” ニーズが見える ” ID-POS分析
これからのID-POS活用を真剣に考えてみよう! 販促編第二弾です。
一つのJANコードを対象とした単品クーポンに対して「花王ソフィーナフェア」のように複数のJANコードを対象としたクーポンをここではアイテムクーポンと呼称しています。
今回は真剣に考えてみよう!と言うよりは、システム操作の趣が強いですが、前回の単品クーポンの考え方を下敷きに、BiZOOPeでのアイテムクーポン対象顧客の抽出方法について真剣に考えてみたいと思います(興味無い方は【大切な事】にだけでも目を通して頂けるとありがたいです)。
大きく 単品の顧客をそれぞれ指定、マージして抽出する方法 と 複数の単品を集約し一つの単品と見做して分析、抽出する方法 の2つの抽出方法が考えられます。
分析対象内から容易に該当商品を探し出せる程度に分析対象範囲/該当商品数が少ない場合に用いる方法です。
BiZOOPeでは「ID数」に該当する欄の数値が全て青字にアンダーラインのリンク様になっており、これをクリックする事で画面右下にボックスが現れ、クリックした顧客が格納されます。
任意複数の欄に該当する顧客をクリックする度に顧客を追加して行く事ができます。
ボックスはクリックする事で下図のように展開され、「顧客一覧をダウンロード」から重複を廃した形で一意の顧客コードをダウンロードする事ができます。
図では「稲葉ピーナツフェア」をイメージし、それぞれの単品の顧客を選択した形となっています。
単品の顧客を選択すればそれらの商品の利用経験のある顧客を、seg_nの顧客を選択すればそれに加えて”近しい”商品の利用経験のある顧客を、seg_fの顧客を選択すれば更に”遠からぬ”商品の利用経験のある顧客をアイテムクーポンの発行対象としてダウンロードできます。
これらの単位は全単品で揃えても結構ですし、単品によってバラバラでも構いません。
アイテムクーポンの政策意図に応じて選択して下さい。
詳しくは単品クーポンをご覧ください。
分析対象内から容易に該当商品を探し出せない程度に分析対象範囲/該当商品数が多い場合に用いる方法です。
この場合、まず下図のようにA列に商品をアイテムとしてまとめる為の任意の文字列(全行同値として下さい)、B列に該当するクーポン対象商品のコードを記載したCSVファイルを作成します。
下図のように Tapir_MK の分析条件画面>商品分類から「単品でクラスター分析」>「階層ファイルで指定」で作成したCSVファイルを読み込ませます。
図では「指定の所属小分類配下の商品も分析に含める」となっており、各単品が所属する小分類配下の単品を同時にクラスター分析する対象とします。
各商品の所属小分類が異なっていた場合、その各小分類配下の単品が分析に加わります。
ここではこれを中分類や大分類と言ったより大きな分析範囲に変更する事も可能です。
異なる商品群を1商品として束ねてしまうという事は、異なる価値観を持った顧客群を一つの顧客群に束ねてしまうという事でもありますので、小分類では相対的にマーケットの範囲が狭くなり、「単品の顧客=seg_nの顧客=seg_fの顧客」のようにセグメント分けを行う意味が薄くなる可能性が出てきます。
下図は出力結果で、商品コード欄、商品名欄共にCSVファイルのA列にアイテムとして設定した値が表示されています。
小分類内で分析を行っている為、単品の顧客=seg_nの顧客 となっている事が分かります(特段それが”悪い”という訳ではありません)。
前出の方法と同じく、アイテムの顧客を選択すればアイテムに所属するいずれかの商品の利用経験のある顧客を、seg_nの顧客を選択すればそれに加えて”近しい”商品の利用経験のある顧客を(図の場合”近しい”存在は消滅していますが)、seg_fの顧客を選択すれば更に”遠からぬ”商品の利用経験のある顧客をアイテムクーポンの発行対象としてダウンロードできるという寸法です。
前回の単品クーポンでは、MAへの考察もあり言及する事無く「珍味・豆菓子」で分析を行っていましたが、そのクーポンでどのマーケットを狙うのか?という政策意図も重要なポイントです。
マーケットというものを大きく捉えるか、小さく捉えるかによって商品同士の相対的な”近い”/”遠い”の判定も、対象人数も大きく変わって来ます。
「対象人数は多ければ多いほどいいじゃ無いか!」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、単品クーポンでも出て来たように「喜んでくれる顧客に発行」する事が重要であり、そうで無いSPAMのようなクーポン発行は逆効果となり得るからです(単品の利用顧客を対象としたクーポンですら、そのヒット率は30〜40%です)。
その為のID-POSですし、その為にマーケットを絞るのです。
今回のデモデータの場合 一般食品>菓子>珍味・豆菓子 という商品分類構造を持っていますが、稲葉ピーナツの商品群をもって「一般食品マーケットに働きかける」というのはやや珍妙に聞こえます。
せいぜい「菓子マーケット」であれば、「珍味・豆菓子」に相通じる菓子の商品もあるかもしれませんし、「ほう!そういう商品もあったか!」と思ってくれる顧客も居るかもしれません(その意味では漠然としたアイテムクーポンよりも、単品クーポンの方がダイレクトに響き易い ⇨ アイテムを「ピンと来る」単位で定義する事も重要)。
あらゆる政策は確率の問題であり、政策意図に従ってチャンスとリスクのバランスを取る必要があります。
改めてマーケットはー
・連続したある一定期間内における
・売り手が定義した売り物(商品群)と
・そこへの参加者(顧客)
から定義されるものです。
よって、例えばクーポン発行対象者をマーケット参加者である顧客全員(=マス)と定義するのであれば、量子もつれのようにその瞬間、売り物も全商品(=マス)と決定づけられます。
クーポンで言えばこれは「◯円以上お買い上げのお客さま一律お支払いから◯%OFF」のようなものです。
どちらが良いと言う訳では無く、ことクーポンの話に限って言えば、マス思考ならばクーポンを細かくセグメントする事=対象商品の売上を増やす事を目的とする事は得策で無く、マーケティング思考であれば逆にクーポンを細かくセグメントする事が来店に繋がる⇨ 但しそれを如何にマス化する事に勝負を掛けるか?を考えるべきだというだけの事です。
どちらも中途半端は良くない!?
ざっくりと前者の方が遥かに単純で私好みなのすが、圧倒的なNo.1企業にしか採れない戦略なのでしょうね、きっと。。。