お客様ニーズが見える ID-POS分析。
直近の記事、 「巨人・大鵬・玉子焼き」 、 「ゆでガエル」な私たち 等で連続して「言葉の定義が大事」と書いた手前、「言葉の定義シリーズ」(続くのか?w)、今回は「属人化」についてです。
何故ならば、私の評価表には部長から毎回必ず「属人化を廃して下さい。」という指摘指示事項が入るからですw
・大谷翔平くんの代わりなんて、大谷翔平くんでも作れないよ!自分の子供すら、思い通りになんかならないっつーの!(社員より余っ程、教育研修費かけてんだぞ!w)
・「〇〇くんが辞めたらどうするんだ!?」って?「明日は明日の風が吹く」「やまない雨は無い」だよ。大谷くんが居なくなってもドジャースは、そしてベースボールは続いてくってもんよ!
・ウチの課は属人化してるから儲かってんだぞ?
・部長ったら属人化ってもんが分かってないよねぇ〜。
と、スルーし続けてます(部長ごめんw)が、はて?何でもかんでも標準化できない事は確かですし、個の力が非常に大きい事も確かです。(多分)
同じように何でもかんでも属人化すれば良いって訳でも無いですし、標準化の力が大きい事も確かです。(多分)
要は属人化領域と標準化領域の線引が、私にも分かってないよね? そりゃ「属人化を廃して下さい。」って書かれる訳だ!と、そういう経緯ですw
以降、推論平均読了時間12分の長い思考実験とはなりますが、最後までお付き合い頂けましたら幸いです。
多分、私の考える「属人化」と、部長の考える「属人化」は食い違っています。
となれば、私の考える「標準化」と、部長の考える「標準化」も食い違っています。
と言うよりも、二人ともきっちり定義している訳では無く、あわあわ だというのが実態と思われます。(部長、ごめんw)
ですからまずは、取っ付き易そうな「標準化できるもの」について考え、その残滓を標準化できないもの=属人化領域と考えてみたいと思います。
仕事柄、標準化領域と言うと、設計書、引継書のような「残して行って欲しいもの」が思い浮かびます。
アクセス稼ぎ(どうせ大してアクセスされないw)みたいで嫌ですけど、私のイメージでは、飛び抜けた属人性の権化 = 大谷翔平くん なんで、そこから標準化できるものはあるのか?「大谷翔平くんに残して行って欲しいもの」を題材に、思考実験をして行きましょう。
大谷翔平くんそのものを、組織として伝承して行く事は、さしものドジャースでも出来ないにしても、私たちが「大谷翔平くんに残して行って欲しいもの」は何でしょうか?「サイ・ヤング賞」?「ワールドシリーズ三連覇」? いやいや、そういう事ではありません。この段階で、言葉の定義を誤っています。
AIに「成績以外の大谷翔平くんの際立った特徴」を拾って来てもらい、実感が持てるよう、 「野球、試合、プレー」 ⇨ 「仕事」 、 「チーム」 ⇨ 「会社」 に置換、赤入れしてもらいました。バットが折れて飛んで来た時のエピソードだけ、上手く翻訳できなかったので、割愛しました。それが以下のリストです。
【人間性・振る舞い】
礼儀正しさ・謙虚さ:常に物腰が柔らかく、誰に対しても敬意をもって接する姿勢
ゴミ拾い
純粋な仕事愛と集中力
私生活でも仕事を中心としたストイックな自己管理を徹底「物欲がない」「運転免許を取る時間がもったいない」
仕事中の集中力が高く、切り替えが早い
【思考・自己管理】
目標達成への意識と準備:目標を細分化して行動計画を立てる「目標達成シート」
日々の日誌(仕事日誌)と自己分析、目標達成に向けてPDCAサイクルを回す
徹底したコンディショニング
最高のパフォーマンスのための睡眠時間や食事、健康管理に細心の注意
仕事以外の多様な関心:読書家
リラックスのための趣味
【仕事スタイル】
クリーンな記録(目標)達成
会社への貢献意識
流石 「野球の申し子」大谷翔平くん!「仕事」(「野球」から置換)という文字が頻発しますね!
