” ニーズが見える ” ID-POS分析
光あるところに影がある。選ばれる商品あれば選ばれない商品が、ハネる商品あればヘコむ商品があります。
マーケットを商品という個々に閉じた数値の集まりとしてでは無く、商品相互に作用し合う”場”として扱うのが、場の顧客-商品力学のパラダイムです。
場の構成商品(観測範囲)の定義は、観測者の手に委ねられています。
マーケットは商品と顧客から構成される場であり、顧客-商品は相互に作用しあいますから、図の空枠の中に顧客=利用ID数が入る事で、場が成立します。
場は顧客個人毎に存在します。
私という顧客一人が「赤いきつね」を利用すると、図の相互作用場の赤いきつね✕赤いきつねの組み合わせ枠にID数=1が立ちます。
場において一人の顧客が取り得る値は0か1のみですので、私が赤いきつねの単体利用を繰り返す限り、この枠内の数値は1のままです。
この状態において赤いきつねと私は相互に作用を及ぼし合っていますが、その他の商品と私の間の相互作用は観測されていませんので、反対の場である非相互作用場には確率的に赤いきつねとしか相互作用しない顧客としてのID数=1が立ちます。
場においては一人が一品を利用する事で、無条件に相互作用が全体に波及します(0か1が立つ)ので、作用が及ぶ範囲としての構成商品の定義は重要です。
その後私が「緑のたぬき」を利用すると、赤いきつねとの間に相対性が生まれ、私の前回の緑のたぬきの未利用と、今回の赤いきつねの未利用との間に何らかの相互作用があった確率が生まれます。
その為場は赤いきつねの単体作用から、赤いきつねと緑のたぬきの相互作用へと図のように転移します。
更にその後赤いきつねと緑のたぬきを同時利用すると、これは確率的に相互作用では無くそれぞれの単体作用であったと見做される事で、場は図のように転移します。
同時利用が観測された段階で図の赤枠部分の観測結果は確定され、以後転移しなくなります。
以上がこの場を支配している基本的な法則と場の振る舞いです。
ここまでは私という個人の場を見て来ましたが、法則の範囲内でこの場が取り得るパターンは個人個人で異なります。
個々人の場は確率的に決定している為、利用者全員の場を重ね合わせ足し上げる事で、トータルでの確からしさの度合いを高めます。
多数決で多数派の場のパターンを採用する訳では無い所が、重ね合わせる事の肝です。
足し上げられた場の数値は、相互作用場であれば数値が大きい組み合わせ程相互作用が大きい”近い”商品、非相互作用場であれば数値が大きい組み合わせ程相互作用が小さい”遠い”商品を意味する事となりますが、後者の方が距離になぞらえるのが容易な為、重ね合わせには非相互作用場を採用します。
重ね合わされた場は商品数✕商品数の相互間距離である為、各商品はあたかも星団中の星のように三次元分布を採る事となりますが、私たちに知覚可能/利用可能な次元数は二次元である為、階層クラスター分析によって三次元を二次元に畳み込みます。
端折ります & 美しさが実感できる商品数では無いですが、それが図のようなTapirの二次元帳票となっています。
もう少し商品数が多くそれらしいものももう一表載せておきます。
テクニカルな正当性はさて置き、重ね合わせ後の場の数値を人間がそれらしくイメージして作ってみても、とてもこうは行きません。
場の理論も勿論ですが、顧客の自然で自発的な利用行動というベースデータ(ID-POS)あればこそです。
顧客の声なき声が、これ程鮮明に数値に表れてしまうものだと知ってしまった以上、それを無視し続ける訳には行かない!と、私かちょーは一人使命感に燃えている訳です。