やりがいのない「忙しさ」を捨て、「商い」に調和を生む
最近「併買」よりも「リピート」に関するご質問が、徐々に増えて来ました。
すわ「リピート提案時代」の到来か!?
さて、今回はメーカーさんより「他社同一用途機能品に比較し、自社商品の方がリピート率が高い」という提案をバイヤーにしたいが、「リピート率をどう読み解くべきか?」というご質問をいただきましたので、それについて書かせていただきます。
下図のポップアップが表示された、ライオンのマークの分析メニュー『リピート推移』を使用します。
リピート推移は、期間のFrom側、一期間単位の利用者を「母集団」に、その後の利用状況を、同じ期間単位※1の推移で追って行く分析メニューです。
分析対象の想定利用頻度に従って週または月を選択、何週または何ヶ月を一期間とみなすのか?の単位を指定してください。
例えば図は、「2023年5月に購入した利用者の、その後の6ヶ月間※2の利用状況の変化を見る」という事を意味しています。
※1.母集団の取得期間単位と、その後の推移状況の期間単位を個別の設定としないのは、極力複雑さを廃することで「誰もが物怖じせずに使える」事を最優先にしている為ですので、ご容赦ください。
※2.推移期間数の指定(図中の7)には、母集団の取得期間単位を含みます。
店舗
『併買分析』や、併買を利用した『ニーズの見える化』と違い、商品相互の利用関係は不問となりますので、店舗選択については、「期中で一斉に取扱店舗を拡大/縮小した」といった事情の無い限り、神経質になる必要はありません(あくまでも「利用顧客」をそのまま時系列で追う分析)。
今回は、2社の「チューブしょうが」を分析対象として行きます。
まず、「購入者」の行に着目してください。
どの月にも同じ人数が入っており、構成比も100%になっています。
更には画面左端の月(2023/05)のすべての行において、「購入」の構成比が100%、「未購入」の構成比が0%になっている事も見て取れます。
これは、画面左端の月(2023/05)時点の「購入者」を母集団とした時に、その人たちの各月の「購入」と「未購入」の構成がどの位になるか?(購入 + 未購入 = 母集団(当初購入者))を示しており、各月の「購入」の割合が、謂わばリピート率です(通常、画面右側に向かって、徐々に自然減耗して行きます)。
次に、各単品の「購入」に着目してみると、(エスビーの160gを除き)いずれの単品も購入月の2ヶ月後(2023/07)の「購入」の割合が最も高く、チューブしょうがというものが、必ずしも毎月購入されるような利用頻度を持っていないということが、仮説されます。
そこで、期間の集計単位を図のように、2ヶ月単位として分析※をすると、分析結果は以下のようになります。
※.2ヶ月単位とした為、期間のFromも、更に7ヶ月前に変更しました。
チューブしょうが全体では8月からの2ヶ月間の購入者の構成が最も高く、40gでは両ブランドとも6月からの2ヶ月間の構成が最も高くなります。
一方で160gは、ハウスが4月からの2ヶ月間、エスビーが10月からの2ヶ月間の構成が最も高くなっています。
これらには季節による影響に加え、特売等の政策による影響も考えられます。
「母集団を半年間の利用者として見てみたい」というご要望もいただきました。
期間の集計単位を図のように、6ヶ月単位として半年 VS 半年の2期間で分析をすると、分析結果は以下のようになります。
こと160gに関して言えば、これまで概ね優勢に見えていたハウスを、エスビーの購入者の比率(リピート率)が上回っています(18.71% VS 24.80%)。
このように「リピート率」というものは、一般名詞化されているようでいて、集計期間とその切り取り方次第で数値が大きく変わってしまう、明確な定義を定めにくい指標です。
要は設定次第では作為的に、「ハウスの方がリピート率が高い!」「エスビーの方がリピート率が高い!」と言えてしまう可能性があります。
よってフェアネスと、提案先バイヤーさんのシンプルな認知に鑑みれば、余り複雑な事はせず、月または週による、購買構成比の推移という全体像としてご提案に用いていただくのが、宜しいかと存じます。
リピート率の定義がどうであれ、ことチューブしょうが(合計)という「顧客ニーズ」から見てみれば、1ヶ月単位と2ヶ月単位の分析結果から分かることは、明確に以下の二点です。
①10%(1ヶ月単位)〜15%(2ヶ月単位)前後の顧客が継続利用(リピート)している。
②購入翌期には、およそ90%の顧客が未利用化している。
これは何もたまたまこの月/期間に起こった特殊事情では無く、大なり小なり毎月/毎期間、繰り返し売り場で起こっている事です。
半年単位で言えば約33%が継続、約67%が未利用化とは言え、それでも依然として大きな数字です。
何より定義は別として、チューブしょうがにおいて半年に一度の利用を、「継続(リピート)」と言えるか?という話です。
その率の大きさから見れば、これこそが最大の制約条件であろう事は、バイヤーさんの目から見ても明らかでしょう。
要はリピート提案では、ご提案とともに避けては通れない問題が可視化されるという事です(作為的にマスクや加工をする事は可能ですが......)。
個々の単品では無く、相互に代替関係にある、チューブしょうがという「顧客ニーズそのもの」で見てすら、およそ90%が翌期には未利用化するという事実は、各社の商品仕様の問題に起因するものでしょうか?あるいはその販促に問題があるのでしょうか?
これほどの規模です。
個々の単品というミクロな視点からでは無く、そもそも「売り場が継続利用されていないから、それに併せて単品も継続利用されていないのではないか?」というマクロな視点で捉えた方が、より自然では無いでしょうか?
同様に、チューブしょうがという厳然たる「顧客ニーズ」が存在する限り、未利用化した90%の顧客の多くは「他店で買っている」と考えるのが、また自然です。
【図】利用者数の崖の例(ベビー・シルバー部門におけるリピート推移の重ね合わせグラフ):部門という単位ですら、毎月約46%の顧客が未利用化している。
確かに「他店で買っている」のであれば、メーカー総体の売上としては、一向に傷みません。
しかし今以上に自社商品を売って行くにあたって、「 継続利用してもらえる『売り場』」という、最大のボトルネックにメスを入れるノウハウを持ったメーカーが、単品提案以上に革新をもたらし、シェア拡大のチャンスを得るのでは無いでしょうか?
継続利用の10%に腐心するよりも、未利用化してしまう90%を 如何に食い止めるか?
その為には本質的に、売り場全体から未利用化していく72%を如何に食い止めるか?
単品の10% < 単品の90% << 売り場全体の72%と、影響のスケールが余りにも違いすぎ、またその解決すべき順序も明白であるが故に、老婆心ながら、一言付け加えさせていただく次第です。
是非みなさまも、ご自身の商品ないしは売り場で分析をし、まずは実態を知って頂けましたら幸いです。
そこにはきっと、みなさまにとってのチャンスが眠っている筈です。