でも、何だか「野球」の時には美談と言おうか、崇高な感じすらしたものが、「仕事」に置換した途端に(野球も仕事であるにも関わらず)、変わった社員感(仕事の申し子w)が出て来るのが、何とも不思議です。
これは失敗ですね。
個人の際立った特徴を拾って来たので、仕事や会社という言葉こそ(多分、普通の社員以上に)頻発しても、属人的な事ばかりになってしまいました。
「属人的な事から標準化できる事は抜き出せない」という間抜けな結論が分かりました。
標準化で良く言われる「ベストプラクティスの横展開」が、属人的領域では、強いてもほとんど成立しないであろう事も分かりました。「ベストプラクティス集」ならば、触発される人も多いとは思いますので、ここはきっちり分けて考えなくてはならないでしょう。
私たちも8時間労働という、だいぶ仕事中心の生活を送っていますし、仕事日誌(日報)も、半期目標も書いてますけど、これには「やらされている」事(望んで就職した会社ではありますがw)と「望んでやっている」事という大きな違いがあります。
「やらせる」事を標準化と言うならば、それが標準化なんでしょうが。。。。。。
多分、ここにも 標準化=会社がやらせる事/会社にやらされる事 という仮定の誤りがあります。
間抜けなりに3点(ほぼ2点)導き出せましたので、メモっておきます。
1.属人領域から標準化すべき事は導き出せない。
2.属人領域のベストプラクティスは、横展開する性質のものでは無く、参考書である。
3.会社がやらせる事/会社にやらされる事 が標準化という訳ではない。
大谷翔平くんの中に「参考にできるもの」はあっても、「標準化できるもの」はありませんでした。すなわち属人化領域というのは明らかに存在するという事です。となれば、標準化領域というのはこの外、すなわちドジャース、私たちで言えば会社に求める事が出来そうです。
一応整理しておきます。中=個人(私たち)、外=会社 です。
今度はAIに「ドジャースが一軍登録選手に対して行っている事」を拾って来てもらいました。
ドジャースは、一軍登録選手のパフォーマンスを最大化するため、最先端の技術と手厚い専門チームを投入した組織的なアプローチを行っています。
前章の「大谷翔平くんの特徴リスト」とは違い、この「ドジャースの施策リスト」は全てが標準化、すなわち一軍登録選手全員に提供される「舞台装置」や「楽屋」のようなものの塊でした。
その証拠に、「大谷翔平くんの特徴リスト」とは違い、置換では意味が通らなくなるような、プロフェッショナルな専門用語が多い為、そのまま掲載します。
かと言って野球に興味が無い方には意味不明でしょうから、どなたでもざっと概観頂けるように、折りたたみ式のリストにしてみました。興味のある方は、一つづつ展開しながら御覧ください。
1. 科学的分析・データ活用
* 最先端のパフォーマンス分析施設「The Lab」の活用。
* 投球・打撃のフォームを分析するモーション・トラッキング技術やラプソードなどの分析機器を導入し、数値に基づいた指導を行う。
* 個別化されたトレーニングプログラムの実施。選手の動作効率やスイング軌道などを数値化し、最適な改善点を特定する。
* パフォーマンス科学グループを中心とした専門家による分業制。テクノロジーを活用して選手ごとの課題を可視化し、指導者にフィードバックする。
2. コンディショニング・リカバリー体制
* 理学療法士、アスレティックトレーナー、ストレングス・コンディショニング専門家などのエキスパートによる手厚いメディカルサポート。
* 怪我の予防とリハビリ、パフォーマンス向上を専門的にサポートする体制。
* リハビリ・リカバリーのための専用スペースを設け、個別化された治療を受けられる環境。
* ウェアラブルセンサーなどを活用し、怪我の予防と練習量の適切な管理を行う。
3. 栄養管理・ウェルビーイング
* 専門の栄養士とシェフによる食事の提供。選手個々の体調やトレーニング内容に合わせた栄養バランスの取れた食事で体調管理をサポート。
* 最高のパフォーマンスのための睡眠環境の整備とサポート。
4. 練習設備
* 最新のトレーニング施設への大規模な投資。
* 高性能な打撃・投球ケージ、高解像度ビデオボードなどを導入し、選手が最高の環境で練習できる設備を整える。
折りたたみ式のリストを開いてみた方はお分かり頂けるかと思いますが、リスト中、日本人の指導者大好きな「指導」という文字が入るのは、「分析機器を導入し、数値に基づいた指導」だけ、リスト中、日本人の管理者大好きな「管理」という文字が入るのは、「怪我の予防と練習量の適切な管理」だけ(共に1/12)で、あくまで黒子に徹しており、まとめれば、選手に「やらせる」のでは無く、選手のパフォーマンスを一貫してサポートするのがドジャースの仕事のようです。
そのリストの中には、「徹底したコンディショニング」、「最高のパフォーマンスのための睡眠時間や食事、健康管理」と、「大谷翔平くんの特徴リスト」の中にあった、属人的領域のサポート迄含まれていますので、気になった方は、今からでも開いてご覧になってみて下さい。
さて、ドジャースの仕事をまとめたものを、 「選手」 ⇨ 「社員」 、 「ドジャース」 ⇨ 「会社」 に置換してみましょうか?大谷翔平くんの時と同じように、また 変わった会社 感が出るのでしょうか?w
社員に「やらせる」のでは無く、社員のパフォーマンスを一貫してサポートするのが会社の仕事
あれ?なんだかとっても良い会社じゃ無いですか? 「甘ったれるな!」って怒られちゃいますかね?
