”利用目的と解析された「みそ落花生60g」の利用顧客を含む897人で、通常政策においては、協賛規模に対して単品の顧客数が少なすぎる場合に、これらの顧客に対してのクーポン発行を検討します。
「みそ落花生60g」しか利用した事の無い顧客にとっては「発見」や「面白み」のある提案なり得、メーカーはそこに強力なブランドスイッチへ期待を持つことができます。

こと今回シナリオに関しては「みそ落花生60g」の利用者規模が(販売期間の問題もあって)小さ過ぎる事から、別の対象を検討します。
※.並び順(=関連順)の近いseg_n=f3_n32 や f3_n30 の顧客を発行対象に加えるという手もあります。
 但し、表上だけでは各セグメント間で重複している顧客の人数が掴めません。


【クーポン発行対象=”遠からず”の商品を利用目的としている顧客(seg_f=f3)=5,418人
通常政策的には前述seg_nの場合と同様ですが、定義上「この範囲外の顧客に政策の効果は無い」レベルに迄対象顧客の枠を拡大した上限の括りと言えます。
顧客から見れば、最終的に利用こそしないかもしれないが「全く関心の無いSPAMレベルのクーポンではない」提案となりますし、メーカーから見れば予算の範囲内である限りにおいて「最大限ブランドスイッチに挑戦できる」括り、小売から見れば限られた発行枠を占める妥当性、印字/配布と言った発行コストの妥当性といった経済合理性、マスメリットに富んだクーポン発行対象と言えます。


よって「稲葉ピーナツパッピー豆123g」が品揃えさえされていれば売場/店を利用するかもしれない顧客に働きかけるという今回シナリオの場合、seg_f=f3の5,418人に単品クーポンを発行する事が望ましいと考える事ができます。

通常時の単品クーポン政策においても、まずseg_fの顧客を対象と見て、予算に応じてseg_nの顧客 > 単品の顧客 と配布範囲を検討して行く事がベターと考えられます。

MA(マーケティングオートメーション)に向けて 〜 クーポン市場の考察

折角の「真剣に考えてみよう!」ですから、ここからは単品クーポンの将来ビジョンについても一寸考えてみます。

単品クーポン(レジ/アプリ)は適切な顧客を対象に配布できさえすれば、来店を増やしてくれます。

そうで無ければSPAMのように逆効果になりかねません。

ID-POSからはseg_f、seg_n、単品といった単位で適切な顧客が分かります。

となればこの人口減少時代、定常的にできるだけ多くのクーポン企画を打ち、来店を確保して行きたいところです。

MA、One to Oneが難しいのは結局の所「協賛、商談」が必要なところ、ロジックのみに依拠すると味気なく固定化され勝ちなところ(自身のブラウザに表示されるweb広告を思い出して下さいw)ですが、これを幅広いメーカーが様々な単位で勝手に登録して行ってくれるような、単純なレギュレーション下でのweb受付としてしまえば、毎週勝手に欲しい(惜しい)クーポンが届く、マーケティングオートメーションが実現できるのでは無いでしょうか?

特にアプリクーポンであれば、それが比較的やり易いのでは無いでしょうか?

オートメーションっぽく無いって?無責任に何でもかんでも自動化が求められるこのご時世、個人的に人の想いが込められるこんなやり方が好きなんですw


クーポン市場(仮称)画面イメージ

既知の主な懸案としては以下のような点が考えられます。

【クラスター分析の単位】
分析の単位によって”近い”/”遠い”の判定が相対的に変わります。
MA化するのであれば、分析の単位(期間/店舗/商品)を検討する必要があります。
商品で言えば小分類等で割り切ってしまうのが一番楽なのですが、粒度がまちまちです。
棚割の単位が一番相応しいでしょうか?

【顧客の重複、正確な配布先人数と発行枠数】
メーカー同士の配布希望顧客が重複した場合の優先順位、顧客毎の発行枠数を超える場合の各商品の処遇を決める必要があります。
「早い者勝ち」だと楽なんですけどw

またID-POSから出力された対象顧客全員が同時に「アプリ会員」であるとは限りません。

【品揃えとハズレ商品】
クーポン利用期間中に顧客の利用店舗に対象商品が品揃えされてなくてはなりません(全店取扱有∧直近実績有の商品だけを対象とするという手もありますが)。

全レジ通過者/全アプリ会員にクーポンを発行しなければならないとするならば、各メーカーの発行対象から漏れた顧客向けに、枠数分の(言い方は悪いが)ハズレ商品を用意しておかなくてはなりません(この場合、ハズレの方が発行枚数は多くなる)。
また、ハズレ商品の割付優先度にも考慮する必要があります。

BiZOOPeでの分析設定

BiZOOPeでの操作におけるミソは、分析結果画面右上の「詳細」をトグルする事で、seg_fの顧客、seg_nの顧客、商品の顧客それぞれをRとTに分けて表示、ダウンロードが可能な事です。

RはRepeat、TはTrialを暗示していますが、デフォルトではRが2回以上利用者、Tが1回利用者となっており、この閾値は「分析条件画面」の「オプション」から変更する事も可能です。

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