「そんなぁ〜大好きな ベストプラクティスの横展開 で、是非とも真似して下さいよぉ〜」 ねぇ、みなさん☆
閑話休題 ー さて、前章、社員の「中」から分かった事と、本章、社員の「外」、すなわち会社から分かった事をまとめてみましょう。
だいぶ間抜け感が無くなり、強気な感じになって来ましたw
1.【仕事の役割分担 】 仕事には「属人化すべき領域(個人の領分)」と「標準化すべき領域(会社の領分)」の二種類がある。
2.【ベストプラクティスの扱い】 「属人化すべき領域(個人の領分)」のベストプラクティスは、再現性が極めて低く「参考書」に留まる。 対して「標準化すべき領域(会社の領分)」のベストプラクティスは、再現性が高く、競争力強化のために、即座に、「横展開」すべきものである。
3.【標準化の再定義】 標準化とは、社員に何かを強いて「やらせる」ことではなく、社員のパフォーマンスを一貫してサポートするという、「会社の仕事」である。
さて、この強気さに、多くの人は首を傾げているのでは無いでしょうか? 読了時間を短くする為に、若干の丁寧さの欠如は否めません。
「ドジャース は たんまり儲けてるんだろ? でも、ウチは日本の中小企業だ。 ましてや プロ野球チーム でもねぇ。」
「大谷翔平 は 特別過ぎる。俺たちは、しがない日本のサラリーマンだ。(私もね☆)」
分かります。その違和感、私も当初はそう感じていたのですから。
ですけど、私はみなさんよりも先に思考実験を済ませていますので、この反論こそが、私たちが「標準化」と「属人化」を切り分けられていない 理由 なのだと、今なら分かります。
では、私が思考実験に使った反論、4つに絞って反論タイムです。
反論1:「大谷選手だって、拘束時間やルール(標準化)を強いられているじゃないか!」
「彼だって試合時間には絶対にいなきゃいけないし、サインプレーなどのルールに従わされている。これは標準化じゃないのか?」
回答1:「契約条件(ルール)」なので当たり前です。
プロ野球選手も当然仕事ですから、義務拘束時間はあります。参考までにドジャースの選手の試合日の推論拘束時間とその内訳を、図1に掲載します。
図1.ドジャースの選手の試合日の推論義務拘束時間(トータル約9時間)
食事や治療・コンディショニングといったサポートが義務拘束時間に含まれ、それが契約や属人化を挟み込むように配置されている。
これは会社が作った枠組み、すなわち選手の中では無く、外にあるものであり、選手はその枠組に同意しています。
選手が試合に出る、ユニフォームを着る。これは「標準化」では無く「契約」であり、「ルール」です。これは「同意」であり、 「強いられている」ものではありません。
同意事項を守らなければならない事は、私たち会社員と何ら変わりありません。
一方で、私たちが議論している「標準化」とは、同じ私たちの外、すなわち会社が作った枠組みの中でも、同意外の「会社の仕事」のことです。
ドジャースが選手に提供している「栄養管理」や「移動のロジスティクス」等が「標準化」です。
一方で、日本の一般的な企業で行われている「標準化」とは、属人性の範疇(中)にある「ピッチングフォームやバッティングフォーム」を、あたかもそれが「契約条件」内の同意事項であるかのように、「属人性を廃して、こうしなさい。」或いは「君のルーティーンは合理的で無いので、止めなさい。」と介入して来る行為です。
契約(ルール): 時間、場所、コンプライアンス。
標準化(舞台): 雑務の排除、ツール(POS、ノートPC等)の提供、環境整備。
属人化(パフォーマンス): 創意工夫、接客、分析( 我らがBiZOOPe )。
この3つを混同して、「属人化領域」にまで介入して来るのであれば、社員はパフォーマンスを落とし、選手であれば怪我に繋がります。
これは、売り物を自ら毀損する自傷行為です。
反論2:「それは彼らがスーパースターだからでしょ? 2軍選手にも同じことしてるの?」
「ドジャースだって2軍選手はバス移動だろ? 結局、特別扱いできるのは稼ぐ奴だけ。俺たち凡人にコストはかけられんよ。」
回答2:掛けるコストの「大きさ」は違いますが、何にコストを掛けるのか?という「論理」は全く同じです。
工場で考えてみましょう。 「1台10億円の特殊大型機器(大谷翔平くんの例)」と、「1台400万円の汎用機器(私たちの例)」があったとします。 10億円の特殊大型機器には、専用の空調と専属のメンテナンス部隊をつけます。 一方、400万円の汎用機器には、当然そこまではしません。
しかし、ここからが重要です。
「安いマシンだからといって、メンテナンスもせずにサビつかせたり、本来の用途以外の仕事に(例えば 給湯機 や リンゴの皮むき機 として)使ったりしますか?」
しませんよね。 安いマシンであっても、定期的に油を差し、本来の仕事以外はさせない事で、少なくとも故障しないように扱います。
なぜなら、それを怠ると、マシンがパフォーマンスを落として、工場全体の生産性に影響を及ぼしたり、壊れて買い替えコストがかかるからです。
ドジャースも同じです。 彼らは2軍の選手を、チャーター機で移動させる事こそしませんが、栄養管理された食事や、データ分析による育成プログラム(標準化された舞台)を提供しています。
なぜか? 彼らを早く1軍へと上げ、儲かるマシンにするため、そして「故障(資産の毀損)」を防ぐためです。
掛けるコストの多寡の問題ではありません。 重要なのは、「リソースのパフォーマンスを最大化するための『標準化』を行っているのかい?いないのかい?どっちなんだい!?」 という唯一点です。
私たち、しがない日本のサラリーマン(400万円のマシン)も、ドジャースの2軍選手と同じ、バス移動で充分です。食事は立ち食いそばか、愛妻弁当で済ませます w
しかし、いくら私たちが400万円のマシンだからと言って、「本職でお金を生み出す事に集中」させず、お茶汲みや、リンゴの皮むきにも使った挙げ句、「数字が行ってないじゃないか!」と言うのは、「資産管理の放棄」どころの騒ぎではありません。
反論3:「彼らは野球だけやってればいい。俺達は『色々』やらなきゃいけないんだ!」
「野球選手なんて、野球だけやってればいいから楽でいいよな。俺達は営業もやって、導入打ち合わせにも出て、クレーム処理もして、単品管理の訂正伝票も切って、経費精算もしなきゃいけない。彼らとはやらなきゃならない事の『種類の多さ』が違うんだよ」
回答3:その『種類の多さ』こそが、私たちの稼ぎ(生産性)と、私たち自身の価値を下げていますorz
「野球しかしていない彼ら」と、「色々やらなきゃならない私たち」。 稼ぎ(付加価値)が高いのはどちらでしょうか?
圧倒的に前者です( 「俺は違うよ♪」って方、放っといて下さい(涙)。 )
なぜでしょうか? 「色々できる(何でも屋)」というのは、器用で便利に見えますが、経済合理性の観点からすれば「機能が純化されていない(何者でもない)」状態です。
ネジも作れて、リンゴも剥けて、お茶も入れられる……そんな機械、真剣に「お金を儲ける」為の工場には要らないでしょ?って言うか実際無いでしょ?「ネジ作り」に特化し、それを超高速・高品質でこなす機械が、「高付加価値な資産」として稼働しているのが、工場の現実です。
「プロフェッショナル」とは!何でもこなせる人のことではありません。
最も価値を生む「唯一つ」のために、それ以外を「切り捨てた(標準化に任せた)」、「勇気」と「覚悟」ある人たちのことです。
ドジャースは、選手を「野球のプロ」、「高付加価値な資産」とするために、プレーに関する事以外の、野球に関わる事全て(移動手配、食事管理)を会社が引き受け、選手に捨てさせています。選手、会社共にプロフェッショナルであり、プロフェッショナル同士の契約関係なのです。
一方、私たち日本の組織は、社員を「仕事のプロ」にする事よりも、「何でも屋のアマチュア」になってもらいたいようです。
日本のサラリーマンの、同僚への挨拶の代表格とも言える「お疲れ様です」が、忙しい事、疲れている事、何でもいいから必要とされる事に、価値を感じる風潮を、端的に示しているように思えてなりません。
そんな価値観と風潮の中、「社長何でもかんでも俺に回して来るんだよなぁ♪ 誰か代わりにできるようになってくれよぉ〜♪ あーあ忙しいッ、また次の会議だ♪」などというのは、自ら「私はプロではありません」と白状しているようなものです。あーあ、お恥ずかしいったらありゃしない♪
それよりも、冒頭の「大谷翔平くんの特徴リスト」を見返してみて下さい。
「一点集中の凄味」を感じませんか?
「野球選手なんて、野球だけやってればいいから楽でいいよな。」なんて、口が裂けても言えませんよね?
プロ中のプロとは、こういうものです。(一点集中には努めてますけど、それ以外は、”変わった社員”では無い私には真似できません。てか、しません!w)
反論4:「彼らは個人事業主だから。。。」
この反論には、従業員側の「諦め」と、経営者側の「思惑」が混在しています。両者の言い分を見てみましょう。
【従業員側の言い分】
「彼らは契約で仕事が決まっているプロだ。契約外のことには『No』と言える。 でも、俺たちは正社員だ。会社に守ってもらう代わりに、命令には逆らえない『使い放題』のサブスクだ。下らん事務処理だろうが、馬鹿げた会議だろうが、言われたら従うしかないんだよ……」
【経営者側の言い分】
「個人事業主は成績が悪ければ、契約更新時にはクビにできる。リスクは限定的だ。 一方、正社員は簡単にはクビにできない『固定費』だ。中には、作らせたものを全部別の人に作り直させなければならない『マイナスの工数』しか生み出さない奴だっているんだぞ! そんなリスクを会社が背負っている以上、その分も働いてもらって、元を取らなきゃ割に合わない!」
回答4:やれやれだぜ。。。「甘ったれるな!」というやつだぜ。。。
まず、経営者さんに問います。 「マイナスの工数(破壊)」。分かります。私も実際遭遇しましたorz
まず最初に、そのリソースを選定し、長期保有資産として購買(採用)したのは誰ですか?会社です。返品(解雇)できないことを嘆いても始まりません。 そういった事が今後起こらないように、購買(採用)の標準化を進める事が、せめてもの責任の取り方ってもんではないでしょうか。
そのリソースは、今も「マイナスの工数(破壊)」を生み出し続けているのでしょうか?
であるならば、あなたはそのリソースの脅威に、別の長期保有資産であるリソースを晒したまま、放置している事になります。これは「社員のパフォーマンスを一貫してサポートする」という標準化の定義に抵触しています。「現場で何とかしろ!教育が足りん!」では無いのです。
何故私が「購買(採用)」にも、「標準化」という言葉を使ったのか、今ならお分かり頂けるのでは無いでしょうか。あなたの貴重なリソースを、危険なリソースの脅威から、保護するのがあなたの仕事です。
個人事業主は、契約が終われば去っていきます。しかし、正社員(長期保有リソース)は残ります。 彼らが日々の仕事で得た「経験」「知識」「顧客/取引先との関係」。これら「属人化領域の資産」は、時間が経てば経つほど、複利のように積み上がって行きます。それこそが、あなたが彼らを敢えて「正社員」として採用した理由なのではありませんか?
ですが、彼らをそこ一点だけに集中させ、複利を生み出し始めるのを待たずに、「誰にでもできる雑務(一切複利を生まない仕事)」ばかりさせていたら、どうなるでしょうか?
あなたは複利によるレバレッジをドブに捨て、ただ年齢と給与だけが上がっていく、大量の負債を敢えて抱え込んでいるようなものです。
それも危険なリソースの件と同様、リソースそのものの問題というよりは、あなたの問題なのです。
「一切複利を生まない仕事」を徹底的に引っ剥がし、「コア業務」に一点集中させること。 それによってのみ、あなたの抱える「固定費」は、本来の莫大なリターンをもたらす、「優良資産」へと変わるのです。(と、かちょー ごときが口幅ったくすみませんorz)
そして、働く仲間の皆さん!「仕方ない」と、思考停止して雑務に甘んじるのはやめ、できれば『No!』と言いましょう。「仕方ない」なら誰でも出来ます。「仕方ある」ようにするのが仕事です。
自らを「メンテナンス不要の安物万能機械」へと貶める事は、私たちにとっても、会社にとっても良いことではありません。
雇用形態や解雇規制のせいにして、言葉の定義も理解もしないまま、やれ「属人化を廃せ!」だ、やれ「標準化!」だ、やれ「自動化してしまえ!」だ、「現場のせいだ!」「会社のせいだ!」と思考停止している、ゆでガエルな働く仲間たち(経営者さんと私たち) には、よくよく考えて頂きたいものです。
政治だけのせいでは無いッ!ここまでの情けない※反論(謂わば言い訳)の数々、そして「経営と現場、双方の怠慢」、「リソースそのものの劣位では無く、リソースの使い方/使われ方の劣位」こそが、日本の生産性を下げている元凶 です。
※by とんねるず
さて、不毛な反論タイムは終了です。 私たちは「属人化(ユニークな価値創造)」こそが競争力の源泉であり、それを阻害する雑務を徹底的に引き剥がすべきだという結論に達しました。(よね?w)
しかし、ここには現実的な壁が立ちはだかります。 「理屈は分かった。でも、ウチには社員一人ひとりをサポートするような人も居なければ、金もない。現に現場で実施できない理論は、机上の空論だぞ。」と。
その通りです。 私たちはドジャースではありませんし、大谷翔平くん でもありません。一人ひとりに合わせて「この人は朝型だから」「この人は飛行機が苦手だから」と個別にサポートしていたら、管理コストだけで会社が潰れちゃいますし、私たちにしても「穴があったら入りたいw」ってなもんです。
では、どうするのか? リソース=個人では無く、リソース=「機能(貢献目的)」の単位で保護すればいいのです。
ここまで一緒に来たんだ!思考実験部分はすっ飛ばして、スピード出して一気に行きますよ!
1.「箱(ユニット)」を用意する
「営業」「商品開発」「店舗運営」。 同じ単一機能(貢献目的)を持つリソースを束ねて、一つの「ユニット(箱)」として扱います。 この箱は、ユニットメンバーが思う存分「属人化(プロの仕事)」を発揮し、暴れまくるためのステージです。一つの工作機械だと思ってもらって構いません。
2.ユニットから雑務を一括で「排除」する
ステージを守るため、ユニット全体に対して、徹底して機能(貢献目的)に該当しない「雑務の排除」を行います。 例えば「営業ユニット」ならば、「売る人が売ることに」集中できるように、「商品開発ユニット」ならば、「作る人が作ることに」集中できるように、「旅費精算」「日報作成」「報告会議」といった、機能外の一切の雑務を、ユニット単位で一括して引っ剥がしてしまいます。引っ剥がす為のコストを厭わないで下さい。専任の事務スタッフを雇ったり、アウトソーシングしても構いません。これから生み出されて行く「複利」を考えれば安いものです。 個人の工夫(”工夫”も、上司が好きな言葉の一つです。「お前がな!」って言ってやりたいw)に任せるのではなく、「ユニットのインフラ」として、雑務を個人から物理的に排除してしまう事で、「人間、機嫌良く働いている時が、一番生産性が高い」状態を実現するのです。
3.バッファを共有する
全ての雑務を排除すると、ユニット全体に一気に「空き時間」が生まれます。 これを「サボり時間」「ヒマそうだから旅費精算位やらせよう」と、決して新たな雑務で埋めてはいけません。これは「ユニット全体のバッファ(余力)」として機能するものだからです。
機能を切り出して来る事で、機械のように取り扱い易い単一機能に絞ったと言っても、例えば「営業」という単一機能だけでも、充分複雑性に富んだ、属人的な領域です。機械と違って、人間というリソースは「不確定性」を持つリソースですから、確率的に、好不調の波もありますし、ミスもあります。(「ミスをゼロに!」と言う物理法則を無視した発言を、無視して下さい。) 不調をカバーし、ミスをリカバリーする為には、時間と仲間というバッファが必要です。不調もミスも無ければ、そのバッファを使って、新しい提案戦略や、売り場での実証実験といった「属人化の極致(未来への投資であり、創作活動)」に時間を使えばいい(複利運用)。
管理者は、個人の顔色を伺う必要はありません。「ユニットごとの出力(成果)」と「バッファの残量(健全性)」だけを、監視すれば良いのです。
くれぐれも申し上げておきますが、ここまでの論考は、決して「友情・努力・勝利」、「人間讃歌」などという生っちょろいものではありません。
「属人性」「不確定性」という極めて扱い辛い厄介な特殊リソース(ヒト)を、機械のような単純なリソース(モノ)のように使い倒せないか?それによって、お金を生み出すスピードを最大化できないか?という、皆様好みの、厳しく、冷徹な生産性の科学です。
ヒトというリソースは、「お金儲け」「貢献」「自己顕示/承認」等の、機械やシステムには決して持つことの出来ない、極めて痛烈な「欲望」を持った、魅力に満ちたリソースです。そして、自らの「欲望」のみに従い、それを遂げる為に自ら成長して行く、不思議なリソースです。 その「欲望」を思う存分お金儲けの為に発揮させ、けれども「暴走」はさせない。それが、経営における属人化と標準化です。
工場の生産性の科学であるTOCをベースに、AI(Gemini)と思考実験を繰り返した末に辿り着いた結論が、これです。
これでようやく、冒頭の部長への回答が用意できました。 もし、次の評価面談で「属人化を廃して下さい。」と言われたら、胸を張ってこう答えようと思います。
「はい、再三 部長からご指摘頂いた通りです。 私の課では、各課員に貼り付いている一切価値を生まない仕事、所謂雑務の『属人化』は、徹底的にこれを排除しようと、ようやく心に決めました。 定義上、この排除こそが、部長のおっしゃる『標準化』への第一歩です。ついてはご相談なんですが。。。実はその一切価値を生まない仕事の殆どが、私由来では無く、会社由来のものだという事が判明しまして、そのリストがこれなんですが。。。『標準化』への第一歩の為、是非ともこれらの排除にご協力頂けませんでしょうか?」
……まあ、そこまで言うとクビになるのでw、心の中でそう呟きながら、上辺だけでも涼しい顔して成果(ホームラン)を出してやりますよ!言っても部長だって、俺の働く仲間ですしね ♪
男なら(もちろん女だって)、簡単にコピペ出来るような仕事、簡単にコピペできるような薄っぺらい人材で終わる人生なんて、真っ平御免でしょ?
この記事は、小売業向け ID-POS意思決定支援クラウドサービス BiZOOPe(ビズープ) のホームページの一部です。それにも関わらず、ここまで「ID-POS」という言葉は、一度も登場していません。
BiZOOPeは、確実に「お金儲け」に結びつく、確実に「顧客貢献」できる、使って楽しいしくみです。(凄くないですか?w )
にも関わらず、余り売れていませんorz
お断りの文句は決まって、「忙しい」、「難しい」、「人がいない」のどれかです。
流通業の仕事の目的は「お金儲け」ですが、そのレゾンデートルは「顧客貢献」にあります。
レゾンデートルであるー
顧客貢献よりも優先順位の高い”何か”で忙しい。
顧客貢献する事は、ウチのバイヤーには難しい。
顧客貢献に人手/時間を割いている暇はない。
そのような流通の、歪な「忙しさ」「楽しくなさ」を変えなければ、BiZOOPeは決して売れません。 売れても顧客貢献に活かされません。
勿論、「顧客貢献で手一杯」なのかもしれませんし、私のプレゼンが拙いだけなのかもしれませんので、論理の飛躍は認めます。
しかし、これが私というリソースの「欲望」であり、属人性の発露です。
ですから、ここ最近の私の記事に、「ID-POS」という言葉は、登場できないのです。
燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな・・・脳と言葉を、絞り尽くしました・・・
でも、一握りの灰さえあれば、フェニックスの聖衣は何度でも蘇るんだぜ! 大谷くんのように12時間寝ますw